大人のむし歯の特徴とケア・後編

歯にブラックトライアングル? 大人のむし歯ができやすい場所は?【歯科医が教える】

歯にブラックトライアングル? 大人のむし歯ができやすい場所は?【歯科医が教える】

大人のむし歯の特徴とケアについて、先ごろ『すべての不調は口から始まる』(集英社新書)を上梓された江上歯科(大阪市北区)の江上一郎院長にお話をお尋ねして前後編で紹介しています。

前編の「大人のむし歯は年齢とともに痛みが鈍くなるって本当?」では、乳歯のときの痛みとは違うこととその理由、そしてそれが実は危険な状態であることを伝えました。さらに江上医師によると、「大人のむし歯ができる場所には明らかな特徴がある」ということです。ひき続き詳しく尋ねてみました。

江上歯科の江上一郎院長

江上歯科の江上一郎院長

大人のむし歯は「歯と歯ぐきの境目」と「歯の根元の溝」にできる

——大人のむし歯はどこにできやすいのでしょうか。

江上医師:乳歯のむし歯は、「奥歯の噛(か)み合わせる面の溝」にできやすくて、そこからだんだんと深くなっていきます。

大人の場合、もっともむし歯になりやすいのは、「歯と歯ぐきの境目」です。なぜなら、30歳ぐらいから歯ぐきはやせて下がりはじめ、じょじょに歯の根元が露出してくるからです。年齢とともに、歯が長くなった、伸びたように見えますが、実は歯ぐきが退化するからそう見えているのです。

露出した歯の根元は、歯の内側の黄色を帯びた「象牙質(ぞうげしつ)」(前編参照)です。これは表面を覆う白い「エナメル質」ほど硬くはないこと、また磨き残しが多い場所でもあるので、そこにむし歯が発生しやすくなります。

——歯ぐきが下がって根元があらわになることには思いあたります。その場所は歯の上のほうより細いからか、隣の歯との間にすき間ができます。

江上医師:そうです。その「歯と歯の間の溝」も大人のむし歯ができやすい場所です。歯ぐきが下がると、隣の歯の根元との間に空間が生まれ、だんだんと広がっていきます。そのすき間は一見、小さな黒い三角形の穴のようなので、歯の「ブラックトライアングル」と呼びます。年齢とともに大きく深くなっていきます。

ブラックトライアングルには、食べ物や飲み物、また細菌が詰まりやすく、磨き残しを放置しがちになります。

古いむし歯の治療あとから「二次むし歯」になる

——大人の場合、すでに治療してかぶせ物や詰め物をしている歯は多いと思います。筆者はそこにむし歯が再発したと指摘されたのですが、よくあることでしょうか。

江上医師:大いにあります。かぶせ物やつめ物は、一生持つものではありません。もとはむし歯の補修をしているわけですから、食べものがつまりやすい部分やすき間などから細菌が入り込むとむし歯は再発します。歯磨きが不十分な場合、かぶせ物やつめ物と歯のつなぎ目に歯垢(しこう。プラーク)がたまり、むし歯ができることがあります。これらを「二次むし歯」と呼びます。

もしそれが神経を抜いている歯なら、痛みがなく、むし歯の発生や進行に気づきにくいでしょう。かぶせ物をはずしたら、大きなむし歯になっていて歯を抜かなくてはならない、また、急に歯がぽろっと欠けることも少なくありません。

歯科の定期健診で発見してもらう

——どの場合もイメージがしやすく、怖い症状です。どうすれば予防ができるでしょうか。

江上医師:前回にもお話ししたように、痛みがあれば治療すると思いますが、無自覚の進行のほうが実は危険であると言えます。現実的に大人のむし歯は、歯科での定期検診のときに発見することがほとんどですから、それを活用してください。

とくにむし歯が多い人、気になる人、またこのごろ唾液が減ってきたとか口臭が気になるといった人は、口内の状態が悪化している可能性は高いでしょう。

口の中が何かおかしいと感じたらなるべく早く、気づかなくても3カ月に1度は定期検診を受けましょう。早めの発見や治療、予防が可能になります。

——自分で発見することはできないものでしょうか。

江上医師:歯の並びかたや形はとても複雑です。自分で鏡を駆使しても、奥歯の奥や歯間など、歯の隅々まで確認することは不可能なのです。痛みがない、あるいは初期のうちは自らむし歯を見つけることは難しいです。

——では、自分で二次むし歯を予防やケアをする方法はありますか。

江上医師:歯磨きの際に、大人のむし歯ができやすい「歯と歯ぐきの境目」と、「ブラックトライアングル」を中心にケアしましょう。とくに、露出してきた歯の根元は軟らかいので、力を入れてゴシゴシ磨くと歯の表面を傷つけて、いっそうと歯ぐきを下げることになりかねません。そうならないために、歯ブラシはペンを持つように軽く握り、決して強く磨かないようにしてください。

次に、歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを斜め45度にあてて、歯を1・2本ずつ磨くように、小刻みに前後10~20回ほど動かします。

歯磨き斜め[3]のコピー

さらに、ブラックトライアングルには、デンタルフロスや歯間ブラシ、糸ようじをうまく活用して、食べカスなどを取り除いてください。これは大人のむし歯ケアのコツです。「20歳を過ぎたら歯間ブラシを使う」習慣を身につけましょう。

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大人は年齢とともに歯ぐきが下がって根元が露出する、その部分にむし歯ができやすいという指摘に、はっとしました。これからは、歯と歯ぐきの境目と歯の根元のブラックトライアングル、さらに、つめ物とのつなぎ目に注目し、歯磨きと歯間ブラシなどでこまめに日々のケアを行っていきたいものです。

(構成・取材・文 海野愛子/ユンブル)

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