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5月25日、女性アイドルグループAKB48のメンバー、川栄李奈さん(19)と入山杏奈さん(18)の2人が刃物で切りつけられる事件が起きた。容疑者は「誰でもよかった」と供述しているが、ネット上では「自分より弱い相手を選んだのは明白」という声も聞かれる。

アイドルとファンが直接交流する、AKB48のビジネス形態に事件の原因を見出す意見も少なくないが、そこには、「若い女性だから、危ない目にあっても仕方がない」という無意識が潜んではいないだろうか。奇しくも、米国カリフォルニア州で同時期に起きた銃乱射事件をきっかけに、米国では「女性と犯罪」についての議論が起こっている。

米銃殺事件の背後には「欲望」と「嫌悪」が同居する、ゆがんだ女性観

5月23日、米国カリフォルニア州南部アイラビスタにて、若い男性が銃を乱射し、計6名が死亡する事件が起こった。犯人男性が動画サイトにて、自身を「孤独、拒絶、そして欲求不満の中で生きることを余儀なくした」女性らを「罰する」という趣旨の犯行声明を出していたことや、女性への欲望と嫌悪、そして自身のコンプレックスを137ページにもわたってつづった文書を残していたことが分かり、米国社会を大きく揺るがしている。

女性への暴力を批判する「#YesAllWomen」 100万回以上つぶやかれ社会現象に

ツイッター上ではこの事件をうけて、「#YesAllWomen」というハッシュタグが100万回以上つぶやかれ、社会現象になりつつある。「なぜ、女性が自分の“思い通り”になることを当然の前提としているのか」という批判を出発点に、より広い範囲での「女性と社会」「女性と犯罪」についての議論が行われているようだ。

トップツイートには、

すべての男性がハラスメントをするわけではないが、すべての女性は何らかのハラスメントを受けたことがある

と、よくある「逆差別批判」を一蹴するつぶやきや、

男性は女性に笑われることを恐れる。女性は男性に殺されることを恐れる

と、現代社会での男女の力の不均衡を指摘する声、

大学では、性暴力の危険に面したら「火事だ!」と叫ぶように教わった。そうしないと誰も助けにこないから

と、女性へのセクシャル・ハラスメントに対する意識の低さを物語るつぶやきや、

私は19年間、娘にどうやってレイプの被害者にならないかを教えてきました。あなたたちは息子たちに、どうやってレイプの加害者にならないかを教えてきましたか?

と、女性らが「身を守る」必要性だけが強調される社会に疑問を呈する声などがあった。

#YesAllWomen」のハッシュタグでの日本語のつぶやきも出てきており、「lang:ja #yesallwomen –rt」で検索すると見ることができるので、興味が湧いた方にはぜひハッシュタグを追っていただきたい。

女性への「暴力」「ハラスメント」が当たり前の社会は正常と言えるのか

「#YesAllWomen」のハッシュタグで議論に参加している女性らのツイートからは、女性へのハラスメントや暴力が常態化している、現代社会への批判が見て取れる。

女性を巻き込んだ犯罪が起こるたびに、「なぜ女性たちは身を守らなかったのか」という批判が聞かれるのはもはや定番のことだ。今回起こったAKB48の切りつけ事件の際には、「なぜ運営側が彼女たちを守らなかったのか」という批判が起こった。

しかし、そもそも問題視されるべき「女性が安心して過ごせない社会」への問題提起は、日本でも米国でも、ないがしろにされていないだろうか。

ケイヒルエミ