塗り絵ブームにわくヨーロッパ 筆記具メーカーも売り上げアップ

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塗り絵ブームにわくヨーロッパ 筆記具メーカーも売り上げアップ

大人向けの塗り絵が日本でも人気ですが、イギリスやフランスでも大人の塗り絵は人気を博しています。その火付け役は、2013年にイギリスで出版された『シークレット・ガーデン(Secret Garden)』。イギリス・スコットランド出身のイラストレーター、ジョハンナ・バスフォード(Johanna Basford)さんによる塗り絵です。2016年7月の時点で世界44言語で発売され、累計2000万部を発行しています。

私の住むスイスでも、「大人の塗り絵」は人気を集めています。スイスの山や木の家などのこの国らしい絵柄ばかりをまとめた「ご当地塗り絵集」も登場しています。今は季節に合わせて、クリスマスの絵柄の塗り絵本が店頭にたくさん並んでいます。オランダでも大人気だそうです。そして、この塗り絵ブームはドイツでも話題になっています。

駅の売店でも「大人の塗り絵と色鉛筆セット」を販売。(チューリヒにて)

駅の売店でも「大人の塗り絵と色鉛筆セット」を販売。(チューリヒにて)

ドイツでは、色鉛筆の製造量も記録的アップ

ドイツでも、大人が塗り絵に夢中です。ドイツ語で塗り絵本はマールブッフと言いますが、「大人のためのマールブッフがブーム」「大人のためのマールブッフが新しいトレンドに」といった見出しのニュースをあちこちで見ます。 

どのくらい人気かの目安として、塗り絵に欠かせない色鉛筆(カラーペン含)ついて見てみましょう。ドイツには、老舗の筆記具ブランドがたくさんあります。今は、どのメーカーも目が回る忙さしです。理由はズバリ、大人の塗り絵ブームのおかげで、色鉛筆が売れに売れているからです。

世界的に有名な製図用筆記具メーカー「ステッドラー(STAEDTLER)」も文頭に挙げたジョハンナ・バスフォードさんとコラボレーションした色鉛筆や色ペンのセットを販売しています。昨年の売上高は14%増の3億2200万ユーロに達しました(*1)。

六角形の鉛筆を発明したことで知られる記具メーカー「ファーバーカステル(Faber-Castell)」は、直近の会計年度(2015年から2016年にかけて1年)で、250年以上の会社の歴史において最高の売上高を記録。前年比10%の伸びで、6億3100万ユーロを売り上げたそうです(*2)。

蛍光ペンで有名なドイツの筆記具ブランド「スワンスタビロ(Schwan-Stabilo)も、160年以上続く歴史で、前年比18%増の7億600万ユーロ(*3)と年間売上高で最高額を記録しました。

上記のメーカーの担当者も「大人の塗り絵効果ですね」「このデジタルの時代に、塗り絵が売れることは注目に値します」と、大人の塗り絵ブームが売り上げに結びついたというコメントを出しています。

キーワードは3つ「安らぎ」「クリエイティブ」「アナログに触れたい」

絵柄は様々。上)ネコの塗り絵は猫好きにはたまらない! 下2つ)スイス、パリといった「ご当地塗り絵集」も続々登場。(チューリヒの本屋にて)

絵柄は様々。上)ネコの塗り絵は猫好きにはたまらない! 下2つ)スイス、パリといった「ご当地塗り絵集」も続々登場。(チューリヒの本屋にて)

塗り絵が流行っている理由は、よく指摘されているように、ストレスを軽減でき「安らげる」点でしょう。また、オーストリア・ウィーン大学の心理学者ヘルムット・レダー(Helmut Leder)氏が指摘しているように(*4)、誰でも簡単に、美しい絵を仕上げることができるという「手軽なクリエイティビティー」もポイントなのでしょう。

そして、もう1つ言われているのが「アナログ(手動、古くからある技術といった意味合い)に触れたい」という欲求です(*4)。何でもデジタル化された世界で、疲れを感じている人たちが少なくないという分析です。塗り絵にハマっている人たちから「塗り絵をすると、子どものころを思い出しますね」という感想も聞かれますが、その裏には、デジタルから離れた時間を持ちたいという気持ちがあるのかもしれません。

自分に合った「塗り絵」探しを

季節柄、今はクリスマスの絵柄の塗り絵がいっぱい。塗って贈れるクリスマスカード本もある。

季節柄、今はクリスマスの絵柄の塗り絵がいっぱい。塗って贈れるクリスマスカード本もある。

こうして、塗り絵にハマる人が多い中、下のようなコメントも出ています。

●「絵があまりにも細かくて、色が上手に塗れない。線からはみ出してしまう」
●「買った時は絵柄が気に入っていたけれど、似かよった絵が多くて、塗っていくうちに魅力を感じなくなってしまった」
●「絵が子ども向きで、大人が塗ってきれいだと思えないとわかった」
●「塗ることは楽しい。でも、リフレッシュして、エネルギーがわいてくるまでには至らなかった」

うまく塗れないことがストレスになっては本末転倒です。自分の感覚にぴったりと合った塗り絵本を見つけるには、いろいろ試してみるのがよいのかもしれません。肩ひじを張らないで楽しみたいですね。

パリのOMY(オーマイ)) https://www.omy-maison.com/fr/ は2012年設立の塗り絵専門店。大型ポスターや布製バッグなどいろいろ。つい最近は、塗る「靴下」も仲間入り。(OMYは日本でも購入可)

パリのOMY(オーマイ)) https://www.omy-maison.com/fr/ は2012年設立の塗り絵専門店。大型ポスターや布製バッグなどいろいろ。つい最近は、塗る「靴下」も仲間入り。(OMYは日本でも購入可)

【出典】
*1 「Warum erwachsene Deutsche jetzt Buntstifte kaufen
*2 「Malbücher für Erwachsene sorgen für Rekord-Umsatz
*3 「Schwan-Stabilo fährt wegen Ausmal-Boom Rekordumsatz ein
*4 「TRENDcheck: Malbücher für Erwachsene

撮影:岩澤里美

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