駐妻に憧れる前に知っておきたいこと「セレブ専業主婦でいられるのは数年だけ」

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駐妻に憧れる前に知っておきたいこと「セレブ専業主婦でいられるのは数年だけ」

「仕事もしんどいし、結婚して専業主婦って手もあり? 仕事ができるパートナーだったら、海外赴任なんてこともあるかも!駐妻って一度はやってみたいんだよなぁ……(って、よく夢みちゃう)」

ハウスキーパー付きの豪華な住まいに送迎車。駐在員の妻といえば、一般的に「超勝ち組」というイメージがありますよね。専業主婦願望がなくても、その悠々自適な生活に憧れたことは一度くらいあるのでは?

今回は、パートナーのインドネシア赴任に帯同中の伊藤ゆい(いとう・ゆい)さんに話を聞くことに。どんなセレブリティ生活が飛び出すの!? ……と思いきや、開口一番飛び出したのは。

「海外赴任が決まると、まず、家族と離れて暮らすか、キャリアのブランクを取るか迫られます。そんなに呑気な気分じゃいられませんよ」と、ピシャリ。

いやいや、でもちょっとぐらい、夢の暮らしに浸ってもよさそうですが……実際のところを聞いてみました!

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悠々自適な生活。でも、キャリアのブランクが不安

——伊藤さんは、現在インドネシアにいながら日本のIT企業で、リモートワークと出張を組み合わせながら働いているんですよね。パートナーの海外転勤って、ちょっといいなぁって思うのですが、伊藤さんとしては喜ばしいものではなかったとか。

伊藤ゆいさん(以下、伊藤):はい。大学を卒業してからずっと仕事をしていたので、専業主婦という選択肢は一切考えていなくて。夫と話してしばらくは単身赴任をしてもらっていたんです。

でも、ワンオペ育児をしながら仕事を続けるのは本当に大変だったし、子どもは一人と決めていたので、その成長を夫と共有できないのは家族にとって残念なことだと思い、私もインドネシアで暮らすことにしました。

——引っ越しとほぼ同時に現地の企業に再就職したんですよね。少しぐらいゆっくりしようと思いませんでしたか?

伊藤:海外赴任はほとんど任期が決まっているので、ゆっくりなんてしていられませんよ。たいてい2、3年。すると私の場合、帰国する頃には30代半ば。いずれ日本に戻ることを考えると、キャリアにブランクができることがとても怖かったんです。

転職市場には、バリバリ仕事を続けてきた人がたくさんいて、その人たちとポジションを取り合うことになる。中途半端な英語力だけでは、次の仕事が見つからないというリスクを感じていました。

手取りが半分になってもいいと思ったけど…

——なるほど。キャリアを諦めないために、ブランクを作らなかったんですね。

伊藤:どうにか仕事を続けたい一心で働き始めましたが、インドネシアは給与水準が低くて、月収は日本で働いていた時の半分以下。日本で働くのと拘束時間も変わらないし、渋滞がひどくて通勤に1時間以上かかることもざらにある。

「私の仕事の能力が落ちたわけではないのに、なんで給与がこんなに少ないんだろう」と、正直、むなしさを感じることもありました。

——それはモチベーションが下がりそう……。

伊藤:モヤモヤの原因は職種にもありました。私はこれまで人事の仕事をしていたのですが、再就職先では営業と、全くの畑違いで。この仕事を続けても私のキャリアには繋がらないな、と4か月で退職しました。

夫について行くと決めたのは自分なのに「日本での仕事を辞めて、本当に夫の海外転勤についてくるべきだったんだろうか」と、モヤモヤしていましたね。

ブログが駐妻仲間との交流の場に

——その悩みを誰かに打ち明けることはできましたか?

伊藤:最初のうちは、なかなか周囲に相談できなかったんです。知人に話しても、「でも、なんだかんだいって駐妻でしょ?贅沢な悩みだよね」と思われてしまう。「小さな子どもがいるのに、こんなところで働いてどうするの」と取引先の年配の男性に言われたこともあります。笑って流したけれど、家に帰ってから悔しくて泣きましたね。

——それはつらいですね……。

伊藤:でもある時、「自分と同じように、仕事の悩みを抱えている人がいるはず」と思い立って、ブログを始めたんです。すると、思った通り、似たような環境で悩んでいる人たちからコメントがついたんです。そこで繋がった人とのやりとりで、励まされました。

——どんな人たちでしたか? 

伊藤:私が出会った女性は、営業やディレクターなど、もともと総合職で働いていた方が多かったです。仕事を辞めた人もいたし、世界展開をしている企業で働いている人なら、現地法人に移籍させてもらったりしていましたね。

「休職してついてきたけど、会社は2年しか休めないからどうしよう」と悩んでいる人や、「赴任中に子どもを産んで、育休産休をとろうか……」と考える人も多かったです。

——そこまで計画的に動いている人がいるんですね!

伊藤:制度が充実している企業であれば、育休も数年取得できる場合がありますからね。ただ、会社を辞めずに済んでも、キャリアを一時中断していることに変わりはないので、焦りを感じるという人もいました。そんな交流を通じて、やっぱり日本で働きたいと思い、再び就職活動を開始して、今のスタイルで働くことになりました。

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「オンラインでできる仕事」が鍵

——パートナーの転勤でもキャリアを中断せずに済む仕事は、どんなものだと思いますか?

伊藤:「オンラインでできる仕事」がこれから先、鍵になると思います。私は人事として働いていますが、通常はリモートワークが難しい職種。ですが、そこはIT企業ならではというか。メールやチャットなどのコミュニケーション手段が整っているし、会議もSkypeが使えるので出勤しなくても仕事ができる体制があった。

本来は直接顔を合わせて仕事をすることを重んじている企業なのですが、帰国までの間はリモートワークを認めてもらえて。柔軟な働き方ができる会社に出あえたのは、とても幸運だったと思います。

——海外赴任だけでなく、国内転勤でも、家族のために自分の好きな仕事を手放さなきゃいけない人もいます。悩みを抱える方に、最後にメッセージをください。

伊藤: 海外生活で得られたものはたくさんありましたが、「仕事をしている妻が、家族の転勤で退職をする」ということには、様々なリスクもあるのではないかと思います。「家族のために犠牲になっている」という思いを払拭できたことで、夫との関係も、これまでよりよいものになりました。

家庭で得られる喜びはもちろんたくさんありますが、仕事を通じて得られる喜びは、また別の種類のものです。これからは、ネットを介して場所を選ばずにできる仕事も増えていくはず。家族の転勤があったとしても、自分らしい生き方を模索することはできるはずだと信じています。

(撮影:牛島康介)

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