“フツーの女性”こそリーダーをやるべき!

「フツーの日本女性」がリーダーになることで得られるものとは? リーダーシップ教育が専門で、現在は市民の力で社会を変えるリーダーシップを広げるNPO法人を設立準備中の鎌田華乃子さんに語っていただきました。

【前編はコチラ】長時間労働・孤立・燃え尽き症候群… 日本の女性リーダーが幸せになれないワケ

部下は女性上司をどう思うか?

――そもそも、女性は資質としてリーダーポジションに向いていないんでしょうか?

鎌田:そんなことはないですよ。指示を下す、みんなを巻き込んで物事を進めていく…リーダーにも様々なタイプがありますよね。女性は、コミュニケーションスキルが発達しているので、後者のリーダーシップの取り方は非常に向いていると思います。また、母性本能という言葉があるように、部下の成長を見守るのも得意なのではないでしょうか。

――でも、女性上司って、部下から「コワイ」って思われがちなイメージがあるんですが…。部下への接し方で気を使うことってありますか?

鎌田:そうですね。こんなことを話している私ですが、昔は部下からとても怖がられていました(笑)。それに気づいたのは、私が通るだけで男性メンバーの背筋がピーンとしていたからなんですけど。飲み会の席でもそうだったので、よっぽどだったんでしょう。振り返ってみると、当時の私には心の余裕がありませんでした。生き残っていくために必死で、厳しくしないと部下も成長してくれないと思っていたのです。

プロ意識を植えつけつつ、雰囲気よく仕事をするというバランスはリーダーを志す上でついてまわるジレンマだと思いますが、解決方法は“心の余裕”と“信頼関係”ではないかと思います。まず相手がどのように考えているのかを見る余裕。そして、相手が仕事に取り組んでくれたことへの感謝を伝え、さらにどう向上してほしいのかを伝えていくことが大切です。それに気づいてからは、背筋ピーンはなくなりました(笑)

“自信がない”日本人女性が変わるために

――「将来、管理職になりたくない」と答える女性は全体の46.2%(日経WOMAN読者アンケート)だそうです。インタビュー前半でうかがったツライ状況を考えると当然かもしれませんが、中には周りの環境が整っていて、推薦もされているのに、「私なんかムリ!」と辞退する女性も多いんですよね。責任者になるのがコワイというか。

鎌田:そうですね。多くの不安要素があって、そういう結論になってしまうのもすごくわかります。しかし、誰でもリーダーになれる、というのが私の持論です。というのも、私自身がとてもそんなタイプではなかったのに、今こうしてやっているからです。もともとすごく内気で、活発な子にいつもくっついているような子でした。高校・大学受験のときも、プレッシャーで試験勉強ができなくなってしまったり…。人前に立つとか、リーダーシップをとるとか、私の人生では考えられない! という感じだったんですよね。

おそらく、自分に自信がなかったんですね。「うまくいかなかったらどうしよう」という気持ちが出て来てしまう。心理学者のキャロル・ドウェックは人間は成長し続けられるのに、その成長を止めてしまうのは自分自身で作り出す思い込みだと言っています。「自分は出来ない」ではなくて、大変だけど努力すれば少しずつ成長して出来るようになるからチャレンジしてみよう、と考えを切り替える。誰でも最初から自転車に上手く乗れませんよね。転んででも何とかバランスを取ることを学んで乗れるようになる。とにかくやってみることって、とても大事だと思います。

――そんな風に思えるようになったきっかけはあるんですか?

鎌田:私は、受験を乗り越えられなかった自分を随分長い間コンプレックスに思っていたんです。それを尊敬する先生に「今のあなたは、そのときのあなたと違うでしょ」と言っていただけて、救われました。そこで自信を持ったのが、今の自分にとって大きなポイントだったかもしれません。

そもそも日本だと「どうしてできないの?」って怒られることはあっても、「あなたならできる!」って自信を持たせてくれることって少ない気がするんですよね。だから、自信のない人が多いのではないでしょうか。 私のナイジェリア人の親友はいつも「Kanokoはスゴイよ。絶対に夢を叶えられる」と言ってくれます。自分のやりたいことを尊重して背中を押してくれる人の存在は掛け替えが無いと感じています。

――たしかに、人に認められることって、自信を持つとか、楽しく仕事をする上で大事ですよね。でも、それを求めすぎてもツライというか、なかなかそういう環境に自分を置けないときもあると思いますが…。

鎌田:そうですね。まわりからの評価を気にしすぎると、逆に「どうして認めてくれないんだろう」とか「報われてない!」とフラストレーションがたまってしまうことがあると思います。でも、周りからどう思われているかというのは、自分でコントロール出来ないですよね。そういうところに一喜一憂するのは、とても大変。

――周りに頼れないとなると、どうすればいいのでしょうか?

鎌田:自分を軸に考えることも大切かと思います。自分で自分の仕事を見つめ、しっかり褒めてあげる。女性は自分のことを責めがちで“まだまだ”と思いどんどん仕事をやってしまう所もあると思うので、今までやって来たこと、実績の素晴らしさを一つずつ確認していくことが大事かなと思います。

仕事ではなく、女性としての人生を充実させるために

――最後に、女性がリーダーになることは、女性の人生にとってどんな影響を与えると思いますか?

鎌田:自分のやりたいことにまっすぐ取り組めると、自分自身の生活や精神が充実します。その影響で周りがどんどん変化していく。特に部下に責任と権限を与えて、少しずつエンパワメントしていくスタイルのリーダーは周りの人達が成長していくので、その中心にいるのはすごく楽しいと思います。

あとは、日常の仕事は、こうすればこうなる、という結果が見えているものが多いと思います。でも、私はできる範囲や予想のつく仕事より、“どうなるかわからないプロジェクト”のほうが、大変だけど得るものが多いと感じています。もちろん結果が分かっている仕事をするより何倍も大変ですが、手探りで進めて行く中で様々な発見があります。新しい可能性や、新しい人との繋がり、そして自分の成長。自分の人生を、自分で切り拓く。リーダーシップは、女性の可能性を大きく広げてくれるものだと思っています。

●鎌田華乃子(かまた・かのこ)
コミュニティー・オーガナイジング・ワークショップ・イン・ ジャパン実行委員会代表。神奈川県横浜市生まれ。1歳半から6歳まで仙台で過ごした以外は横浜で育つ。日本大学生物資源科学部農芸化学科を卒業後、外資系商社に就職、4年間化学品の輸出入、新規化学物質登録に従事する。その後、外資系環境コンサルティング会社に転職し、7年半勤務。環境法令調査、新規化学物質登録、環境デューディリジェンス、遵法監査といったコンサルティング業務に従事する傍ら、新規ビジネス開拓も手がける。2011年7月から2012年5月までハーバード大学ケネディスクールに留学しMaster in Public Administration(行政学修士)のプログラムを修了。在学中はロータリー財団国際親善奨学金、Harvard Kennedy School, The Roy & Lila Ash Fellowship in Democracyを授与される。ニューヨーク・ブルックリンにあるコミュニティーオーガナイジング(普通の市民が立ち上がり社会を変えていく活動)NPOにて市民参加の様々な形を現場で学んだ後、帰国。コミュニティーオーガナイジングの手法を日本に広めるべく実行委員会を立ち上げ、今年12月にはハーバード大で教えるガンツ博士を日本に招きワークショップや講演会を実施。現在NPO法人設立準備中。http://communityorganizing.jp