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2014/08/20

戦争で対立するアラブ人とユダヤ人結婚

多くの子供を含む市民が犠牲になっているガザ地区の戦争。遠く離れた日本でも日々耳にしない人はいないだろう。この大変な状況の中、勇気をもって愛の力を証明したカップルがいる。

つい先日、イスラエルでアラブ人のマハムッドさんとユダヤ人であるモレルさんが結婚式を挙げたのだ。まさにこの戦争で対立している宗派同士の結婚はこの地域だけでなく、世界的に波紋を呼ぶことになった。

    「ユダヤ教徒とイスラム教徒は、敵であることを拒絶します」

騒動の始まりは、二人がFacebook上で結婚式の詳細を公開したのち、レハヴァ(異人種間の結婚と戦うイスラエルの過激派右翼グループ)によって「結婚式場を襲撃する」という脅しを受けたことだった。

結婚式当日、数百人以上のレハヴァが式場の外で人種差別主義のスローガンを掲げたり、メッセージ入りのTシャツを着ての抗議をくりひろげ、それを制止しようとする100人もの警察官たちが動員されるまでになったのだ。

この騒ぎの中、二人は

「愛はすべてを克服する」
「ユダヤ教徒とイスラム教徒は、敵であることを拒絶します」

という言葉を添えて、結婚を誓った。

    「何であれ私たちの愛を壊すことはできないでしょう」

この二人の出会いは5年前、ビジネスマンのマハムッドさんがモレルさんに出会ったことから始まった。モレルさんはイスラム教徒である彼と出会ったことで、ユダヤ教からイスラム教に改宗をすることにしたのだ。

そもそもこの二人の結婚は、二人の家族にとっても一大事で、式を執り行うこと自体に緊張感があるという状況だった。それなのに、不運にも勃発してしまったガザの戦争によって、さらに騒動を広げることとなってしまったのだ。

マハムッドさんは「何であれ私たちの愛を壊すことはできないでしょう。これまで見たことがないほど、私たちは特別で素晴らしい結婚式を挙げるでしょう」と力強く語っていた。

    「なぜ戦争が起きてしまうのか?」を問い直す結婚式

当日は、ボディーガードを雇い、百人を超える招待客たちの安全を守りつつ、結婚式は行われた。純白のドレスを纏った花嫁のモレルさんを、親族達が温かく迎え、涙ぐむ姿も見られた。

「私には既に娘が一人いるが、今日からは二人目の娘をもつことになる」と、嬉しそうに語るのはマハムッドさんの父親、モハメッドさん。

一方で、花嫁モレルさんの父親の姿はなかった。

彼は既にテレビにも出演して、はっきりと参加しない意思をこう語っていたのだ。

「アラブ人になってしまう娘の結婚式には出席しない」

この二人の結婚式のニュースは、地元メディアにも当然のごとく取り上げられた。イスラエルのルーベン・リブリン大統領の耳にも届いており「けしからぬことで、心配である」とのコメントを残している。

マハムッドさんとモレルさん二人は今後、民主主義の安全な地へ移住し、二人の新たな人生をスタートすることを予定している。

「なぜ戦争が起きてしまうのか?」

それを根底から問い直す意味もあった二人の勇敢な結婚式。今後も宗教、人種の隔たりなく人間同士の愛が認められ、一日も早く戦争がこの世から消えることを強く願うばかりだ。

中村綾花