キャリア・コンサルタント座談会(前編)

年収、知名度、立地にこだわりすぎて転職に失敗…キャリアのプロ女性4人の座談会

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年収、知名度、立地にこだわりすぎて転職に失敗…キャリアのプロ女性4人の座談会

キャリアのプロとして、転職活動中の個人や人材を求めている企業をサポートするキャリア・コンサルタントという職業。

キャリアのプロなら、自分のキャリアはトコトン戦略的に築いているのだろうと思いきや、実際には「転職で失敗することもあり、自身の経験を実際のコンサルティングで生かしている」という面もあるのだそう。

今回は、キャリア・コンサルタントとして活躍する女性4人を集めて座談会を開催。前半では、キャリアのプロが密かに明かす「転職の失敗談」をお届けします。

今回、座談会に参加したのは、こちらの4人。

五十嵐(仮名):新卒で大手人材コンサル、今年で12年目。現在1人目の育休中。転職経験なし。
玉木(仮名):新卒で損害保険(一般職)、その後、大手人材コンサルに転職。現在40歳で結婚して3年。
新田(仮名):新卒で海外の高級ブランドに入社して販売を担当。大手人材コンサル、アパレルPRを経て、人材系ベンチャーに転職。現在、次のステップに向けて充電中の既婚31歳。
神崎(仮名):新卒で大手銀行(一般職)、その後、大手人材コンサル、証券会社を経て、2社目の大手人材コンサルへ。社会人17年目、独身。

私たちの転職失敗談

——今日は、キャリア・コンサルタントのみなさん4人にお集まりいただきました。キャリア・コンサルタントといえば、まさに「キャリアのプロ」として日々、転職活動している個人や、人材を求めている企業をサポートする仕事ですが、ご自身の転職には、悩みも尽きないのだとか。

神崎:はい(笑)。キャリアのプロでも、自分のキャリアには正直迷います。実際、これまでいろいろ失敗もしているし。

新田:してる、してる(笑)。

神崎:でも、どの失敗も今に生きてるんです。キャリア・コンサルタントして、お客さんにネタとして提供しています。「こんな私でも、ちゃんと転職できましたから、大丈夫ですよ!」って励ましたり。あの失敗がなかったら、ここまで親身にコンサルティングできなかったと思う。

——なるほど、自分自身もキャリアで悩んでつまずいてきたから、かゆいところに手が届くサービスをプロとして提供できている、と。では、さっそくですが、今だから笑い飛ばせる失敗談を根掘り葉掘り聞かせてください。

「場所・知名度・年収」にこだわりすぎた

神崎:私、実は2回目の転職で大失敗してるんです。就職氷河期になんとか新卒で入れた銀行に6年いたんですけど、窓口ではなく本部にいたので毎日数字ばっかりでイヤになっちゃって。「人の役に立ちたい!」と考えて、大手人材コンサルに入りました。異業種だったので、年収も下がるし、雇用形態も契約社員。親にも「大手銀行を辞めるなんて!」と反対されたけど、やっぱり転職したくて。

——1回目の転職が、新卒で入行した大手銀行から大手人材コンサルへの転職だったんですね。これはまあまあうまくいった転職だったけど、次の2回目が大失敗だった、と。

神崎:そうなんです。「未経験の分野だから、とりあえず契約社員でキャリアと積もう」と考えていたんですが、ちょうど契約の更新時期にリーマンショックが来ちゃって、私以外も誰ひとりとして契約を更新されないというハプニングが……。

それで仕方なく転職活動を始めたのが2回目だったんです。でも、その時のこだわりが今から考えると、ことごとく間違っていました。当時の私のこだわりは「場所(丸の内)」「知名度」「年収」の3つ。そして、見事にその3つが叶う大手証券会社にアナリストアシスタントして正社員で入社できたんですが……。

——しかし、そこからが苦悩の始まりだった?

神崎:苦悩というか、もうヒマすぎて(笑)。毎日、脳の2%を起動すればできちゃうような仕事ばかりだったんです。3時間ランチしていても何も言われないし。3時間もあるから、食事したあとネイルしたりエクステしたり。バーゲンシーズンは、丸の内のお店を一通りチェックして取り置きしておいてもらった商品を、5時の退社後に受け取りに行く感じ。

——それはある意味、拷問かも……。

神崎:「場所」「知名度」「年収」のすべてが満たれさていたのに、自分の中は何一つ満たされなくて。これまで3回した転職の中で最悪の失敗でした。大手証券会社に勤めていた時は、「私って、いつでも替えがきくよね……」と憂うつでしたね。やっぱり「自分にしかできない仕事」「人の役に立てる仕事」がしたかった。そこはしっかり考えて選ばなきゃ、と反省しました。

——「遊んでいても給料がもらえる」という夢のような職場が、実際には最悪だったんですね。そして、この失敗から「条件にこだわりすぎるのはダメ」と学んだ、と。

神崎:学びました(笑)。このひどい転職のあとにたどり着いた今の職場は、まさに天職です。今年で6年目になりますが、満足しています。個人のクライアントの方にも、かつての自分みたいな条件ゴリゴリの人はいるので、そこはちゃんとアドバイスするようにしています。

ベンチャーは超楽しいけど、ハードワーク

——他にも、大手からベンチャーに転職して失敗された例もあるとか。詳しく聞かせてください。

新田:はい、それ、私です。私は新卒で海外高級ブランドに入社、店舗販売をやっていました。そこから大手人材コンサルでキャリア・コンサルタントになり、人材系ベンチャーという流れ。実は今年4月に退社して、現在は次のステップを考えながらプーをしています(笑)。

——新田さんはこれまで3回転職をされてますよね。それぞれ反省点があった?

新田:ありますね。1回目の転職理由は「人と関わる仕事」がしたくなったから。海外高級ブランドの店舗でバッグを売っては毎日何十万円という札束を数えてばかりいるうちに、「人生になくてはならないものを提供したい」という思いがどんどん膨らんでいって。高級ブランドのバッグって人生にあってもなくてもどっちでもいいですよね(笑)。だから、今の仕事は自分が求めているものじゃないな、って。

それで、大手人材コンサルに入社したんですが、自分がやりたいことしか考えていなくて、社風のことがスッポリ頭から抜け落ちていたんです。それで失敗。アパレルPRを経て、3回目は「自分がやりたいこと」と「会社がやりたいこと」が一致しているという理由で、意気揚々とベンチャーに転職したんですが……。

——次の落とし穴が待っていた?

新田:はい、残念ながら。これまでの職場で一番楽しかったんです。自分の思いと会社の思いも一致してたし、リモートワークなど自由なワークスタイルも認めてくれる。でも、やっぱりベンチャーだから成果に対するプレッシャーがすごくて。

みんな、200%のエネルギーをガンガン出してめちゃくちゃ働いてる職場だったんです。だからものすごく楽しいし、活気もある。でも、これをずっと続けられる?と考え始めると、「無理」という結論に達してしまって。

——楽しすぎるほどの職場だったけど、ハードワークでついていけなかったんですね。

新田:そうなんです。自分のライフステージとあってなくて。ちょうど結婚もして、現在31歳でそろそろ子どものことも考えると、生活とバランスが取れなくなるな、と気づきました。辞める直前はちょっとメンタルにも不調をきたしていたし。会社からはがんばりを認められて「マネジャーにならない?」という話もあったんですが、さらに忙しくなって土日も仕事しなきゃいけなくなるので、イヤでした。

社内異動が転職の代わりになった

——今回は4人のうち3人が転職経験ありということですが、3人目の玉木さんもご自身の経験から学ばれたことがあったそうですね。

玉木:最初の転職は社会人5年目でした。「就職が決まらなければ、地元に戻りなさい」という両親からのプレッシャーから逃れるためとりあえず就職した損害保険会社にいたんです。1年目にして「ちょっと違うかな」と思いながらもズルズルいて営業アシスタントをしたりしていました。でも5年目で「来年もこの仕事をやってるのかな?」とふと考えた時に、「ないな」と自然に結論が出て

——「来年も今の仕事やってるの?」という自分への問いかけは、すごくリアルですね。ウートピ読者の中にも、そう自問自答している人は少なくなさそうです。

玉木:とはいえ、転職先にアテはなくて。とりあえず「転職相談に行くか」と訪れた大手人材コンサルに就職、今も働き続けています。実は転職してからもことあるごとに、「このままでいいのかな」とモヤモヤはしていたんです。実際に転職活動をすることはありませんでしたが、ネットで調べたりはしていました。

——でも、玉木さんの場合、転職は1度きりですよね。モヤモヤはどういうふうに解消したんですか?

玉木:そうこうしているうちに31歳で、部署異動で神戸から東京に転勤になったんです。大手だと、「部署移動=転職」みたいなインパクトがありました。私の場合、勤務地も神戸から東京になっちゃったし。モヤモヤが転職ではなく異動である程度解消されちゃったんですね。「これ、違うかも?」と感じた時に、次にやることを社内で探せるのは、大手のいいところかもしれません。

五十嵐:私も相談にいらっしゃる人が大手企業に勤めていたら、「(転職ではなく)部署異動の可能性はないの?」という話をすることはありますね。

神崎:私も個人のクライアントに「転職ありき」の話はしないかも。そうはいっても、転職っていろいろリスクはあるから。本人が腹落ちしていないのに、「大丈夫ですよ!」って無理やりサポートして転職させてもすぐ辞めちゃう。キャリア・コンサルタントとして中途半端に寄り添っても意味がないです。

新田:転職活動をする中で「今の会社にいるのが一番ハッピーかも」「なんだ、結構恵まれてるんだ」と気づく人は少なくないですよね。モヤモヤしたまま転職しても同じことを繰り返すだけです。

転職で長年のコンプレックスが解消

——神崎さん、玉木さん、新田さん、それぞれご自身の転職経験の中に反省点があって、それがキャリア・コンサルタントとしての今の仕事に生かされているんですね。

新田:ですね、いろいろ失敗はしたけれど、転職するたびに自分の中で「やりたいこと」が絞られていったのは本当によかったです。

最初の転職動機は「人生になくてはならない仕事をしたい」、そこから人材コンサルで働きながら「情報を発信するスキルを身につけたい」と考えるようになりアパレルPRに転職。PRの仕事をしている時に「女性向けのサービスを提供したい」という思いが芽生えて、最終的に女性のキャリアを支援するベンチャーに行き着きました。「やりたいこと」はどんどんクリアになってはいます。次に何をやるかは、まだ考え中ですが。

神崎:私もそれはありますね。

最初に勤めた銀行は30手前まで勤めて転職しましたが、やっぱり最初は何か「なりたい姿」が具体的にあるというより、漠然と「10年後の自分」が想像できないという不安が出発点でした。40代のおばちゃまは結構いたけど、みんなまわりから「面倒くさいおばちゃま」って感じで扱われていて。独身で、お給料いいからマンション買って、ブランド物持って……。それはそれでいいけど、自分がなりたいかといえば、違うよね……と。

全員:あー、そういうおばちゃまいる!

神崎:そこから、人の役に立ってる実感が持てる仕事がしたい、という思いが出てきた。でも、じゃあ、何やる?というのは、まだ明確には見えてなかったんですが。20代半ばは、「ブライダルプランナーもいいなあ」なんて、夢みていたこともあったし(笑)。まだフラフラしてたかも。

玉木:そうですよね、モヤモヤして転職したり、いろいろあがいてみて、だんだんやりたいことが見えてくる。

新田:たとえ失敗しても、自信にはなるんですよね。結果的には「きつすぎて無理」という結論になってしまったけど、自分の中では、直近のベンチャーへの転職が一番成功だったんです。というのも、その転職で長年のコンプレックスが解消されたから。

それまでは何か「突出してやりきった」という経験が持てないことが、コンプレックスだったんです。でも、転職して「女性のキャリアを応援したい」という自分の思いを、仕事を通じて実現できる環境に身を置けたことで、そのコンプレックスが解消されて。とにかく、やりたいことは何でもやらせてもらえる環境だったから。

——結果的には「失敗」となってしまっても、着実にステップアップはしていたということですね。そして、キャリア・コンサルタントとしての引き出しを増やすことにもつながっていたと。ここまで、みなさんの実体験を中心に聞いてきましたが、後編では、「30代女性の転職」に関してキャリアのプロとしていろいろとアドバイスをいただきたいと思います。引き続き、よろしくお願いします。

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