遠野なぎこ離婚後の真相を独占告白

女優のスピード離婚という格好のネタに群がるメディア。恋愛依存症、売名行為、構ってちゃん、メンヘラ女優……さまざまなレッテルが貼られる一方で、本人のブログを読むかぎり、表には出てこない要素が多すぎるのではないか。遠野なぎこさんの口から「真相」を語ってもらったインタビューの後編です。

>>【前編】遠野なぎこ“離婚後の真相”を独占告白! 「私は離婚を恥だと思っていません」 

    私はもう〈フツウ〉でいたい自分を手放さないといけないと思った

――今春に上梓された著書『摂食障害。食べて、吐いて、死にたくて。』(ブックマン社)でも、15歳のときから苦しんできた病気について明らかにされていますが、結婚、離婚でめまぐるしかったこの数か月のあいだは、症状にだいぶ変化があったようですね。

遠野:彼とつき合いだした瞬間、過食嘔吐がぴたっと治まりました。彼が見ている前で、ご飯を食べられたんですよ! 私は病気なんだと、あらためて感じました。ダイエットとか痩せ願望とか、頭で考えて食べたり吐いたりするんじゃなくて、心の問題なんだって。それ以来、おいしいってことも、お腹いっぱいになることも覚えました。この病気は、その感覚がわからないんです。満腹になって「これは太るぞ~」「ダイエットしなきゃ」って言葉が口から漏れたときは、自分でも驚きました。いままではそんなこと怖くて言えなかった。彼の前でだけとはいえ、フツウに食事をできたことが、結婚のきっかけでもありました。それなのに……。

――離婚の後、過食嘔吐への揺り戻しがあったとブログでも告白されています。

遠野:彼とケンカをしたほんの数時間のうちに、わけがわからなくなっちゃいました。魔がさしたんです。フツウに食べているつもりなのにブレーキがかからなくなって、ああもうダメだダメだ、すぐに吐いて出さなきゃ……となりました。自傷行為もそうですね、半年以上も切っていなかったのに、揺り戻されてしまいました。そのとき、ほっとしちゃったんです。彼にも打ち明けました。私はもう〈フツウ〉でいたい自分を手放さないといけないと思ったんですよ。病気なのにフツウでいたがるから、ますます苦しくなる。だから、「私ももう隠さないから、あなたも私が病気のカノジョだってわかってね」と伝えました。

――摂食障害は一生治らないといわれていますが、そうやって折り合いをつけていくということでしょうか?

遠野:そう言われていますね。治る人もいるけど、治ると期待しすぎるのはいけないという意味だと解釈しています。一生のつき合いになるんだから、それ込みの自分だと思うしかない。色白の人もいれば色黒の人もいる、というぐらいに考えたいです。お金を積んだからって、変えられるものではないという意味で。

    ブログを読んでくれる人たちがみんな正直だから、私も正直でいたい

――そんな過酷な体験をブログですべてオープンにされているところに、いつも胸を打たれます。

遠野:読んでくれる人たちがみんな正直だから、私も正直でいたいんです。逆の立場になったとき、その人が芸能人ぶってウソついていたら絶対に読みたくないもん。この病気の人たちはほんとうに鋭いし、傷つきやすい。裏切られることを怖れています。

「なぎちゃんのことだけは絶対に信じるよ」というメッセージが1日に何通も届くし、私は私で「絶対に大丈夫だよ」「絶対にひとりじゃないからね」と繰り返しています。「カウンセラーでもないのに無責任」という声があるのも知っているけど、これって私自身が言ってほしかった言葉なんです。親からこの言葉を与えられずに育ってきたから。もちろんいつも本気で言っているけど、極論をいえば、そうじゃなくてもいいんですよ。親だって裏切るし、失敗しますもんね。でも、ほんの一時でもいいから「絶対」って言ってくれる存在がほしいのを知っているから、私は言いつづけるんです。

――遠野さんはかつて自殺願望に陥ったとき、〈いのちの電話〉に救いを求めていた時期があったというお話ですが、いまはブログ読者のみなさんがその役割を遠野さんに求めているように見えます。

遠野:〈いのちのブログ〉にするのが目標です。〈いのちの電話〉ってほんと繋がらないんですよ! そのあいだに冷静になっていくという効果はあるんですけど、本当に世の中から見捨てられた気持ちになりました。せめて留守電になってくれれば、「死にたーい! ふざけるな!!」って吹き込めてすっきりするんですけどね。

だから私のブログでは、汚い言葉でもヒドい言葉でも書いてもいいよと伝えています。友だちにもいえない悩みを抱えた人たちが、それで少しでも生き延びてくれればそれでいい。いまは私の具合に波があるので、更新が途絶えがちになることもありますが……それでも待っていてくれるから、ブログは続けます。笑っている自分だけでなく、病気の私も、泣いてる私も、怒っている私もぜんぶ見せていきます。

――ステキな私、笑っている私だけを見せるほうが、よほどラクですよね。遠野さんも、読者のみなさんも、すごくむき出しの状態だと感じます。だからこそ傷つきやすいし、生きづらい。

遠野:同じ病気や悩みを持った人たちと交流する活動も、もっともっとやっていきたいですね。私ひとりではできなくて、いろんな人の力を借りないと実現できないから。どうしてもお仕事として関わることになっちゃうんだけど……。一過性のもので終わらせるつもりはありません。

●遠野なぎこ
1999年連続ドラマ小説『すずらん』でヒロインに起用。2001年には映画『日本の黒い夏ー冤罪ー』で日本映画批評家協会新人賞を受賞する。その後、連続ドラマ『冬の輪舞』や舞台『黒革の手帖』に出演し、映画・TV・舞台等あらゆるジャンルで活動を行っている。2011年以降はバラエティ番組にも多数出演している。著書に、『一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ』『摂食障害。食べて、吐いて、死にたくて。』(ともにブックマン社)

三浦ゆえ