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2014/07/11

性同一性障害にまつわる4つの誤解とは

昏睡強盗の疑いで逮捕された、「声優のアイコ」こと神いっき容疑者。ブログで性同一性障害を告白していたことから、一部では「性同一障害で手術代やホルモン注射代必要」(J-CAST/原文ママ)、「『オトコとオンナ』使い分けていた」(東スポWEB)などと、犯行よりも本人の人物像に注目するような見出しで報道されているのが目立ちます。

誰も「性同一性障害の人に会ったことがない」とは断言できない

性同一性障害とされる人は、日本全国で推計4万6,000人 (2013年、北海道文教大ほか調べ)。見た目にも社会的にも完全に自認する性別を生きている人も多く、“完パス”“埋没”と呼ばれます。「性同一性障害の人に会ったことがない」とは誰にも断言できず、また詮索するのもマナー違反、というのが日本の現状ではないでしょうか。

あなたが当事者かどうかに関わらず、知らないうちに人を傷つける言動をとってしまわないためにも、今回は性同一性障害にまつわるありがちな誤解を4つ、まとめて見ていきましょう。

1.性同一性障害は、精神障害だ

「性同一性障害」は、いわば日本の法制度上必要となった病名です。性同一性障害で障害者手帳が交付されることはありません。また、精神疾患の国際的な診断指針「DSM-V」においても、「病気ではない」とはっきり書かれています。

しかし同時に、自身を「障害者だ」と考えている当事者もおり、いわば「国際的には精神疾患でないが未だ議論中」という状態です。

日本では、身体的な性別変更を望むならば、生殖機能を失うような手術を禁じている母体保護法第28条に抵触しないようにしなければなりません。そのため性同一性障害という病名をつけることで、治療目的の手術を可能にしたという経緯があります。

中にはホルモン剤の副作用で気分の落ち込みを訴える人もいますが、それは性同一性障害以外に対してのホルモン治療でも同じことです。

2.性同一性障害とされる人は、男もしくは女への性転換手術を望んでいる

性同一性障害と診断された全ての人が、手術を希望するわけではありません。経済上・健康上などの理由から、単に必要を感じないという人まで、手術をしない当事者もおり、“ノンオペ”と呼ばれます。

また性同一性障害の診断の有無に関わらず、自身の性を「男でも女でもない何か」「性別が無い」などと自認する場合もあり、性のあり方は十人十色なのが現状です。

3.性同一性障害とされる人は、働くことができない

神いっき容疑者が生活保護を受給していたことから生まれた誤解とみられますが、タレントのはるな愛さんらが反例になるでしょう。もちろん、他の業界で働く当事者もいます。そもそも生活保護受給自体は完全に合法であり、反対するならば受給者を蔑視するのではなく法改正を求めるべきです。

4.性同一性障害とされる人は、同性愛者だ

性同一性障害は「本人の性別」、同性愛は「恋愛対象の性別」の話。性同一性障害であってもなくても、人間の性のあり方は、異性が好き・恋愛をしない・決めつけない……など様々です。

牧村朝子