離婚弁護士・原口未緒さんインタビュー(前編)

事実婚はメリットだらけ? バツ3離婚弁護士が行き着いた結婚のカタチ

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事実婚はメリットだらけ? バツ3離婚弁護士が行き着いた結婚のカタチ

男性同士、女性同士のカップルに関してここ数年話題となっている「事実婚」ですが、実は男女のカップルの間でも、あえて「法律婚」をせずに「事実婚」を選択するケースが最近注目されています。

なぜ、事実婚というカタチを選ぶのか?

自身も3度の離婚を経験し、4度目は「事実婚」を選択した弁護士の原口未緒(はらぐち・みお)さんに事実婚のメリットとデメリットを聞きました。

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弁護士から見て「法律婚にメリットはない」

実は弁護士である原口さんの専門分野は離婚。これまでたくさんのカップルを見てきた彼女が、あえて事実婚を選んだ理由とは何だったのでしょう。

「一番の理由は名前を変えるのが面倒くさかったからです。3度の結婚では、毎回苗字を変えていました。さすがに4回目となると夫婦別姓でいいかな、と」

「法律婚をして姓が変わると、銀行のキャッシュカードやパスポートの変更手続をしなきゃいけない。職業柄、裁判所に提出する書類などは戸籍上の姓でないとダメな場合もあって、結婚後に旧姓のまま仕事をしていると、不便だったんです」

一度でも法律婚を経験して姓を変えた人なら、この「面倒くささ」に辟易した記憶があるはず。相手は何もやらなくていいのに、どうして自分だけ……と不満を感じながら、煩瑣な手続きをあれこれすることになります。

「結局、法律婚をしてもメリットがないと気づいたんです。私自身に収入があるので、パートナー(夫)の扶養*に入れるわけでもないし。弁護士なので、離婚時の養育費や財産分与**も、事実婚(=内縁関係)でもきちんと保護されることは知っていましたから、本当にメリットがないな、と」
*事実婚では、配偶者控除や扶養控除、相続の際の税額軽減などの税制上の優遇措置を受けられません。
**事実婚では互いに相続権が発生しないので、パートナーに遺産を残したい場合は遺言書を書く必要があります。

弁護士として、「法律婚にはメリットがない」と結論した原口さん。

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1年後、初めて経験した「事実婚のデメリット」

ところが、4人目のパートナーと事実婚を始めて1年が過ぎた頃、初めてデメリットを経験したそうです。

「5ヵ月前に第一子を出産しました。緊急で帝王切開をすることになったのですが、その時の同意書は法律上の親族でないとサインさせてもらえませんでした。最初、彼(パートナー)は集中治療室にも入れてもらえなくて。私の母が病院側を説得してくれて、ようやく入れたんです」

これは弁護士の原口さんでも予想できなかったデメリットでした。病院側も「ダメです」の一点張りでパートナーには冷たい対応だったとのこと。対して、お医者さんたちは、患者さんに事実婚の方も少なくないようで、彼のことを「ご主人」ではなく「パートナー」と呼ぶなど、慣れた対応をしてくれたそうです。

「事実婚のデメリットといえば、そのくらいですね。あとは賃貸物件を借りる時に、事実婚だと眉をひそめる大家さんがたまにいたりはしますけど」

事実婚は子どもがかわいそう?

「法律婚」か「事実婚」かについて考える時、一番気になるのは「子どもができたら、どうなるか?」です。原口さんの場合は、どういう選択をしたのでしょうか。

「うちの場合は、“認知”というカタチにしています。出産後に区役所に提出する出生届には『嫡出子』か『非嫡出子』かに丸をする欄があるのですが、『非嫡出子』の方に丸をします。その後、パートナーに頼んで私の本籍地に認知届を提出してもらいました」

事実婚で子どもが生まれた場合、自動的に母親の戸籍に入ることになっています。ちなみに健康保険に関しては、法律婚か事実婚かにかかわらず入れるので、現在は原口さんの保険に、パートナーとお子さんが入っているそうです。

「今、息子の姓は戸籍上、私の姓である『原口』になっています。パートナーの姓にすることもできたのですが、占ってみると、『原口』の方が断然運勢がよかったから(笑)。いつでも変えられるので、息子が大きくなったら自分で選べばいいと思っています」

子どもの姓は、事実婚でもパートナーの姓にすることは可能なんだそう。原口さんの場合、「息子が小学校に上がり話を理解できるようになったら、姓を選択させるつもり」とのこと。

とはいえ、子どもができたことで、周囲からのプレッシャーは強くなったようです。

「子どもができるまでは周囲も『事実婚でもいいんじゃない』という空気だったんですが、出産した途端、父親や叔父など年配の人から『子どもがかわいそうだから籍を入れないさい』とか『なんで入れないの?』と言われましたね」

「子どもがかわいそうだから籍を入れる」という話は、確かによく耳にするような気がします。ところが、原口さんによると、事実婚であることによって子どもが被るデメリットは特にないとのこと。「かわいそう」の根拠はないと言えそうです。

「弁護士として事実婚に特にデメリットがあるとは思わない」という原口さんの言葉は、取材の中で特に印象に残りました。実際に出産も経験された後もなお「事実婚」を選択し続ける彼女の姿には、説得力がありました。経済的に自立している女性にとっては、事実婚よりもむしろ法律婚の方がデメリットが多いのかもしれません。

後編では、事実婚の精神的なメリットについて聞いていきます。

(ウートピ編集長・鈴木円香)

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