ヤジ問題、男性の意見から今後を考える

集団自衛権の話で下火になってはきたが、野次問題をこのまま風化させてもいいのだろうか。今回は、さまざまな男性著名人の発言とともに振り返ってみたい。なぜなら、この問題を女性だけでなく、男性も一緒に考え続けることが、何か将来につながると思うからだ。

    鬼の首をとったような……

この一件が起こったのは6月18日の議会でのことだが、23日には鈴木章浩議員が野次の主であることを認めた。このころから、鈴木議員をやり玉にあげる人々のことを「鬼の首を取ったような」という人も現れた。

また、同じ時期から、塩村文夏議員の過去を持ち出してくる人々や記事も増えてくる。これについて、漫画家の小林よしのり氏は、25日の自身のブログで「今後は塩村議員へのバッシングに移行か?」と予想。翌26日には、「ネット右翼や週刊文春や週刊新潮で、やっぱり女性議員への過去暴きのバッシングが始まった。なんでも相対化すればいいとしか思ってない腐れ野郎たちだ」と憤りを見せている。

    なぜ言い返さなかったのか

その後、出てきたのは、「なぜ言い返さなかった」という意見だ。

作家で人材コンサルタントの常見陽平氏は、矢沢永吉が非常識な野次を一発で封じ込めたエピソードを紹介、「野次を飛ばした議員に対して強烈な一撃を食らわすとしたならば、犯人探し、自首などを待たずに、飛ばされた瞬間にその方向をにらみ、その場で『今、◯◯とおっしゃったのは、あなたですね』と言うべきでした。もっとも、会場が広いので難易度は高いですし、言われている内容が内容なので、ひるんだとは思いますけどね。とはいえ、その方向をにらみつけるだけで、犯人の特定はしやすかったと思いますし、毅然とした姿勢を見せることができたことでしょう」とコメントしている。

しかし、今でこそこの一件は世界にまで広がったが、その場でにらみつけただけでは議会の中だけで終わっていたかもしれない。また、反論をまともに受け取ってくれなかった過去があるからこそ、その場では言い返せなかったのではないだろうか。会社で理不尽な出来事に声を挙げられなかった女性たち(男性も)ならその気持ちはわかるだろう。

    謝罪ポイントがずれている

鈴木議員は23日の午後に謝罪をしたが、果たして、多くの人が問題視する点と、氏の謝罪のポイントがずれているのではないかという意見も出た。

みんなの党所属の参議院議員、松田公太氏は、「個人的に、そのような野次は『気にされている証拠』と前向きに捉えていましたが、今回の塩村議員に浴びせられた言葉は、それとは全く違うレベルのものです。一議員に対してのみでは無く、全ての女性、そして子供がほしくても出来ない夫婦やそのご家族の皆さんに対する侮辱です」とブログに綴っている。

また、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「今さら言うまでもないけど『女性は結婚して出産して家事するのが幸せ』みたいな役割を押しつけることが女性への差別であり、そういう差別をなくしていこうというのが、戦後日本社会(特に1970年以降)の取り組みだったんだけど、結局そういう考えはおおくの人に伝わっていない現状ということか。」とツイッターでつぶやいた。

これを考えると、鈴木議員の謝罪の「本当にしたくても結婚がなかなか出来ない方への配慮が足りなかった」という言葉が空回りしていることに気づかされる。

    騒いでも変わらない

「鬼の首をとったかのような」とつながるが、「騒いでも変わらない」という人も出てきた。

シェアーズカフェ店長・ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏は、「今回の騒動を機に女性差別の問題に目覚める人がいるのならそれはそれで良い事だと思う。しかしそんなことにはならないだろう。佐村河内守氏や小保方さんの問題にもはや誰も興味を持っていないように、数ヶ月もすれば騒動があったことすら忘れられているに違いない。なぜなら多くの人が差別発言をした政治家を叩きたいだけで、女性差別に興味を持ったわけではないからだ」「ウェブやSNSで罵詈雑言を書いている人は、一旦冷静になって身近な所で何か出来ることは無いのか、自分ごととして今回の問題を考え直した方が良い。」とブログに綴った。

しかし、地方議会での野次は減ったという話もある。また、アメリカのブルームバーグは、Change.orgで約10万件の署名が集まったことを、日本が新しい方向に進んでいることの象徴であると報じている。

    一時の騒動で終わらせない

「騒いでも仕方がない」という人とは反対に、「『性差別野次問題』を、一時の“騒動”で終わらせないために」立ち上がった人もいる。

評論家の荻上チキ氏は、自身が連載する『週刊SPA!』のコーナー「週刊チキーーダ!」で、23区区議会議員、東京都議、国会議員にFAXとメールでアンケートを実施。政治活動の中ではどの程度ハラスメントが常態化しているのか。今後はどういった対策をとるべきかなどについて問いかけた。

やはり、「何も変わらない」と言ってあきらめるよりも、荻上氏のように、アクションを続けていくほうが有効ではないか。こうして記事で振り返ってみても、一時の騒動では終わらせず、続けることに意味があると筆者にも思えるのだ。

(芦沢芳子)

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