離婚弁護士・原口未緒さんインタビュー(後編)

まだ「結婚」にこだわっているの? 離婚弁護士が実感した事実婚のメリット

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まだ「結婚」にこだわっているの? 離婚弁護士が実感した事実婚のメリット

男性同士、女性同士のカップルに関してここ数年話題となっている「事実婚」ですが、実は男女のカップルの間でも、あえて「法律婚」をせずに「事実婚」を選択するケースが最近注目されています。

なぜ、事実婚というカタチを選ぶのか?

自身も3度の離婚を経験し、4度目は「事実婚」を選択した弁護士の原口未緒(はらぐち・みお)さんに、前回に続き、事実婚の精神面のメリットについて聞きました。

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最大のメリットは“離婚してやる!”と言えないこと

前回までの話で、「事実婚には大きなデメリットはない」ことがわかってきました。では、メリットの方はどうなのでしょうか?

「最大のメリットはケンカした時に“離婚してやる!”という捨て台詞を吐けないことですね。籍を入れていない以上、二人を結びつけているのは、“おたがいの気持ち”だけなんです。つなぎとめるものがないので、絶えず緊張感があります」

これまでの3度の結婚経験では、売り言葉に買い言葉でつい「離婚してやる」と口走ってしまうことがよくあったという原口さん。確かに「離婚」という言葉が飛び出した瞬間、二人の関係には決定的な亀裂が入ってしまいます。

「ちょっと前にパートナーと大ゲンカをして、彼が“出ていってやる!”と啖呵をきったことがありました。その時は私から謝りました。これは私にとって大きな変化。法律婚の時は、“ごめん”が言えなかったんです。それで、そのまま離婚に。でも、事実婚では素直に“ごめん”が言えるようになりました」

法律婚の場合、「出ていっても、法律上はまだつながりがあるし」とタカを括っているがゆえに、自分からつなぎとめる努力をしなくなるのかもしれません。「気持ちだけでつながっている」という脆さが、逆に二人の関係を強めている面もあると言えそうです。

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「いつかこの人と…」というときめき

精神面のメリットは他にもあります。

「法律婚をして“夫”になると、どうしても相手にいろんなことを求めてしまうんです。夫だから『家にいてほしい』『気づかってほしい』とか。相手に対して期待というか、“甘え”のようなものが出てきてしまうんですね」

自分ではそれほど意識していないつもりでも、心のどこかで「夫たるもの」「妻たるもの」という概念に縛られている部分は結構あるのかもしれません。

「クライアントの中に、一度籍を抜いて(=離婚して)、事実婚として一緒に暮らしている夫婦が数組います。法律婚の時は険悪な仲だったのに、事実婚にしたら仲がよくなったみたい」

原口さんのクライアントに「夫が他の女性をちやほやするのが耐えられないから離婚したい」という女性がいたそうです。ところが離婚届を出してからも同居を続けていると、そのうち「もう自分の夫じゃないから、他の女に優しくしても妬かなくなった」のだそう。

また、相手の男性も元妻を改めて「女」として見られるようになり、二人の間にかつての“色気”が復活したんだとか。

ちょっと特殊な事例かもしれませんが、事実婚にはこんなプラスの面もあったんですね。実は原口さんとパートナーの間にも、似たようなことがあったそう。

「実は彼は周囲の人に“僕、独身だから”って冗談めかして言ってるんです。でも、それを知っても全然気にならないんです(笑)。勝手に言わせておこうと」

また、原口家では、こんなジョークが飛び交うこともあるんだとか。

「ちょっと腹が立つことがあると、私が“離婚しちゃおっかな”と言って、彼が“できないじゃん”と答えて笑いが起きる。それで緊張した雰囲気が一気に緩んじゃうんですね」

最後に「これからもずっと、事実婚のままでいるつもりですか?」という私の質問に対する原口さんの言葉を残しておきましょう。

「事実婚って、なんだかワクワクするんですよ。いつか籍を入れることがあるのかな、って考えると。数年後、子どもから頼まれて入れるかもしれないし、どちらかの死を意識した時に入れるかもしれない。結局はこのままかもしれないけど、“この人といつか……”と思うと、ずっとときめいていられるんです」

普通に結婚していると、自分たちの気持ちの他に、「法律」「子ども」「親」……とつなぎとめるものが増えていきます。気持ちだけでつながっているがゆえに、甘えもなく適度な距離感を保てる事実婚には、知られざるメリットがありました。

(ウートピ編集長・鈴木円香)

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