作家・有川真由美さんが考える幸せな女性

女性の人生には、その後を大きく変えるライフイベントが幾つもある。たとえば、結婚・出産・転職。その節目ごとに、誰もがみな、悩みあぐねるのは「幸せになりたい」と願うからこそ。ただ、結婚したから、出産したから、転職したからといって、天地をひっくり返すように何かが劇的に変化するわけではない。

「幸せとはなるものではなく、感じるもの」と優しく諭してくれるのは、世界40か国を旅し、50以上の職種を経験し、働く女性に向けて数多くの著書を世に送り出している人気作家の有川真由美さん。20代30代女性がしなやかに、幸せに生きるためには、一体何が必要なのか。その秘訣についてたっぷり語っていただいた。

    幸せは、リスクも引き受ける覚悟で自分が選び取るもの

――“幸せ”は、非常に大きなテーマですし、人の数だけ、そのあり方もさまざまだと思いますが、有川さんの考える「幸せな女性」とはどんな人でしょうか?

有川真由美さん(以下、有川):ひとつ共通しているのは、周りの基準や人の目に惑わされずに、「私はこれが好き、これがやりたい」という自分の感覚を大切にして、大事なことを自分でちゃんと選んでいる人、つまり、「自分を喜ばせられる人」ということが挙げられると思います。選ぶ時に、“ワクワクするかどうか”がポイントですね。

とはいえ、結婚、出産、転職など、どれをどう選ぶにしても、それぞれにリスクは付き物。いいことだけでなく、そうしたリスクも引き受ける覚悟を持ったうえで、選び取っている人は、結果として自分の欲しいものを手に入れやすいといえます。幸せに生きたいと願うなら、「周りがそうしているから、私もやる」という考え方はやめるべきでしょう。

――幸せに生きるための要は、「主体的に生きる」ということですね。

有川:その通りです。想像してみて欲しいのですが、例えば仕事について、“積極的に自分で選ぶ”のか、それとも“させられている”と思うのか、あるいは、“なんとなく流されてやっている”のかでは、全く違ってきます。「私は安定を求めるからこの仕事をやる」という意志があるならまだいいのですが、会社の歯車みたいにあくせく働き、休みは疲れ果てて、一日中ベッドの中で眠る……という生活を“なんとなく”続けているとしたら、5年後、10年後、「私の人生、一体何だったの?」ということにもなり兼ねません。

かくいう私も30歳前後の頃、大手衣料店の店長として、心身共にボロボロになる寸前まで働いてみて、初めて気づきました。「このまま何にも考えずに生きていると、ただ流されて、使い捨てられて終わってしまう」と。逆に言うと、「自分の幸せに責任を持とう」と本気で思えば、いくらでも幸せになれるのではないかと思います。

    本気で叶えたいことがあるなら、どんな状況であろうと行動に移すはず

――しかし、現実問題、悩みのループから抜け出せない、より幸せになるための新たな一歩を踏み出したいのに、なかなか勇気が出せないという人も多いです。この場合、どうすればいいでしょうか?

有川:何かに悩んだり、躊躇している時は、心のブレーキとアクセルを同時に踏んでいる状態。だから苦しいんですよね。そこを脱するためには、シンプルにその悩みや問題を解決できる方法を探すことです。同じストレスがずっと続くなんて、ありえないことですし、病気や災害など自分の力の及ばない範囲でないかぎり、実は深刻に捉えすぎている場合がほとんど。

もちろん本人にとっては大きなことかもしれないけれど、人間関係でも、仕事でも、“相手が変わらないなら、自分が変わる”、“受け止め方を変える”というように、「想像力」を使って、自ら工夫していくことが大切だと思います。どうにもならない問題がある時は、その問題自体を受け入れるということが解決策かもしれませんし、形や方法を変えることで、如何様にも解決できるはずです。

――「仕事が忙しいから、時間がないから、やりたいことができない」という人についてはどうでしょうか?

有川:これについても想像力を働かせて欲しいですね。「どうやったらできるのか」という方法を考えれば、答えはすぐに見つかるはずです。きびしい言い方かもしれませんが、「忙しいから、時間がないから」というのは、言い訳ですよね。本気で叶えたいこと、手に入れたいものがあるなら、どんな状況であろうと行動に移すはずですから。その意味では、“行動力”も、幸せになるために必須の力だといえるでしょう。当たり前のことをいうようですが、動かなければ、現状は何も変わらないのです。

>>【後編はコチラ】「どうせ私なんて」と思う事は自分に失礼 作家・有川真由美さんに聞く、現代女性の“幸せの見つけ方”

●有川真由美(ありかわ・まゆみ)
作家・写真家。鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程卒業。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリーカメラマン、新聞社広告局編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性のアドバイザー的な存在として書籍や雑誌などに執筆。40か国を旅し、旅エッセイやドキュメンタリーも手がける。ブログ:Daily Journey

岸由利子