40歳の時、おひとり様で都内に「7坪ハウス」を建てた雑貨店オーナーの塚本佳子(つかもと・よしこ)さん。バリキャリ編集者だった30代には、家具、インテリア、服、旅行、習い事……とあらゆる“消費”に手を出したそう。そんな塚本さんと編集部が「オンナの30代」と「消費」の幸せなバランスについて語り合います。
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雑誌で時々見かける「みんな、いくら貯金あるの?」という企画。「30代だと、1000万貯金してる人、結構いるんだ〜」とため息が出てしまうこと、結構あるかも?

貯金しなきゃいけないのはわかってるけど、ガマンしてまで節約するのはイヤ。「貯金」と「消費」の間で揺れ動く、そんな30代の女ゴコロが今回のテーマ。30代は消費に明け暮れ40歳で都内に一軒家を建ててしまった、編集者兼雑貨店オーナーの塚本佳子(つかもと・よしこ)さん邸で今日も「7坪のお茶会」が始まります。

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貯金はいつから始めるもの?

–“消費”をテーマに、毎回ゆるりとお茶をしながら語ってきました。連載も残すところ2回ということで、今回は対極に位置する“貯金”についてお話をうかがおうかと。

塚本:貯金、ないですねー。してないですねー(笑)。

–ないんですか! 全然? そして今現在、貯金をしていないと。

塚本:はい。家を建てる時に使ってしまい、さらにはフリーランスになってからは持ち出しの方が多く……。

–でも、家を建てる前までは貯金はあったんですよね?

塚本:まあ、それなりに。

–ちなみに、貯金って、いつ頃から始めました?

塚本:おぼろげではあるけど、20代後半くらいだったと思います。

–目的は?

塚本:ないです。というか目的が貯金? 姉に「少しずつでいいから、毎月貯金をしなさい」とか何とか言われた記憶がありますね。最初は給料が振り込まれる銀行の口座から、毎月自動的に決まった金額が引き落とされる定期預金を始めました。

–いくらですか?

塚本:確か、5000円からでしたね。

–毎月5000円というと、1年で6万円ずつ貯金が貯まっていったと。

塚本:年間6万円て、少ないですね(笑)。

–まあまあ、若い頃はそんなもんですよ。ずっと、そんな感じだったんですか?

塚本:定期預金の金額を1万円とか2万円とか少しずつ増やしていった後、30代になってからは定額貯金に変えました。給料が上がっていくにしたがい普通口座に残高が増えていったので、ある時期からは普通口座に貯まったら50万円単位で定額貯金に移していました。

–一気に金額が上がりましたね。それで、今は一切貯金をしていないと?

塚本:残念ながら、定期的に貯金するほど余裕がない(苦笑)。

–いやいや、今こそ初心にかえって、月々5000円の定期預金から始めましょうよ(笑)。

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いくら溜まれば安心できるか?

–貯金がなくて不安じゃないんですか? 老後とか。

塚本:う〜ん。遠い未来のことを考えられないんですよね。40歳を超えて、すでに人生の折り返し地点を通過しているのに、まだ先のことがイメージできない。

–女性でおひとり様というと、皆さんすでに老後を視野に入れている人が多いですよね。

塚本:性格なんでしょうかね。今ガマンして老後のために一生懸命貯金しても、幸せな老後を迎えられる保証はないしなーと思ってしまう。いざとなったら家を売ればいいとか、かなり楽観的に生きています。改め言葉にすると、自分自身に対して「大丈夫か?」と問いかけたくなったけど(笑)。

–ローンを抱えるという不安から、マイホームを持つ選択肢に躊躇してしまう人が多いけど、確かに持ち家なら売れますよね。

塚本:老後対策というわけではないけど、駅に近いという立地条件はいずれあるかもしれない売却を考えてのことでしたね。

–将来のことを考えられないにしても、今現在の生活で貯金が安心材料になるという考えはないんですか?

塚本:もちろん、ありますよ。30代の頃は貯金が増えていくのが楽しかったし、お金があるというだけで安心というか、気持ちに余裕が持てました。

–貯金って、どれくらいあれば安心なんでしょうね。

塚本:う〜ん、300万円くらい?

–1年間は暮らせるくらい、ということでしょうか?

塚本:無職で一切収入がなくても1年間は暮らせる金額。でも、1年間無収入っていうことはないですからね。300万円あれば、なんとなく安心できそう。

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ストレスにならない貯金・節約

–塚本さんはこれまで大きな買いものをするためとか、長い旅行をするためとか、目的を持って貯金をしたことはないんですか?

塚本:ないです。そのための節約とかも、基本的にありませんね。あります?

–私はありますよ。会社を辞めてフリーランスになろうと決めた時に1年間限定でとにかく貯金を増やそうと超節約生活をしていました。

塚本:どんなことをしてたんですか?

–ランチは毎日持参していたし、飲み物も一切買いませんでしたね。その1年間は服も靴も買いませんでした。もちろん旅行なんてもってのほか。それで500万円貯めました。

塚本:すごい! 徹底してますね。それで安心して会社を辞めたと。

–確かに、辞めるにあたっての安心材料にはなったけど、1年間という期間限定だからできたんだと思います。

塚本:大変だったんですか?

–なんかね、貧しくなりました。暮らしも考え方も。やることが小さくなる。これをやらなければこれが浮くと、数百円単位で物事を考えてましたからね。

塚本:何かを犠牲にしての貯金は、案外ストレスなんですね。

–もうできない(笑)。当時のことを思い出すと、塚本さんが言っていた「貯金が目的」くらいの遊び感覚がちょうどいいのかもしれない。

塚本:確かに目的なく貯金をしてたけど、結局は使ってしまって今はありません。最初に貯金は消費の対極という話があったけど、大多数の人は使うために貯めているわけだから、必ず“消費”がついてくる。対極ではなく延長線上にある関係なんですよね。どんなに貯め込んでも“貯金”の目的は“消費”。貯金て、なんだか儚いものですね(笑)。

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【お茶会のメニュー】
〈器〉
・キッシュの盛り皿(ArabiaのRUSKA〈25.5cm〉/4320円)
・タルトの皿(ArabiaのRUSKA〈16cm〉/2700円)
・マグカップ……(HÖGANÄS KERAMIK)
・ティーポット……(HÖGANÄS KERAMIK)

*金額掲載の器は「Fika」にて取扱中。

〈お菓子とお茶〉
・パプリカと舞茸のキッシュ
・ベリータルト
・ラタトゥイユ
・カシスフレーバーの緑茶

☆キッシュとタルトの作り方

[材料]直径10cmのタルト型、各2個分(それぞれ倍の分量で直径18cmのタルト型1個分)
●キッシュ
(生地)薄力粉……90g/塩……ひとつまみ/卵……1/2個/水……大さじ1/2/オリーブオイル……15g
(具材)卵……1/2個/牛乳……25g/生クリーム……25g/塩・コショウ……各少々/ひき肉……40g/パプリカ赤・黄……各10g/舞茸……10g/粉チーズ……適当
●タルト
(生地)薄力粉90g/塩……少々/卵1/2個/水……大さじ1/2/溶かしバター……45g/砂糖……大さじ1
(具材)クリームチーズ……30g/生クリーム……30g/卵1/2個/砂糖20g/塩……少々/薄力粉……10g/レモン汁……小さじ1/冷凍ベリー類……適当

[1] キッシュ、タルトの生地ともに、ビニール袋に材料をすべて入れて、ひとまとまりになるように混ぜ合わせる。
[2]ビニールに入れたまま綿棒で3mm程度の厚さに伸ばす。タルト生地(バター使用)は冷蔵庫で30分間寝かせる。キッシュ生地(オイル使用)は休ませずに使用する。
[3]2の生地をそれぞれタルト型にかぶせ、指を使って生地と型をしっかり密着させる。
[4] 焼いている時に膨らまないようにするため、生地の底面にフォークなどをさして穴をあける。
[5]生地の上にアルミホイルを敷いて、タルトストーンを詰めたら、180度のオーブンで20分焼く。
[6]具材を作る。キッシュはパプリカ・粉チーズ以外、タルトは冷凍ベリー類以外の材料をすべて混ぜる。
[7]5のキッシュ生地にパプリカと舞茸を並べたら、6の具材を流し入れ、粉チーズをふりかける。
[8]5のタルト生地に6の具材を流し入れたら、冷凍ベリーをきれいに並べる。
[9]180度のオーブンで20〜25分焼く。

「北欧雑貨と日本の器 Fika」
関連リンク:公式HPFacebook

塚本佳子(つかもと・よしこ) 編集者・ライター。週末のみ「北欧雑貨と日本の器 Fika」の店主。暮らしを豊かにするための方法を日々模索中。著書に“7坪の家”ができるまでを綴った『小さくてかわいい家づくり』(新潮社)、北欧雑貨の買い付け珍道中を綴った『好きなことだけ』、スウェーデンのお茶文化を綴った『Fika』(いずれもPヴァイン)がある。