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2014/07/23

言葉遣いそのものが人生を創っている!

>>【前編】“やばい”は江戸時代のドロボウの隠語 作詞家・吉元由美さんに聞く、大人の女性が使うべき「美しい日本語」

メール、ブログ、SNS、人様の前に出す文章は、音読して心の中で精査

――ビジネス、プライベートのメールで使う言葉について、20代30代の女性が注意しておくべきことは何でしょうか?

吉元:一度出したら、取り返しがつかないのがメールです。送信ボタンを押す前に、2~3度、読み返すことをぜひ習慣にしてみてください。メールは、表情やジェスチャーを交えた会話とは違って、どうしてもきつい印象を与えてしまいがちです。 たったひと言ですが、されどひと言です。伝えることを伝えた上で、「今日もいい日になるといいですよね」など、投げかけの一行を挟んでおくと、相手にまろやかな印象を与えることができます。

――ブログ、ソーシャルメディアの投稿など、インターネット上の自己発信についてのアドバイスをお願いします。

吉元:「クリエイティブに生きる」という生産性を自分の中に持つといいと思います。例えば、素敵だと思った食事について伝えたい時、「美味しかった!」で終わらせるのではなく、「シェフに聞いてみたところ、このクリームの泡立て方は、90%くらいが絶妙らしいです」といった内容が入ると、ひとつ何かが生まれるわけです。舌触りや色や香りはどんな感じだったのか、五感をフルに活用させた食のレポートなら、受け手にとっても意味ある発信になるでしょう。

「ステキ~~~!」とやたらに語尾を伸ばす人、絵文字を多用する人は、20代30代に限らず、40代以降の女性にも多くみられますが、知的な感じがしないというのか、美しさを感じません。新著「美醜の境界線」(河出書房新社)にも書きましたが、ブログやSNSにかぎらず、人様の前に出す文章は、「音読して、心の中でしっかり精査すること」を心がけてほしいですね。

――「美しい日本語」に文章の上手い、下手は関係ありますか?

吉元:文章の上手さよりも磨くべきことは、「何を美しいと思い、美しくないと思うか」という感性や観察眼です。例えば、お花を見た時、過去の出来事がふっと浮かび上がり、それらが自分の中でつながっていく。すると、伝えたいことにも膨らみが生まれてきます。「私には、そんな才能はない」という人は、アンテナを立てていないだけ。意識すれば、誰にだってできることです。想像力を培うためにも、やはり活字には日常的に触れておく方がいいですね。ビジネス書や自己啓発書だけでなく、「物語」を読むことをお勧めしますね。想像力を育ててくれますから。

言葉を丁寧にしていくと、心が落ち着いて磨かれていく

――自分を見つめる力を鍛えることが、言葉の美しさにも表れてくるということですか?

吉元:はい。やはり、内面が言葉に反映してくるので、心の次元を上げていくことが大切です。デパートの構造と同じで、心の次元も上がるにつれて、違う景色が見えてくるものです。1階の化粧品売り場にはじまり、高級なお洋服や宝飾品など、階を経るごとに、違う世界が広がっていきますよね? 自分と向き合うことは、簡単な作業ではありませんが、心の奥深いところから出てきたものこそ、自分にとっての真実です。「答えは全て自分の中にある」と心底知ることができれば、何にも怖いことはありません。心を整えていくことこそ、本当の意味で、自分を磨くということです。

――心を整えると、言葉も美しく整っていくのでしょうか?

吉元:そうですね。でも、その逆に、言葉を整えていくことで、心が整っていくということもあります。言葉を丁寧にしていくと、心って、落ち着いていくものですし、磨かれていく。すると、心の次元もおのずと上がっていくんですよね。心を整えるということは、生き方を整えていることと同じなので、つまるところ、言葉遣いそのものが、人生を創っているとも言い換えられます。

誰しもみな、自分の中にたくさんの宝物を持っています。それをぜひ見つけていって欲しいですね。その手始めとして、言葉を“手渡すように丁寧に使っていく”ことを心がけてほしいと思います。人生は、自分で描く自分だけの物語。言葉がその人の未来を創るからこそ、自分の中のエゴや不浄なものを取り払って、清らかに過ごしてほしいと願います。

「おかげさま」の“かげ”には、見えない何者かのお支えありきという意味があるという。このように、日々、感謝や祈りが込められた言葉を使っていることを知るだけでも、「おかえりなさい」や「ごちそうさま」にも心が宿り、「そのエネルギーが世の中に満ちてくれば、自分や家族だけでなく、国レベルで上がっていく」と話す吉元さん。これから美しい日本語を使う女性が増えれば、世の中はより明るく、女性にとってもより過ごしやすい国になるのかもしれない。

岸由利子