「転職バージン」座談会(後編)

女性は出世よりプロフェッショナル志向 「転職バージン」の意外なホンネ

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女性は出世よりプロフェッショナル志向    「転職バージン」の意外なホンネ

大学卒業後に新卒で入社して、一度も転職しないまま10年が過ぎて……。「35歳が転職の壁」と言われるなか、残された猶予はあと数年。私、本当にこのままでいいの? そんな迷いを感じている「転職バージン」のみなさんは、意外に少なくないかもしれません。

30代になると少数派となる「転職バージン」。今回ウートピでは、入社10年前後の転職未経験の女性4人を集めて座談会を開いてみました。

前回に引き続き、今回は「転職バージン」のみなさんが考える「これから」について聞きました。

転職活動でわかる「今の会社のよさ」

今回、ウートピが開いた座談会に参加してくださったのは、こちらの4人。

長野さん(仮名):大手IT企業勤務/12年目(33歳)/広告担当
角田さん(仮名):中堅IT企業勤務/10年目(32歳)/広報担当
加藤さん(仮名):人材コンサル企業勤務/10年目(32歳)/キャリアコンサルタント
笹川さん(仮名):大手通信系企業勤務/11年目(33歳)/人材開発担当

——前回でみなさんが「転職バージン」と呼ばれながらも、実はそれほど焦りを感じていないことがわかりました。転職活動さえ、一度もしたことがいんですか?

長野:私は30手前で一度「このままでいいのかな?」と転職活動を始めてみたんです。でも、焦りから中途半端な気持ちでやってもうまくいかないな、ってすぐに気づいて。

加藤:私の仕事はキャリアコンサルタントなので、これまでも大勢30代女性の転職を見てきましたけど、「なんとなく」で転職活動を始めた人は、だいたい失敗している印象です。転職先で楽しくなさそうだったり、すぐに辞めて転職を繰り返すスパイラルに入ってしまったり。

長野:そうなんです(笑)。結局、異動もあって、新しい上司が親身になっていろんな教育プログラムに行かせてくれたこともあって、焦りは落ち着いていきました。基本的に今の会社は居心地がいいし、女性にも優しい制度がいろいろあるので、辞めずに足らないスキルを身につけようと発想を変えたんです。

加藤:長野さんみたいに転職活動をした結果、「今の会社でがんばる」という決断をする人も結構いますよ。キャリアアドバイザーのカウンセリングを受けて、いろんな選択肢を見せられた結果、「なんだ、今の会社って結構いいじゃん」と納得する人。そういうタイプは、同じ職場で急にパフォーマンスが上がったりすることが多いですね。

長野:「今の会社でがんばる」と決めたのには、30歳を過ぎて体力が落ちたことも理由としてありました。もう20代みたいに体力勝負の長時間労働はできない。となると、自分のペースにあった仕事量や勤務時間でやらせてもらえる今の会社は悪くないなと、それまで見えなかったプラス面に気づいて。

転職するより、まずは働きかたを変えようと思いました。目の前にある仕事を全部やりきらない。とりあえず最優先でやるべき仕事だけをやる。「今日はフレックスで早く帰ろう」と決めたら、周囲を気にせずに帰る。そんなふうに割り切ってみると、不思議と成績が上がって。

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転職するより、社内でスキルアップ

——モヤモヤした気持ちを抱えて転職するよりは、今の会社でスキルを伸ばす。発想を変えることでまたがんばれるようになったんですね。

角田:私もその発想ですね。入社して2、3年目で「広報の仕事をずっとやっていきたい」と心は決まっていたんです。それは今も変わらなくて。広報のプロとして、自分にどんなスキルがあれば一生やっていけるか、その「欠けたピース」を考えるようになりました。

まだ今の会社でやれることをやりきっていない感覚があるんです。私は広報でメディア対応をやっているので、ウェブ媒体だけでなくテレビなど他のジャンルも扱えるようになりたい。そうやって自分の弱点を克服できて、「やりきった」と思えたら転職したいです。

笹川:私も転職より今の会社でスキルアップしたいんですけど……。ただ、自分にはこのスキルが足らないから伸ばそうというよりも、会社から「あなたはこのスキルを身につけてください」と求められて伸ばすという感じなんです。

そのほか、大企業はやっぱり根まわしは大事なので、社内政治をうまくやるスキルも身につきますけど、どのスキルも社外に持ち出せないですよね……。それでさらに転職が遠のいていくという悩ましさはあります。

——「自分がつけたいスキル」と「会社から求められるスキル」がずれている苦しさがあるんですね。

加藤:私もこの1年で、持ち運べるようなスキルを会社にいながら伸ばすことを意識するようになりました。結局、所属する会社は関係ないな、と思うようになって。「W社の加藤さん」じゃなくて、「加藤さんと仕事がしたい」と言ってもらえるように能力を高めることが大事だな、と。会社は箱に過ぎなくて、どこの箱に入ってもパフォーマンスが出せるように自分を整えておく方がずっと大事じゃないかと考えるようになりました。

角田:そうそう。それが理想ですよね。

加藤:むしろ最近は転職より、フリーランスになる可能性の方を考えるようになりましたね。でも、すぐにってわけじゃない。今は会社員として会社のリソースを使わせてもらいながら仕事をした方が、やりたいことがスムーズに実現できるし、個人でやるよりインパクトが大きい。社内のしがらみが足枷になってやりたいことができないという不満もないし、このまま社内で自分を伸ばし続けようかな。

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出世するより、「現場のプロ」がいい

——みなさん「プロ」として自分のスキルを伸ばすことに集中したい、って感じなんですね。

笹川:典型的な日本企業なので、社員を2、3年でコロコロ異動させてジェネラリストに育て上げ、やがてマネジャーにしていくというキャリアパスなんです。でも、私自身はジェネラリストとして出世していくことには興味が持てなくて。スペシャリストに憧れてるんですよね。

全員:わかるー!

長野:社内に、ゆるゆる働いてる女性とバリキャリの女性がいて、自分はバリキャリの方に行きたいんだけど、役員クラスまで出世したいかといえば、それは興味なくて。

全員:役員とか興味なーい。

加藤:実は私の場合、一度経験して自分にマネジメントの才能がないことがわかったので、今年からプロフェッショナル・コースを選択したんです。

笹川:そんなの、選べるんですか!?

加藤:選べますよ。2年ほど前に初めてマネジャーになって部下を持ったんですけど、向いてなかったですね。部下から居酒屋に呼び出されて何時間もダメ出しされたこともあったかな(笑)。とにかくつらかった。

長野:うちの会社も選択できるんで、私もプロフェッショナル・コースにしました。

笹川:いいなー、うちもその制度あったらいいのに。私も定年までずっと現場でプロフェッショナルとして働いていたいのに、会社の方針でこの年齢になるとマネジメントの指導をされるんです。そのたびに「私、こんなことやりたくない!」ってイライラしちゃう。マネジャーになって自分で企画を立てたり動かしたりできなくなるのが、イヤなんです。チェックとか管理ばかりじゃつまんない。口だけ出す上司に自分がなるなんて、ムリ。

角田:私もプロフェッショナル派ですね。広報のプロになるために今の会社でがんばってるだけで、出世してマネジメントをやるつもりはないです。

笹川:個人的にはマネジャーになることに興味がないのに、10年目を過ぎると同期の間でマネジャーに就けているかどうかでランクに差が出てくるのはしんどいです。上司からも「負けてられないぞ、がんばれ」とハッパをかけられるし。だんだん自分のまわりの会話が人事の話ばかりになってきて……。

加藤:そうなってきますよね。ただ、プロフェッショナル・コースは、マネジャー・コースと違って、まだロールモデルがいないから、自分でゼロから作り上げていかなきゃいけない大変さはありますけどね。

今後も「転職バージン」を貫くつもり?

——出世してマネジャーになるのではなく、プロフェショナルとしてずっと現場にいたいんですね。今日は聞いてみないとわからなかった「転職バージン」の意外なホンネを知ることができました。

では、最後にもう一度、聞きます。「転職は35歳が壁」と言われますが、みなさん、このまま「転職バージン」を貫くつもりですか?

笹川:今日はさんざんモヤモヤしているという話をしましたが、たぶん、今後も転職はないですね。理由は、やっぱり「2人目」。ワーママとして、今の会社を超える福利厚生はもう望めないから、怖くて一歩を踏み出せません。社外の人に会えば会うほど悩むんですが、辞めるという決断はできない。正直、社内の人とだけ付き合っていた方が悩まなくていいからラクですよね(苦笑)。

長野:私も転職はしないですね。結婚や出産をしたいなら、今の環境は恵まれてるし。仕事はこの年齢になると自分から求めなくてもハードでやりがいのある案件が降ってくるので、今度はプライベートを充実させたいです。

角田:あと数年で自分に足らないパーツが揃うと思うので、35歳までには転職してるはず。ずっとIT業界にいましたけど、私、実はITにあんまり興味なくて(笑)。次は大企業でなくてもいいので、食品や化粧品など、知らない分野に行きたいですね。大手で仕事の範囲が狭いよりも、小さな規模で自由にやらせてくれる会社がいいな。

加藤:このまま2、3年は会社で働き続けて、そのあとは独立かな。どうかなあ、でも、わかんないなあ。キャリアコンサル以外の、全然違う仕事もやってみたいし。飲食店のおかみとか(笑)。今の部署に異動になってまだ1年なので、しっかり働いて貢献してから、次を考えようかな!

——「バージンを貫く」が2名、「転職予定」が1名、「独立するかも?」が1名という結果になりました。いずれにしろ、みなさん理由が明確ですね。本日はありがとうございました。

「転職バージン」のリアル、いかがでしたか? まわりがみんな転職していくと、つい焦りを感じてしまうものですが、慣れ親しんだ環境でプロとして着実にスキルアップしていくという道もあるようです。もし、焦りを感じているなら、転職以外の方法を検討してみてもいいかもしれません。

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