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2013/10/28

こんにちは! 2013年度「食のなでしこ」の星野慈です。ここのところ、朝晩の冷え込みを感じるようになり、日に日に秋色が深まってきていますね。季節 の変わり目ということもあり、風邪をひく方も増えています。外出のあとはうがい・手洗いをこまめに行い、寒い季節を元気に過ごしましょう!

イライラも静まる!食べ物でできる不眠対策

■食べ物の視点で不眠対策を考えてみる
ところでみなさま、最近、眠れていますか? 身体の中の免疫を高めて風邪をひきにくくするためには、十分かつ良好な睡眠が必要不可欠です。そして、日中に 眠気を感じると、高カロリーの食べ物を食べたいという衝動が抑えにくくなるという研究もあります。不眠はダイエットの大敵でもあるのですね。そこで今回 は、食べ物という視点から不眠対策を考えてみましょう。

 

■眠りにはホルモンが関わっている
まず、人の睡眠を司るホルモンはいくつかありますが、食べ物から吸収できるのはメラトニンです。といっても、メラトニンそのものを食べるのではなく、メラ トニンの前駆物質である「トリプトファン」という必須アミノ酸を食べるのです。トリプトファンは身体の中で作ることが出来ないので、食べて取り入れるしか 無い物質なのです。

 

ちょっと難しい話ですが、トリプトファンは吸収されて分解される過程で下のように変化していきます。

 

■トリプトファン→セロトニン→メラトニン
摂取されたトリプトファンは脳に運ばれ、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムなどに力を借りながら変化していきます。

 

セロトニンは、鎮痛、催眠、精神安定などの作用がある神経伝達物質です。脳のトリプトファンの濃度が高まるとセロトニンが増えて効果が期待できるため、イライラをおさえたり、緊張を和らげたい時に効果があります。

 

そして、メラトニンは天然の睡眠薬で、最近はこのメラトニンの受容体に作用するお薬も発売されています。また、若返りにも効果が期待できるとされているので、睡眠とあわせて美容にも欠かせない成分ですね。

 

では、何をどれくらい食べれば良いのでしょうか。

 

トリプトファンの摂取目安は体重1kgに対して2mgです。つまり、体重50kgの方であれば100mgですが、これは普通にごはんを食べている方なら十分クリア出来る量です。

 

ただ、不眠に対して効果を期待する場合は、体重1kgに対して10~12mg、すなわち体重50kgなら500~600mgのトリプトファンの摂取が必要といわれています。

 

100gあたりの含有量が多い食材としては、以下があげられます。
・赤身魚(マグロ、カツオなど) 200~250mg
・肉類(特に鶏肉) 150~250mg
・納豆 242mg
・そば 192mg
・精白米・食パン 85mg

 

ちなみに、食べ物として摂取した後の消化吸収の時間を考慮すると、お昼ごはんにこれらを食べ物として摂取すると、寝る時間に精神的な安定作用と睡眠作用が得られやすい可能性があります。つまり、良好な睡眠を得るためにはランチにこれらの食材を取り入れると良いでしょう。

 

マグロの漬け丼や親子丼、納豆そばなどがおすすめです。照り焼きチキンサンドなども良いですね。

 

そして、飲み物だったらやっぱり牛乳です。牛乳100gでは40mgのトリプトファンが含まれます。そして、カカオの中にも多く含まれますので、これからの季節は暖かいココアとともにチキンサンドをほおばる、なんてランチはいかがでしょうか?

 

トリプトファンは取りすぎると肝臓の障害を起こしたり、うつ状態になりやすいという報告があります。つまり、ある程度の目安量を知って、適度に取り入れるのが良いでしょう。

 

毎日忙しくて、気を使うことも多くて、ストレスの多い時間を過ごす方も多いと思います。でも、食べるものにちょっとだけ気を使うことで、ストレスを和らげたり、しっかりと眠ることができるなんて、素敵ですよね。

 

身体のことを少しだけ気遣って、食べ物を選んでみてください。きっと今よりももっと素敵な毎日が見えてくるはずです。このコラムが、少しでもみなさまの毎日のヒントになりますように。

 

文:星野慈(ホシノメグミ)

 

星野慈(ホシノメグミ)

都内大学病院の糖尿病・代謝・内分泌内科医師。幼少期をカナダのトロントで過ごす。帰国後、某パンクバンドでギターボーカルとして数々のライブ活動をこな す。大学在学中より食品に対して興味をもち、現在は医師、読者モデル、ラジオパーソナリティ、ライター、バイオリン奏者として活躍中。

日本フードアナリスト協会