歌手・平川美香さんインタビュー(後半)

「自分にないもの」を数えるのはやめた 女33歳、正攻法じゃない夢の叶え方

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「自分にないもの」を数えるのはやめた 女33歳、正攻法じゃない夢の叶え方

才能がある人や自分以上に努力している人は山ほどいる。頑張っても夢は叶わないのではないか——。大人になると、多くの人がそう気づき、夢よりも現実を見るようになります。

でもそれは、夢の入口が一つしかないと思っているからかもしれません。

沖縄県出身の歌手、平川美香(ひらかわ・みか)さんは現在33歳。今もなお夢を追い“生き残るための模索中”です。彼女がたどり着いたのは「平川のおじさん」という奇抜なスタイルでのパフォーマンスでした。

「正々堂々と歌で勝負しろと言われることもありますが、正面突破では誰にも相手にされなかった」と話す平川さんが見つけた、夢の入口とは?

前半:女33歳、やっぱり夢は諦められない

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「自分にないもの」を数えたらきりがない

——オーディションを受け続けても「君ぐらい上手い人は他にもたくさんいる」と、落ち続けたのだとか。

平川美香さん(以下、平川):はい。契約直前まで行った事務所は、人気バンドHY(エイチワイ)のいとことして売り出すことが条件でした。それを断ると、“HYのいとこの平川美香”と“平川美香”では天と地ほどの差があると言われ、契約は破談になりました。

——悔しいですね。

平川:その時ばかりは立ち上がれなくなるくらい落ち込みました。でも、親友からの電話に励まされたんです。一人でも必要としてくれる人がいるなら、絶対にあきらめないと誓った。

私はモデルのようにスタイル抜群でも、女優のようにずば抜けてキレイなわけでもない。でも、他の人にあって自分にないものを数えたらきりがないですよね。比べるより、自分ができることを掛け合わせて武器にしよう、と。

——できること、ですか?

平川:ダンス、歌、演技……一つひとつは素人レベルでも、組み合わせれば何か生まれるんじゃないか。鏡の前で、メイク道具を取り出して、鼻の穴を黒く塗って、眉を太くして、青ヒゲを描いて……。それで生まれたのが“平川のおじさん”です。

30歳までと言われても、夢に期限は決められない

——おじさんの格好で外に出るのは恥ずかしくなかった?

平川:よし、これでやってみよう、という感じでしたね。渋谷のハチ公前で踊ったり、おじさんの格好で電車に乗ったりしました。みんなを笑わせたいと思って。

笑えば悩みが吹き飛ぶことってありますよね。だから、バカなことをして、笑ってもらえたら、と。まずは誰かの目に留まることや、必要とされなければはじまらないから。

——その時、28歳ですよね。結婚や出産のライフプランはどう考えていたのですか?

平川:両親や親友には30歳をリミットにしなさいと言われていました。「女なんだから、子どもを産まないといけないよ」「いつまでも、手にできるかわからない夢を追いかけるつもり?」って。

でも、30歳を過ぎても、ここで区切りをつけようと思えなかった。親に「いつになったら孫を抱かせてくれるの?」と泣かれたこともありましたが、私は納得できるまでとことんやりたい。

「何一つムダじゃなかった」

——そこまで貫けるのはすごい。続けてきたことが身になっているという実感はありますか?

平川:ありますよ。以前は断られていたライブハウスから、「ステージに出て欲しい」と声をかけられるようになったり、全国からFacebookにメッセージが届いたり。

これまで、少しでも人の目に入れるように、小さなパーティーでも夜中でも、呼ばれたら飛んで行きました。遠回りに見えるような行動でも、積み重なれば何かの実を結ぶ。何一つムダなことはないんだなって感じました。

——その縁で繋がったという、アメリカ人ダンサーのジョンテ・モーニングさんとの共演動画も話題になっていましたね。

平川:そう。ジョンテは、ビヨンセなど、世界的なアーティストの振り付けも手がけている有名人。「あのジョンテと!?」と友人たちも驚いていました。あっという間に閲覧回数も伸びて、ネットの拡散力はすごいなって思いましたね。

正面が無理なら、隙間から入り込む

——中居正広さんが司会を務める音楽番組『Momm!!』に「平川のおじさん」の姿で出た時は、歌唱力を競うコーナーで優勝されていましたね。かなり反響があったのでは?

平川:はい。放送後は、たくさんのメッセージが届きました。夢を追う姿に励まされたと肯定的な意見もあれば、歌に対するプライドはないのかという指摘も。でも、どちらも感想を伝えるという意味では同じで。同じ労力をかけて思いを届けてくれた。誰にも相手にされなかったことを考えたら感謝しかないですよね。

——前進しているとはいえまだ夢の途中だと思います。これからの目標は?

平川:自分の声質を活かしてジャズやブルースにも挑戦したり、新しいキャラクターを打ち出したりしたい。どんなに泥臭いことをしても、生き残るための模索を続けないといけませんからね。正面突破が叶わないなら、どんなに小さくてもいいから隙間を見つけて、空いているところにピュッと入る。自分の居場所は自分で作らないと。

平川さんのおじさんの格好の裏には、心の声に正直に生きる彼女の覚悟が隠されていました。迷い悩み、停滞している時も、あきらめなければ前進につながる。私も、明日からまた頑張ろうと思えたインタビューでした。

(撮影:竹内洋平)

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