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2014/09/09

「性転換した女性兵士」が活躍できる国

米軍による空爆が連日報じられるなど、イラク情勢は悪化しているが、米軍の機密文書をウィキリークスにリークした罪で昨年、有罪判決を受けて服役中の米兵がいる。

米国史上最大規模の国家機密を漏洩したとして35年の禁固刑が言い渡された、元米軍情報分析官のブラッドリー・マニング受刑者(26)だ。この種の判決としては最も重い刑が決まったのだが、彼が判決の翌日にトランスジェンダーであることをカミングアウトしたことで、よりいっそう大きな話題となった。

この記事では、米国におけるトランスジェンダーの兵士の現状と、同兵士たちに対してかなり先進的な態度を見せている英国の現状を紹介する。

性同一性障害で苦しんでいたブラッドリー・マニング

アメリカ中南部で生まれ育ったマニング受刑者は、思春期には自分がトランスジェンダーであることを自覚していたという。しかしそのことが家族に知られると勘当され、米軍で情報分析官となった。

情報漏洩の罪で逮捕されたマニング受刑者の弁護団は裁判で、彼が性同一性障害で悩んでいたこと、上官らがそれをほとんど無視していた事実を述べ、証拠の一つとして、マニング受刑者が逮捕の数週間前に軍の心理療法士に宛てに送った「私の問題」というタイトルのEメールを提出した。そこには性同一性障害で苦しんでいる旨が書かれており、金髪のウィッグをかぶって化粧をしたマニング受刑者の写真が添付されていた。

マニング受刑者は判決の翌日に以下の声明を発表した。

「人生の次の段階に移るにあたって、本当の自分を知ってもらいたい。今後、私のことは“チェルシー・マニング”と呼んでください。女性です。なるべく早くホルモン療法が始められるよう願っています」

同性愛は隠すことなく入隊できるが、トランスジェンダーは禁止

米国は2011年9月に、兵士が同性愛者であると公言することを禁じた米軍規定を18年ぶりに撤廃。同性愛を隠すことなく入隊できるようになった。

しかし、米国防総省はトランスジェンダーが部隊に加わることを禁じており、トランスジェンダーであることが明らかになれば除隊命令がなされるという。独立系シンクタンク代表によると、「国防総省によるトランスジェンダーの除隊命令は、説得力のある医学的な理由やデータに基づいているわけではなく、例えば、トランスジェンダーは精神的に病んでいるという意見に基づいている」とのことだ。

昨年、米海軍特殊部隊に20年間在籍し、米軍の最強部隊と呼ばれるエリート集団「シールズ」で勲章を授与される活躍をしたクリスティン・ベック氏が、トランスジェンダーとしての半生を明かした回顧録を電子書籍で出版した。ベック氏は、2011年に退役して初めて女性として生活できるようになったという。

英国軍では性転換した女性兵士が活躍

英国軍でも2000年までは、同性愛者の入隊は許されていなかった。事実、その前年には298人が同性愛者であるという理由で除隊させられている。しかし、海軍を追い出された3人のゲイとレズビアンが起こした訴訟に勝訴したことをきっかけに、空軍が変化を見せ始めた。2008年にパラシュート部隊の前隊長が、英国の将校としては初めて男性から女性への性転換を行った。

現在では、全隊員の約10%にのぼる約9,000人の女性兵士が活躍しており、イラクやアフガニスタンでは栄誉や表彰を受けた女性兵士もいれば、戦闘で戦死した女性兵士もいるのだ。

「ゲイに友好的な職場トップ100」に入る英国軍

デボラ・ペニー二等准尉(47)も男性として生まれ、学生時代はデビッドという名前のラグビー選手として知られていた。その後入隊し、30年に渡って爆弾処理班の一員として従軍し、英国軍史上初めて最前線で活躍するトランスジェンダー兵士となった。

ペニー二等准尉は、爆弾処理のエキスパートとして同僚の尊敬を勝ち取り、2007年からは女性として生活している。

国防省は、どんな形であれ性転換者への嫌がらせや迫害、差別を容認しないと発表した。軍のスポークスマンは「英国軍は性転換者を含む全ての隊員をサポートし、受け入れることで社会の広がりを反映したい」と述べている。

今年に入って早々に、英国軍はゲイに友好的な職場として、ゲイ運動団体・ストーンウォールの2014年度版トップ100雇用主リストに名前が載った。

チキティータ千賀子

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