ミゾイキクコさんインタビュー前編

「帰省は義務ではありません」 “家族の絆”がしんどいあなたへ

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「帰省は義務ではありません」 “家族の絆”がしんどいあなたへ

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クリスマスが終わると、いよいよ2016年も終わり。この時期、仕事に家事に忙しい女性を悩ませるのが実家への「帰省」。本当は家でゆっくり休みたいけれど「正月くらいは親に顔を見せないと親不幸かな」と思ってなんとなく義務感にかられて実家に帰る女性も実は少なくないのではないでしょうか。

今回は、自身の戦争体験や嫁姑問題、子育てや女性の生き方についてのつぶやきが多くの人の心に刺さり、Twitterのフォロワーが8万人以上というミゾイキクコさん(82)に、親との付き合い方について聞きました。

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親のために「結婚する」は間違い

--未婚の女性が実家に帰ると「結婚しろ」、既婚の女性も子どもがいなかったら「子どもを作れ」とまわりから言われることはまだまだあるようです。

ミゾイキクコ(以下、ミゾイ):Twitterでもそういうことで悩んでいる人はいっぱいいるわね。

--親を安心させるために結婚、出産するのは違うと思うのですが……。

ミゾイ:幸せな結婚をして親も安心するということもありえますよね。親を安心させるためにした結婚が必ずしも不幸とは限らないわ。

自分で言うのもなんだけれど、私は幸せな結婚をしているし、子どももいるし、だから今1人で暮らしていられるというのはあるの。今住んでいるところは便利だからというのもあるけれど。でも、例えば近くに売ってないものが買いたい時は近くに住んでいる子どもが来て連れていってくれるし、電球が切れれば変えてくれる。灯油がなくなれば買ってくれたりするから、子どもがいると自分が体力的にできないことをやってくれて助かるなと思うのね。

けれど、やっぱり子どもと親の生活は別よね。親の老後の生活のために結婚するというのは違うと思いますね。

帰省は義務ではない

--年末年始やお盆には実家に帰って、必ず親に顔を見せなきゃいけないのでしょうか?

ミゾイ:そんな必要はないですよ。仙台にいる長男は、2年に1度も来ないくらいです。息子も連れ合いも仕事をしていて、子どもも学校でしょ? みんながそろって来られる状況じゃないわけですよね。私も事情を十分わかっているから、「毎年来い」なんて言わない。

ただ連絡は密にしますね。孫の誕生日にはお祝いするとか、うちはよくぶどうを作っていたからぶどうがとれたら送るとかね。向こうは向こうで、母の日にプレゼントを贈ってくれたり、メールで写真とか動画を送ってくれたりするの。最近はそれを送るのも面倒くさいからって言って、(オンラインストレージサービスの)Dropboxで共有しているんです。

お互いに動画や写真をアップして見ているの。それに私はTwitterで朝ごはんを毎日アップしてるんだけど、それも近況報告になってる。孫がiPadでそれを見ているんです。

--今の時代ならではの親子のつながり方ですね。

ミゾイ:私が思うのは、「年をとっているからネットの利用は難しいわよね」って若い人が諦めちゃったらだめってこと。私が子どもの頃は電話のある家はほとんどなかった。当時はそれで困らない状況だったわけだけれど、今電話がなかったら困りますよね。

きっとネット利用だって同じよ。今はまだなくても生活できるけれど、いずれ老若男女問わず必須になりますよ。ネットを使えるようになってもらって、簡単な方法で密に連絡を取り合えるようになったら安心なんじゃないかしら?

親の面倒はすべて子どもが見るべき?

--世間では「家族」と言うと「家族の絆」などと言って、家族をよいものとして扱うことのほうが多い印象です。

ミゾイ:「絆」なんてバカバカしいわよね(笑)。政府が言うような絆って、福祉政策にお金をかけるより家族にやらせようというだけなのよ。あれが倫理的に正しいということではないの。

--親が老人ホームや介護施設を利用することに、どこか気がとがめるという人もいまだに多いです。

ミゾイ:昔は社会福祉というのが今ほどあったわけではなかったから、家族にみんな押し付けていたわけでしょ? それが幸せだったかと言われたら別に幸せじゃなかったのよ。今よりみんな貧乏で、病気して倒れたら静かに寝かせておかなきゃならなかったっていうだけなんだから。子どもに面倒見てもらったんじゃなくて、寝かせておかれただけなの。今だったら放置して、罪になっちゃうようなことでも、昔はそれでよかった。そうするしかなかったのよね。

女性に求められることが多すぎる

--介護と言うと実際のところ、女性の負担が特に大きい印象を受けます。

ミゾイ:そうね。昔は日本人の寿命自体が短くて、介護が必要な状態も長くは続かなかった。けれど、今は違う。私の大学の同級生でも100歳以上生きた認知症のお姑さんを30年間も世話した人がいる。昔みたいに60代で大体死んじゃう時代と、80、90歳までみんなが生きちゃう時代と、同じように「家族の絆」なんて言って世話をさせるなんて無理な話なの。

さらに今は夫婦共働きしないと暮らせない時代でしょ。外で働いて、家事をして、介護もやってって、女性に求められることが多すぎるよね。身は一つなんだからそんなにできるわけないわよ。

--親に長期的な介護が必要になった場合、やはり仕事を辞めて介護を……という人もいます。

ミゾイ:そんな必要ないの。親が子どもを育てるのは当たり前で恩を感じる必要もない。普通の感覚の親だったら子どもの幸せを思うでしょ。だから老人ホームでも介護施設でも使えばいいのよ。それこそお互いに写真や動画を送って、連絡を取りあえばいいよね。今の時代や状況に応じた親との距離の取り方を考えたほうがいいんじゃないかしら。

次回は12月29日更新予定です。

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