歯科助手と掛け持ちする風俗嬢・Y子さんインタビュー

給料が少なくて副業で性感マッサージ 生きづらくて精神を病んだ風俗嬢に聞く、「掛け持ち生活」の複雑な実態

給料が少なくて副業で性感マッサージ 生きづらくて精神を病んだ風俗嬢に聞く、「掛け持ち生活」の複雑な実態
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精神を病んだ掛け持ち風俗嬢の実態

転職サービスDODAの調べによると、事務職(一般事務)女性の平均年収は295万円。月収に換算すると約25万円だが、ボーナスや社会保険関係を考えると普段の月の手取りは約15〜20万くらい。ボーナスがない企業もある。一人暮らしだとかなり厳しい収入だ。そのため、副業をしたいと考えている女性もいそうである。

時間の融通が利き、女性だからできる副業で思い浮かぶものの一つが水商売や風俗。今回は、歯科助手として働くかたわら、性感マッサージ店に勤務するY子さん(27歳)に話をうかがった。事情により、現在風俗は休業中、昼職は週3回のみの勤務とのこと。外見だけでは風俗嬢に思えない、おとなしそうな印象の女性だ。

きっかけは高校時代の援助交際

――風俗を始めたそもそものきっかけは何ですか?

Y子さん(以下、Y子)
:高校生の頃、知人の知り合いで紹介してもらった、某芸人の男性がいました。あまり売れていない人だったのですが、ファンだったのでお近づきになれてうれしかったです。しかし、彼にはお金を渡さなければ会ってもらえませんでした。でも、学校は全寮制で、アルバイトは禁止されていたし、親は寮費以外のお小遣いをくれませんでした。そこで行き着いたのが援助交際だったんです。月4回ほど、出会い系サイトで見つけた男性と食事をしたり、ホテルに行ったりして、1回1万円もらっていました。金額が少ないと思われるかもしれませんが、地方だったのでそれくらいが相場でした。そして、援交で稼いだお金で、彼と過ごす時間を買っていました。

――知らない男性と二人きりという場面で、怖い思いをしたことはありませんでしたか?

Y子:そんなの、考えたこともなかったですね。幸運なことに、怖い人に出会うことはありませんでした。

――では、援助交際ではなく、風俗店にキャストとして所属したのはいつですか?

Y子:大学に入ってからです。彼から「店に所属すれば、危ない客が来たとしても店側が守ってくれるよ」と勧められたんです。口がうまいですよね(笑)。そしてファッションヘルスで働き始めました。大学は実家から通える大学に入学したのですが、今まで通り、親からはお小遣いはもらえませんでした。

――毎月の収入はどれくらいでしたか? また、なぜお金を持っているのか親に怪しまれませんでしたか?

Y子:稼ぎ過ぎないよう、月10万程度に抑えていました。あまりにも大金を持っていると親に怪しまれちゃうので。高校の頃と同じように、母親からはお小遣いをもらえなかったのですが、母親には家や車を買ってくれる彼氏がいて、私もその人から毎回2〜3万、お小遣いをもらえていたんです。だから、ある程度お金を持っていても「●●さん(その男性)にもらったんだよ」と言えばいいので、そこまで怪しまれませんでした。でも、芸人の彼には毎月5万〜10万渡していたので、お小遣い内でやりくりするのは厳しいため、風俗で働いていました。

昼職だけでは間に合わず、風俗に復帰

――稼げる職場で、あえて稼がないというケースもあるのですね。では、なぜ風俗1本ではなく、一般の仕事にも就こうと思ったのですか?

Y子:やはり、罪悪感があって。2010年の3月に歯科助手として就職しました。大学は疲れるなぁと思って中退しちゃいました。でも、小さな歯科なので、社会保険がないんですよ。お給料は月手取り18万円なのですが、そこから個人で保険料を払うと厳しいので、今は払えてないです……。健康保険に関しては、母親の扶養にしてもらっています。私は実家暮らしなのでまだやっていけていますが、一人暮らしのOLさんでこのくらいだと暮らしていけないと思います。

普通の仕事を始めたものの、昼職だけでは芸人の彼に渡すお金が間に合わなかったので、その年の5月に風俗復帰して、性感マッサージ店で週1〜2回働き始めました。一時期は、待遇の良さを求めてお店を転々としていたこともあったのですが、今籍のあるお店は、個室待機できるし、ボーイさんも優しいし、バックも良いです。

統合失調症と診断され、風俗は完全に休職状態

――現在、毎日はお仕事に行っていないとのことですが、なぜですか?

Y子:6月頃、昼間働いていたとき、突然ドバドバと涙が止まらなくなり、早退しました。ちょうどそのとき、人間関係などでストレスを感じていたので、自分の中でいっぱいいっぱいだったようです。精神科に行ったら、統合失調症と診断されました。

人によって症状はさまざまなのですが、私の場合、一番つらい症状は強迫感です。頭上に下がっているランプが落ちてくるんじゃないかと、某コーヒー店に行くのが怖くてたまりません。また、ファッションビルに行くと、床のタイルの方向や色や模様が気になって、特定の模様のあるタイルの上しか歩けなくなって。たまに違う色のタイルが現れると、ボスに思えて、「どうしよう!  対応できない!」となってしまって。

今は体調の様子をみて、風俗は完全に休職状態、昼職は週3回の午前中しか出勤していないので、ますますお金がなくってつらいです。本当に、生きるのが難しいんです。

――今後の目標はありますか?

Y子:今は週3回の午前中だけしか仕事に行っていませんが、これでも本当に頑張っているんです。受付に立っているだけでキツいのですが、薬で治療しながら社会復帰を目指していきます。

すぐにでも風俗に復帰したい

――風俗の方も復帰を目指すということですか?

Y子:はい。母親から「もう外に出てもいい」という判断が出たら、すぐにでも風俗復帰したいです。お金がないので。今は貯金で生活しています。

――副業というと、他にもアルバイトはあると思うのですが、なぜ風俗にこだわるのですか?

Y子:大勢の人たちと関わるのが苦手で、人と一対一でしか話せないほどのコミュニケーション障害なんです。それがなければ、もっと職の選択肢が広がったと思います。昼職はスタッフが少人数で、院長も口数が少ない人なので、なんとかやっていけてるんです。

――風俗で働いていたことと、病気になったことは何か関係があるのですか?

Y子:関係はありません。しかし、病気になったことを心配した母親から「何でも吐き出して」って言われて、喫煙者だということはカミングアウトしました。でも、風俗で働いていることは言えないです。さすがに親不孝なので。

風俗で働く女性というと、楽をして稼ぎたい女性というイメージを抱く方もいるかもしれない。しかし、昼間はごく普通の仕事についている女性が、何らかの事情により風俗とかけ持ちをしているケースもあるのだ。Y子さんは精神疾患の医療費について悩んだため、自立支援医療制度(精神疾患の通院の自己負担を減らす公費負担医療)を利用しているそうだ。風俗は性病の心配をはじめ、うしろめたい仕事をしているという罪悪感から心を病む嬢もいる。身体的にも精神的にもリスクが伴う職だ。お金がないからと言って安易に風俗へ駆け込む前に、自分が利用できる制度や相談できる人がいないか、いまいちど考えてみてほしい。

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