デザイナー・ひかるさんインタビュー

「会社は辞めても、仕事は続ける」時短勤務のモヤモヤから独立を決めるまで

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「会社は辞めても、仕事は続ける」時短勤務のモヤモヤから独立を決めるまで

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「産んでも、働き続けたい」

ところが、実際には育休から復帰して間もなく退職して、仕事もそのままやめてしまう女性は少なくありません。

みなさんは「会社を辞める=仕事をやめる」だと思っていませんか?

でも実は「会社を辞めても、仕事は続ける」という選択肢だってあるんです。

今回は育休復帰後に仕事と育児の両立に悩んだすえ、「独立して仕事を続ける」という道を選んだデザイナーのひかるさんを訪ねてみました。

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あまり意味がなかった「時短勤務」

横浜市某所にあるマンションの1階が、ひかるさんの自宅兼仕事場です。

広い庭に面したリビングには、ベーシックな色合いのローソファーと木目調の家具が置かれ、天井からは熱気球のモビールが吊るされています。壁にはお気に入りの絵画やお子さんの作品が並んでいたり。

遊び心の散りばめられたゆったりとした空間です。

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大手デザイン事務所に勤めていたひかるさんが、独立をしたのはお嬢さんが4歳になった時でした。

「32歳で娘を出産しました。社内初の産休・育休だったので、会社の人と相談しながらいろんなことを進めていきました」

育休から復帰後は毎日17時に退社させてもらっていたそう。育休もしっかり取れて時短勤務も可能なら、なんとか両立もできそうですが、実際には困難に直面しました。

「せっかく17時に退社しても、帰宅後もクライアントから電話がじゃんじゃん携帯にかかってくるんです。クライアントが夜型の業界だと、やっぱり対応するしかない。電話対応のたびに、『静かにしててね』と子どもを奥の部屋に追いやっていました」

早めに帰宅しても、結局は仕事の電話に追われて子どもと満足にコミュニケーションが取れない。そのことにひかるさんはストレスを募らせていきました。

やがてひかるさんは「デザインというスキルがあるのだから、独立してもやっていけるのではないか」と考えるようになります。そして、お嬢さんが4歳になった36歳の時に独立を決断します。

独立直後にぶつかった壁

「スキルがあるから、やっていける」と独立を決めたひかるさんでしたが、実際には最初のクライアントを獲得するまでは、苦労したそうです。退社してからの1年は、先に独立した会社の元上司の仕事を手伝っていました。

「でも元上司の仕事も、クライアントが前と同じ業界だったので、夜に電話がかかってくることに変わりはありませんでした。仕事量自体が減ったので、電話の頻度も減りましたが、これでは根本解決にならないと気づきました」

「元上司の仕事を手伝うのも、そろそろ潮時かな」と感じ始めていた頃、知り合いの紹介である依頼が舞い込みます。

「名刺やパンフレットを作るという小さな仕事でしたが、独立して初めてつかんだ直接のクライアント。嬉しかったですね」

こうして知人からの紹介や、個人客からのリピート注文で徐々に仕事が増え始め、同じタイミングで元上司の仕事から距離を置くようになります。本当の意味で、デザイナーとして独立した瞬間でした。この時点で会社を辞めてから1年が経っていました。

独立2年目の「しっくりくるワークスタイル」

ひかるさんの作品を見て驚くのは、一つひとつのデザインのテイストがまったく異なること。

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例えば名刺だけ並べてみても、ナチュラルでシンプルなもの、都会的でスタイリッシュなもの、陽だまりのような温かみを感じさせるホッコリ系のものと、とても一人のデザイナーが手がけているとは思えません。

「私には、自分のカラーがないんです。自分のこだわりよりも、『目の前の人の希望をカタチにしたい』という想いが強いんです」

デザイナーとしての個性よりも、クライアントの希望を優先して作品を生み出す。その独特のスタイルが、ひかるさんが安定してクライアントを獲得し続けている理由なのかもしれません。

「デザイナーとしての修行時代に、デザイナーとクライアントをマネジメントする仕事をやっていたんです。だからデザイナーのこだわりがクライアントには不要であるケースが多々あることもわかっていて。あの頃の経験が、今の私の“強み”になっているんです」

独立から4年目、今や名刺やパンフレットにとどまらず、プロダクトや建物にいたるまで、仕事の幅をどんどん広げているひかるさん。

「会社を辞めても、仕事はやめない」

育休復帰後に時短勤務していた頃、独立1年目、それぞれの時期に感じていたモヤモヤを乗り越えてようやく見つけた、しっくりくるワークスタイル。これからも貫いてほしいなと思いました。

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会社や組織に縛られることなく、自分ら人生の決断をし、新たな働き方を見つけてきた女性たちのインタビュー連載です。30代女性が、もっとしなやかに、そして軽やかに生きていくためのヒントが、ここにありました。

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