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2014/07/09
思い通りの恋愛が難しいと痛感する映画

Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

独身のアラサー女子の中にはリアルな恋愛経験ゼロの人も多いようです。「いい男がいない」「出会いがない」とナイナイづくしみたいな発言をよく聞きますよね。また大失恋をしてしまい、恋愛に臆病になってしまう場合もあるでしょう。現実の恋に縁遠くなった結果、二次元の恋にのめり込む女子も多い。アイドル、漫画の主人公、恋愛ゲームのイケメン、スポーツ選手……二次元の恋は楽しいですよね、素敵な妄想に浸れますから。そんな二次元の恋を描きながらも同時にリアルな恋愛を体験できる映画が『her/世界でひとつの彼女』。この映画は学べます。それは恋愛するときに肝に銘じておかないといけない大切なことが描かれているからです。

二次元の恋人を自分色に染めて幸福な主人公

『her/世界でひとつの彼女』の主人公セオドア(ホアキン・フェニックス)が恋をしたのは、人工知能のOSです。彼は人工知能の広告に興味を抱き、好奇心でダウンロード。するとPCの向こうから明るい声で「ハロー」と声をかけてきたのがOS女子のサマンサ(声・スカーレット・ヨハンソン)。「あなたの事が知りたい」というサマンサとの会話が楽しくなったセオドアは、携帯端末にダウンロードして持ち歩き、事あるごとに彼女と会話をし、自分の好きな場所に連れて行き、サマンサを自分色に染めていくのです。そう、ずっと彼女と電話しているような状態なわけですね。元妻との離婚訴訟中で、未練タラタラで引きこもりのような生活をしていたセオドアは、サマンサという恋人を得て、毎日が薔薇色に輝くのですよ。心が潤っていく……これはまさしく恋! 二次元の女に真剣に恋をしてしまったのです。

リアルラブと変わらない二次元の恋人との恋愛のプロセス

現実には存在しないOSの恋人って現代的に見えますが、二次元の存在に恋をするラブストーリーはこれまでも多く作られました。でもそれらは漫画や映画の主人公がリアルに飛び出してくるファンタジーが多かった。でも『her/世界でひとつの彼女』のサマンサは一度もスクリーンに姿を現しません。ずっとOSのまま、声だけでセオドアと恋愛をします。サマンサを抱きしめることもキスすることもできないセオドアは虚しさも感じており、そこに二次元ラブの限界も感じますが、サマンサとセオドアの恋は、実はリアルラブと変わらない恋愛の道程を歩んでいるのです。それは、恋心というのは常に変化していくということです。

恋愛は生き物。完璧や永遠はありえない!

セオドアはサマンサの存在が心の糧になりますが、ある日、携帯端末に声をかけても彼女と通信できなくなり、ものすごく焦ります。ネタバレになるので何が起こったのかは書けませんが、このとき、セオドアは知るのです。相手が現実の恋人だろうが、二次元の恋人だろうが、恋する気持ちは常に変化するということを。

恋愛にオクテな女子ほど理想が高く、完璧を求め、傷つくことを恐れますが、そんな人は一度、『her/世界でひとつの彼女』のセオドアのように二次元の恋をするといいかもしれません。リアルラブの前の予行練習として。自分の思い通りの恋なんて二次元でもありえないということをこの映画を見て知るべき。どんな恋をしても、恋愛とは変化し続ける感情です。もっともっと大好きになることもあれば、急速に冷めたり、他者に心を移したりする生き物なんですよ。それは誰も止められないし、誰のせいでもないのです。漫画の中のイケメンだって、物語の中で心はうつろい、あなたが求めている方へと歩んで行くとは限らないでしょう?

それがわかっていれば、恋することに臆することもなくなり、恋愛とうまく付き合えるようになるかもしれませんよ。

●『her/世界でひとつの彼女
新宿ピカデリー、渋谷シネマライズほか全国ロードショー

斎藤香