人生変えるには断捨離!30歳女性作家

>>【前編】人生を変えるには「断捨離」が必要! 自らの難病をコミカルに描く30歳女性ベストセラー作家の“転換点”

支援があるから、やりたいことを無理だと思わずにやってみようと思える

――今は結婚や恋愛よりも大事なことがあるということですが、難病を抱えていることは、そうした生き方に少なからず影響しているのでしょうか。

大野:難病は非常に重大なことなのですが、その人の一部分でしかなくて、やっぱりライフスタイル観や人生観って病気によって根本的に変わるものではないんだな、というのがいまの正直な気持ちです。

ここ数年、ほとんど実家に帰っていなくて。親不孝者なんですけど、向こうも原発震災や仕事やらで必死で、忙しいですから。この前、私が患者さんの調査で仙台に行ったのですが、ちょうど両親が末期がんで闘病している仙台の叔父の見舞いに来ていて、新幹線に乗る15分前に仙台駅のスタバで1年半ぶりくらいに両親の顔を見たんですけど……特別な感想とか感慨は、ほとんどなかったです(笑)。お互い、元気そうだということがわかるからだと思います。

「元気?」「元気元気」「じゃあね!」みたいな。母親にポロッと「あまり変わってないね~」と言われて。放任主義なのかもしれませんが、冷たいとか感じたこともないですね。両親が自分を信頼してくれていることを、こちらも信用しているという関係でしょうか。

でもそれって結構「普通」だと思うんです。世間でイメージされている「よき家族像」って実際に存在しているかどうかは甚だ疑わしくて、問題のない家族や、おかしくない家族ってほとんどないと思う。だから私の家族との関係って「普通」なんだなと思うのみなんです。

――抱えている問題があっても自分のライフスタイルは変わらないということでしょうか。

大野:病気になって変わったことは、生活の中に「支援」があるということです。毎朝1~2時間、大学院に行く前にヘルパーさんが来ます。区の職員さんたちともわりと密接にやりとりしていますし、支援があるから、やりたいことを無理だと思わずに、なんとか工夫してやってみようと思える。もし支援がなかったら、こういうふうに家を出て自由に行動することすらできない。ベッドの上で寝ているだけになっちゃって、大学院なんて行けない。それは私なりのライフスタイルを貫くのにすごく大きなことだと思います。

いまは自分自身も、自分のまわりの人も研究対象

――『シャバはつらいよ』で退院前後は先のことが不安だったとありますが、いま悩んでいることはあるのでしょうか。

大野:何かを解消すれば次の新しい不安が出てきます。先ほど支援があるからと言いましたけど、支援を使うことだって、ひとつひとつ不安や大変さがつきまとうわけですよね。使って生活するほうが大変ということもある。自分がこの先、どうなるかわからないということはもちろんあるんですけど、前は明日のこと考えられなかったんです。いまは自分自身が研究対象であって、自分のまわりの人も研究対象であるという、すごく複雑なコンテクストの中にいるのですが、その中である程度こういうことがしたいみたいなものが見えてきました。視野が今日明日だけだったのがもう少し長くなって、半年~来年くらいまでは考えられるようになったと思います。

――例えば婚活や出会いの場など、今後プライベートで開拓していこうと思っていることはありますか。

大野:そうですね……婚活パーティー……冗談で言ってみてもキマらないですね、柄じゃない。婚活パーティーに行ったことないので偉そうなことは言えないのですけれども、もし行ったら自分がやりだしそうなことはまず場の雰囲気を読みとって「あ、この人しゃべってないな」「この人ちょっと壁の花になっているな」とか発見して、お節介にもヒョロヒョロっと寄って行って「どちらからいらしたんですか?」「なんか食べますか?」とか場を持たせつつあたりさわりないことを話しかけて、疲れきって帰ってくるんじゃないかな。

みんなでワイワイガヤガヤやりながら楽しむというのが昔から苦手で、これは病気とは関係ないんです。大学時代からそうなんですけど、けっこう常時お一人様状態で、ひとりでぽつねんとカフェやレストランに行っていたんですよね。

もうちょっと楽にハッピーに生きていくためにはどうしたらいいのかな

――自分一人で使える時間を優先したいというか、先ほども「秘書がほしい」と言っていたように、もっと自分の時間がほしいということですか。

大野
:アラサー女子として考えることは、20代のときって半分学生気分みたいなものでわりと自由にさせてくれるけど、30代になるとそれなりに責任が伴ってくる。人間の仕事って40歳くらいで固まってくると思うんです。30代は、それに向けてこの先10年どうするかと悩む時期ですよね。だからお一人様状態でいることは別にいいんですが、時間があったら多分「あ、そういえばこれやってなかったな」と別のことをやりだすと思う(笑)。時間貧乏という感じなので。休みとか休暇とかを、うまくとれないタイプですね。なんだか、日本型サラリーマンのおじさんのようなことを言ってますね。

――30代の目標は上手に休暇をとることだったりしますか。

大野:30代の目標はなんだろう……一回でいいから典型的な世間で呼ばれる休暇というものをとってみたい。ヴァカンス、療養!

――大野さんの考える「世間一般で呼ばれる休暇」とは?

大野:全然よくわからない(笑)。よくわからないのに言っちゃった。この身体の状態になってからまだ海外には出てないんですけど、もともとは東南アジアのフィールド研究をしていたので、物理的に可能になって出かけても、あまりマインドは変わらないんじゃないかなと思うんですよね。ノートパソコンと変圧器持って、Wi-Fiを探してパチパチキーボードを打つ。だからあまり新鮮さは期待していないんですけど(笑)。

――様々な困難に直面してきた大野さんにとって、幸せを感じる瞬間とはどういうときでしょうか。また、幸せとは何だと思いますか。

大野:「人間にとって根源的にハッピーな状態ってどんな状態なのかな」というのはよく考えます。だけど、日々自分が「ハッピーだな」とは思わないですね。多分、すごく根暗で、ハッピーになれる才覚が劣っていると思うんです。過労状態の中で見つけられるかわからないですけど、もうちょっと楽にハッピーに生きていくためにはどうしたらいいのかな、とは思います。ただ、そういうふうに言っていられるうちがハッピーなのかもしれないですね。結局好きなことをやっているわけですから。

丸山ゴンザレス

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