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2014/06/26

世間を騒がす脱法ハーブの正体とは?

6月24日、夜の池袋で暴走車が通行人をはねとばし複数の死傷者を出した事件で、運転手が「脱法ハーブを吸った直後に運転した」と供述した。近年、この事件以外にも多くの脱法ハーブがらみの事件が起きているために、嫌な意味で注目が集まっている脱法ハーブは、合法ドラッグ(略して合ドラ)とも呼ばれている。合法で脱法とは、いったいどういうことなのか解説していこう。

化学物質が付着したタバコのような葉を燃やして煙を吸う

脱法ハーブはその名が示すように、見た目は「葉っぱ」である。タバコに詰まっている葉っぱによく似ているが、その表面に化学物質が付着しており、燃やして専用の吸入器で煙を吸うことで効果があらわれる。ほかにも、粉末状の「パウダー」や液状の「リキッド」などの形態もある。これらも専用の器具を使用して摂取することになる。

どんな効果があるのか、種類によって異なるのだが、代表的なところでは興奮状態、感覚過敏。それ以外にも攻撃性の増加、意識が飛んだりなどである。このあたりの効能が冒頭の池袋の事件の運転手にあらわれたと考えると、服用した状態での運転がいかに危険なものかおわかりいただけるだろう。

所持しても使用しても逮捕されない薬物の模造品

世間を騒がす脱法ハーブの正体とは?

「脱法ドラッグ」というのは、警察など取り締まり側の呼び名である。元々ユーザーの間では「合法ドラッグ」と呼ばれ、所持しても使用しても逮捕されない薬物の模造品とされていた。しかも、ヘッドショップ(喫煙具などを販売する店)などの路面店で誰でも安全かつ簡単に購入できる。商品は幅広く取り揃えられており、ハーブ1回分なら2,000円~、スペシャルブレンドと呼ばれる高価な3万円のハーブまで様々な用途に合わせて使用できる。

現代の若者に普及した背景にはパーティードラッグとしての要素が強い。複数の男女が集まって吸入器で熱したハーブの煙をタバコのように吸い込む。そうすることでキメセク(薬物を服用してのセックス)に雪崩れ込むのだ。覚せい剤を服用してのセックスと似たような効果が得られるため、リスクに鈍感で好奇心旺盛な人たちを中心に普及している。

法律改正により取り締まりが強化

覚せい剤や大麻などの違法薬物は薬物四法(覚せい剤取締法など)や薬事法で取り締まられている。そして、逮捕されないと言われる脱法ハーブもこの薬事法で取り締まられているのである。しかし、脱法ハーブを精製する際に用いられる薬物は、成分の含有量を変化させたりして化学式をわずかに変化させてしまうだけで、薬事法の指定を免れてしまう。つまり薬事法で違法薬物指定する前に別の薬物を生み出してしまうのだ。これが、まさに法律の抜け穴となっていた。

ところが2014年の薬事法改正によって、持っていたり、買ったり、使ったりすることも禁止された(これまでは営利目的の製造や販売が禁止されているに過ぎなかった)。しかも、東京都では指定薬物に該当しない薬物であっても、健康被害が出ることが確認されたら「知事指定薬物」として、即座に違法として扱われることになった。

どんな副作用をもたらすのかわからない恐怖

世間を騒がす脱法ハーブの正体とは?

ただし、逮捕のリスクだけが危険なのではない。脱法ハーブは使用後に統合失調症のような幻覚・妄想状態が続く副作用が襲いかかる。このとき、覚せい剤を使用したときと同じように脳細胞が破壊されてしまっているという。法律の穴を抜けるためだけに強引に作られた薬物は、どんな副作用をもたらすのかわからない。それどころか治療法すら確定していない。

「ハードドラッグは何十年も使われているので、ある意味では人体実験の症例が数限りなくあるわけ。ところが脱法(ハーブ)は、次々に入れ替わっていくから……怖くて使えないよ」

これは長年薬物に手を染めてきたジャンキーの言葉である。薬物に散々手を染めてきた彼らですら、脱法ハーブを避ける。それなのに、現状では手を出す者は増えている。そして、そのニーズに応えるように供給側の業者は、次々と抜け道を見出していく。このイタチごっこは当分続くだろうが、そこに巻き込まれるのかどうか、安易に手を出す前にもう一度考えてもらいたい。

丸山ゴンザレス