3組に1組は離婚している? 不妊に悩むカップルは6組に1組って本当? 世の中に溢れる様々な「ニュースの数字」の裏側を読み解く連載です。表に見える数字だけではなく、その背景をしっかりと紐解いていくと、新しい発見や気づきが得られるかも。
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最近CMや電車内広告でよく見かける「転職」という言葉。誰もが一度は考えたことがある人生の選択ではないでしょうか? 

2015年の「労働力調査」によれば2015年の転職者総数は298万人。2010年以降、増加傾向になっています。数字の内訳を男女別で見てみると、男性が140万人に対し、女性は158万人。女性の方が18万人も多く転職しているのです。今回は女性の転職について、詳しく見ていきたいと思います。

転職で就業形態を変えるのは難しい?

まず、転職した女性の年齢を見てみましょう。同調査によれば、女性の転職者がもっとも多い年齢層は25〜34歳、次に35〜44歳が続きます。男性の場合はもっとも多い年齢層は女性と同じ25〜34歳ですが、二番目に多いのは15〜24歳。意外にも男性の方が早い段階で転職を決意しているようです。また、女性はほとんどの年齢層で男性の転職者数を上回っていますが、55歳以上になると、これが逆転します。

さらに、女性の就業形態別に転職者率を見てみましょう。平成25(2013)年度の「雇用動向調査」によれば、25〜29歳で一般労働者の転職率が14.2%なのに対し、パートは26.9%。1.9倍多くパートの方が転職をしていました。しかし、パートから一般労働に転職した割合は11.6%。一方で、パートからパートに転職した割合は全体でもっとも多い38.4%となっています。ちなみに、一般労働から一般労働に転職した割合は二番目に多い37.8%。転職により就業形態を変えるのはなかなか難しいようです。
 

女性は収入へのこだわりが弱い

では、なぜ彼女たちは職場を変えることを望んだのでしょうか? 

「転職入職者が前職を辞めた理由」を見てみると、女性全体で「その他」を除いてもっとも多い回答は「労働時間等の労働条件が悪い」で15.2%。男性の同じ回答を4.8ポイント上回ります。そして次に多いのは「定年・契約期間の満了」で13.7%。次に「職場の人間関係」11%となっています。

転職といえば「収入増加」を目指してするもの、と思ってしまうところですが意外にも「職場環境」が職場に見切りをつける要因となっているようです。男性の場合は「定年・契約期間の満了」「労働時間等の労働条件が悪い」に続き、三番目に「収入が少ない」(10.1%)が理由に挙がっているのに対し、女性の場合は四番目で8.3%。男性よりも「収入」へのこだわりは弱いのです。

「収入アップ」をうたう転職サイトが多い中、実際に転職後の賃金はどう変化しているのでしょうか? 厚生労働省の「平成27(2015)年度 転職者実態調査」によると、前職に比べて転職後に賃金が「増加した」のは女性全体で43.6%。男性の「増加した」の割合は38%で、女性が5.6ポイントも上回ります。

また「減少した」のは女性で34.5%、男性で37.3%となっています。「収入が少ない」を転職の理由としていない女性の方が、男性よりも転職後の収入が上がっているとはちょっと不思議ですね。

「労働時間」と「収入」なら、どっちを優先する?

しかし、転職後の労働時間の変化を見てみると、納得のいく部分もあります。

同じ調査で、転職後の労働時間について「増えた」とした女性は36.1%。男性は28.3%ですから7.8ポイントも差があります。一方、労働時間が「減少した」とする女性は31.6%。「労働条件」を理由に転職をする割合の多い女性ですが、労働時間と引き換えに収入を上げる女性も少なからず存在するようです。

冒頭でも書きましたが、今は転職サイトが充実していてエージェントが一人ひとり個別に相談に乗ってくれるシステムも珍しくなくなりました。しかし、男女ともに転職方法でもっとも多かったのは「公共職業安定所(ハローワークなど)」。女性の転職者の45.6%がこれを利用しています。次に多いのは女性では「求人情報専門誌や新聞紙やチラシ」。昔からある求人を利用する女性の方が多いようですね。

「石の上にも三年」ではないですが、「三年は今のところで頑張ろう」「三年後に転職を検討してみよう」と考える女性も多いのではないでしょうか? 転職をした人で直前の勤め先期間について尋ねたところ、もっとも多い回答は「2年以上5年未満」で28.9%となっています。

また、すでに転職を経験した人に今後の転職希望について尋ねると、女性の54.9%が「今の職場で働き続けたい」と回答。しかし18%が「機会があれば転職したい」としています。また、ロバート・ウォルターズ・ジャパンが行った「職務動向調査」によれば、次の転職時期について「チャンスがあればいつでも」と答えた割合は全体の31.1%。約3人に1人が転職を視野に入れながら働いているのです。

労働時間や条件を改善したい、あるいは収入を増やしたい、あるいは女性向けの精度が整った会社で働きたい。転職は自分のワークライフバランスを見つめ直す機会にもなります。実際に転職活動を始める前に、これからのライフプランについてじっくり考えてみてはどうでしょう?

(安仲ばん)