不動産王、カジノ・ホテル王、そしてビジネス界のスーパーセレブリティ……ドナルド・トランプ氏が2016年の大統領選挙で大勝利を収めました。

ニューヨークやLA、シカゴなどの都会エリアでは、ヒラリークリントン支持のリベラル派が多数のため、わかりやすく言えば、都会と田舎、インテリ層と労働層で、トランプvsクリントンに票が割れたといえるでしょう。

筆者の住むここニューヨークでは、リベラル派が多数であったため、いささかトランプ氏の勝利に街全体が混乱状態になっています。

今回は、そんな現地の生の声をレポートします。

クリントン派VSトランプ派、両者の声

「民主主義は多数決に基づいています。もちろん、トランプに投票した人達が多数派だったわけだから、どんなに彼が失言を繰り返そうが、彼らにはトランプを支持する“権利”がある。

それを尊重しなくてはいけないのはわかっているが、今までの米国の歴史を見てみればわかるように、白人優位主義を崇拝するグループが主導権を握った時に起きてきた暴力的な人種差別や惨事がまた起きるのではないかと懸念しています」(アフリカ系女性、政治学専攻30歳)

「今回のトランプ氏の勝利で、私たちの国アメリカが真っ二つに分かれている、ということを本当に実感しました。トランプ氏は、まるで製薬会社のようなスローガンを掲げ、彼のリーダーシップがあたかも即効性があるように『私を信じれば再びアメリカンドリームが戻ってくる』というな陳腐な台詞でキャンペーンを行ってきました。

あのエゴイスティックな態度で彼が外交をやっていくかと思うと心配でなりません。彼は、過去に何度も自己破産を申告して、借金返済を免れてきましたが、そんなセコい技を使って米国の財政を賄えられるわけがないし、今後の経済状態は彼の政治によって悪化していくと予測しています」(ヒスパニック男性、CBSテレビディレクター38歳)

「ヒラリーに勝ってほしかったけれど、彼女はトランプ氏に勝てるだけのカリスマ性を持ち合わせていなかった。キャンペーン中は幾度となくトランプ氏にスキャンダルや汚職を指摘され、彼女の人徳は、これらのスキャンダルを上回れなかったのでは?」(ドイツ系女性、メディア36歳)

一方でトランプを支持する人達は……、

「トランプ政権でブッシュ政権の時のように、もしくはそれ以上に、所得税の大幅カットを期待しています。失業率も改善されると思っています」(イギリス系女性、事務、43歳)

「彼の歯に衣を着せない物言いにいつも好印象を持っています。確かに、彼が言ったことによって、侮辱を感じた人がいるのは確かですが、ヒラリーの偽善者ぶりには辟易していますから」(アフリカ系女性、銀行、37歳)

「どうして人々はヒラリークリントンの度重なる汚職に目を背けるのか。彼女は歴代の政治家の中で汚職がもっとも多い人物の一人だ。それにテロは世界中で起きていて、全米でもこれからたくさん起きるだろう。自分たちの国にどこの誰が入ってくるのか明確にし、テロリストを徹底して防がなければならない。ヒラリーにはできないだろう」(建設男性、41歳)

今回の選挙で、アメリカ合衆国という国の実態が如実に見えたと思います。

侮辱的な発言で物議を醸しだしていたトランプ氏でしたが、彼の支持票の50%は、農業地域のNon-college-educated white male(大卒ではない白人男性)。世界最大の農業大国であるアメリカはやはりこの層はとても強いのです。

一方ヒラリー支持者達は、都会エリアの移民や文化背景もさまざま、もしくは大卒以上。LGBTや男女平等を目指すフェミニスト達等のリベラル派。

20年以上も前になるのですが、ヒラリークリントンが夫であるビル・クリントンのキャンペーンの際に「私だって家にいてクッキーをのほほんと焼いてお茶を飲んでいることはできたわ。でも使命に燃えてよりよい社会のために働いているの」と鼻息荒く言っていた映像が本当に印象的です。

政治家としての使命に燃え、夫の不倫スキャンダルにもへこたれず、女性や妻、母であるハンディを超えて抜かりなくやってきたヒラリー氏ですが、燃え尽きてしまったキャリアウーマンの印象が拭いきれません。

椿 慶子