労働基準監督署から残業代の一部未払いがあったとして是正勧告を受け、それをエステ・ユニオン(ブラック企業対策ユニオン・エステ支部)に申告した女性従業員に対し「会社がつぶれてもいいの?」と代表自ら詰めよる音声テープが公表された「たかの友梨ビューティクリニック」(運営:株式会社不二ビューティ)。 サービス労働、労働時間超過などが常態化している美容業界ですが、たかの友梨ビューティクリニックの元従業員にその実態と独特な社風を取材しました。

朝7時台出社、帰宅は深夜。「自主練」と言う名のサービス残業

A子さん(30代前半)は10年ほど前、たかの友梨ビューティクリニックに新卒社員として入社、都内店舗に新人エステティシャンとして勤務しました。新人はお店の鍵当番なので、出社は朝7時。電車遅延(証明書有り)でも始末書提出など、徹底的な時間厳守のため、朝から気が抜けなかったそうです。

営業終了後は一旦タイムカードを押し、そこから先輩に練習台になってもらってひたすら自主練習です。技術が身につけば担当できるコースが増え、給料にも反映されます。終電に乗れればマシな方、連日タクシー帰宅でした。

一応「自主」練習なんですが、お肌の調子の悪い先輩から「私、練習台になるから」と指名を受けることもありました。今日は電車で帰れるかな、という日に限って(笑)。

サロン勤務の社員はすべて女性という女社会ピラミッド。その底辺にいた彼女に拒否する選択肢はなかったと言います。

日焼けしたら即刻解雇! 代表みずから店舗にアポなしチェック!

美容業界はイメージが大切。エステティシャンの日焼けは厳禁だったそうです。

少しでも日焼けが疑われると、先輩から「服を脱ぎなさい」と言われて、水着の跡など日焼けの証拠が見つかると自主退職を迫られました。それから1回遅刻した先輩は強制的に寮に入所させられて、遅刻2回で解雇させられたこともあります。社員の入り替わりが激しくて、同期も次々と辞めていきました。

10年以上経った現在、当時200人以上いた同期は数人が残るのみだそうです。 また、たかの友梨代表はアポなしでサロンを訪れては、勤務態度や技術をチェックすることも。A子さんによると友梨先生の印象は「テレビと同じ。おっとりした口調ですが、仕事には厳しい方でした」とのこと。その厳しさが「たかの友梨」ブランドを確立させたのかもしれません。

忘年会は原色ドレス推奨。やる気次第で2年で店長

当時、全国の店舗に勤務する社員を集め、社員大会と忘年会の2回のパーティが行われていました。

社員が着るドレスは、黒・紺は禁止でした。友梨先生が「お通夜みたいだから」と敬遠されて…。一番ベストなのは赤いラメのドレス。男性社員は本社の管理部門に数人のみなので、艶やかなドレスの女性が数百人集まる華やかなパーティでしたね。

女性ばかりの会社なので、やる気と実績次第でスピード出世も可能でした。同期の子は自分から立候補して、入社2年目で店長を務めました。

たかの友梨代表は矢沢永吉のファンとしても知られており、ご自身も不遇な幼少時代からのし上がって来た経歴があります。「成りあがり」精神を大事にしていたのかもしれません。

ブラック企業大賞2014 業界賞受賞!

エステ・ユニオンは9月5日、株式会社不二ビューティの東京本社を訪れ、残業代の未払いが他でも確認できたとして労働基準法を遵守するよう要望書を提出。これに対し、不二ビューティ側は「9月下旬の組合との団体交渉までに回答する」とコメントしています。また9月6日に発表された「ブラック企業大賞2014」では業界賞を受賞しました。 今回の問題発覚を受けて、過酷な労働環境が次々と明るみに出た「たかの友梨ビューティクリニック」。業界のリーディングカンパニーとして、今後のどのような対応をするのか注目されます。

(穂島秋桜)

この記事を読んだ人は答えてね!
人が回答しています