会社や組織に縛られることなく、自分ら人生の決断をし、新たな働き方を見つけてきた女性たちのインタビュー連載です。仕事もプライベートも、自分にウソはつきたくない。そんな30代女性が、もっとしなやかに、そして軽やかに生きていくためのヒントが、ここにありました。
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「大好きな人といる時の素の笑顔を残したい」恋人同士や家族の幸せを写真に残すサービスを提供している株式会社ラブグラフ。なんと、ラブグラフ社内のカレンダーには、スタッフの彼氏、彼女の記念日や誕生日が書き込んであり、その日は休んだり、早退したりすることも。

「家族の幸せをカタチにする仕事」だから、自分たちも家族の幸せを大事にしたい。そんな思いで会社を立ち上げた同創業者・村田あつみ(むらた・あつみ)さんの仕事観とは?

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学生時代、経験ゼロからデザイナーに

―学生のうちから、企業でかなりしっかり働いていらっしゃったとか。

村田あつみさん(以下、村田):はい、学生時代にスタートアップ起業でデザイナーをしていました。とはいえ、Webデザイナーとしての経験はなし。ただ、モノづくりをしたり、絵を描いたりするのが好きという感じでした。なのに、いきなり「明後日までに名刺のデザイン10案くらい考えてきて」と言われたり。負けず嫌いなので、そんな業務も必死にこなしてましたね(笑)。とても勉強になりましたし、とにかく楽しかったです。大学が終わってから仕事をして、週5日は働いていました。

―週5日ですか! 大学の方は大丈夫だったのですか?

村田:文系学部だったので課題が少ない分、他のことをする時間がありました。社会学を専攻していたんですが、デザイナーを始めてから「社会」が急に身近に感じられるようになったんです。「今、自分がしていること」と講義内容が直結していると気づいたというか。それがわかった途端、授業も仕事もどんどん楽しくなりましたね。さすがに、テストの時は両立が大変でしたが。

―自分で会社を立ち上げたきっかけは?

村田:デザイナーとして、自分の好き嫌いは関係なしに、案件がきたら言われるがままにデザインしていました。でも、スキルもついてきたのでそろそろ自分の好きな領域で仕事をしたいな、と思い始めました。

ラブグラフを一緒に立ち上げた駒下も、以前はミスコンやスナップサイトの撮影などいろいろな分野のカメラマンをやっていましたが、「自分が撮影をすることで誰かを喜ばせたい」とまわりのカップルを撮り始めたそうです。その写真がとっても素敵で「これをWebサイトにしない?」と持ち掛けたんです。それがきっかけですね。大学在学中にラブグラフを立ち上げ、卒業後は大手人材派遣会社に就職して、タブグラフに専念するため退職しました。

―写真に映るカップルの姿がヒントになったのですね。

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「家族の幸せを形にしたい」が原点

村田:私の父親がジュエリーデザイナーで、母は父を手伝っていました。ずっと仲良く一緒に仕事をしている両親を見て育ったので、私も家族が大好きで、自然と「家族の幸せ」をいつも考えるようになりました。

仕事として何をしていきたいか?と考えた時に、自分にとって大事な「家族の幸せ」を形にできれば、と思いついたんです。カップルや家族の幸せな写真を撮ることは、まさに自分が求めていた仕事でした。

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―撮り続けてきた中で、記憶に残る1枚はありますか?

村田:まだ趣味レベルでやっていた頃、協力してくれたカップルがいたんです。半年後に赤ちゃんができてマタニティフォトを撮りました。その後、赤ちゃんが生まれて親子3人の写真も撮りました。カップルから家族になる過程を見させてもらい、人生の大きなターニングポイントに寄り添えたことがとても嬉しかったですね。

―ユーザーはどんな方が多いのでしょう?

村田:18〜23歳の大学生が多いのですが、結婚を決めた20代後半の利用者も増えています。今まで写真で家族の記録を残すといえば、写真館のような室内が多かった。ラブグラフは、基本すべてロケで撮影をしています。普通のデートにカメラマン(同社ではラブグラファーと呼ぶ)が同行して撮影するので、とても自然な表情が撮れます。スタジオを借りる必要もないので、安く済むのもポイントです。

―かしこまった撮影ではないので、いつもの素の表情が撮れそうですね。

村田:利用したカップルさんもカメラマンも、毎回感動するのがラブグラフのいいところです。「私、彼氏の前でこんなに笑うんだ」とか「こんな表情するんだ」と、自分の意外な一面を見て驚くんです。本当にどの写真もかわいくて、写真を見たご家族の方も喜んでくださるそうです。「すてきな人と出会えてよかったね」と。カップルさんからも「ありがとう」と言ってもらえるし、2人の写真を撮ったカメラマンも感動する。たくさんの幸せを生み出すサービスが作れたことがとても幸せです。

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「仕事は仕事」と割り切らない

―他にも起業してよかったと感じることはありますか?

村田:大企業に身を置くよさは、制度がしっかりしていて休暇や保障があるので、守られているところ。起業すると、それが一切ない状態から始まります。でも、だからこそ、自分で1から作れるのがいいな、と。会社の不満を日々口にするくらいなら、自分で作ってしまえばいい。もちろん簡単なことではないけれど、それが起業の魅力ではないでしょうか。

―今はどんな働き方をしていますか?

村田:各々の出社時間に出社し、全員が揃う11時に朝会をします。帰りは22~24時くらいが多いですが、予定がある時は早めに帰ることも。土日は、イベントや平日にできない打ち合わせに出向きます。周囲からはまったく休んでいないと思われがちですが、仕事ばかりだと考えが偏りがちになったりストレスが溜まったりすることもあるので、休める日はしっかり休んでいます。休みの日は、本を読んだり、DVDを観てのんびりしたり、たまには旅行に行くこともあります。

―バランスをとっているんですね。

村田:仕事はつらいものと我慢しながら頑張って、プライベートで楽しい時間を作るというバランスのとり方もあると思うんです。でも、人生の中で仕事をする時間って、かなり多いので、それ自体を楽しいものにしたいな、と。私が楽しく仕事をして、お客さまを幸せにする。私が幸せなら、私の家族も幸せになるし、カメラマンの家族も「いい仕事をして幸せだね」と嬉しくなる。「幸せの連鎖」を生む環境を作れたら嬉しいです。

「家族との幸せな時間を形にする」サービスを提供している会社なので、自分たちもそういう時間を大事にしたい。会社のカレンダーに彼女、彼氏との記念日や、大切な人の誕生日などを書き込んで、その日は早めに帰ったり休んだり。お互いが遠慮なく休みをとったり、早く仕事を切り上げたりできるようにしています。

―5年後、10年後はどんな働き方をしたいですか?

村田:結婚して子どもができたら今のようにバリバリ働くことはできません。今、仕事が9で家庭が1の割合だとしたら、仕事が4で、家庭が6とか。仕事も家族も大事にしていきたいですね。

起業と聞くと「(結婚・出産・育児などの)プライベートをすべて投げ捨て、生涯死ぬ気で働く」といったイメージがあるかもしれません。でも、女性には結婚や出産をするか、しないか、するなら、いつするかといったことを自由に決める権利があるし、男性だって家事や育児にコミットするという選択が自由にできるようになるべきです。みんなが、仕事もプライベートも大事にしながら働けたらいいですよね。自分の考える幸せの形は、自分にとって正しいはずなので、自信をもって大事にして欲しいです。

「仕事もプライベートも、どっちも大事」とても自然にそう言い切る村田さんが印象的でした。20代の女性起業家といえば、100%仕事のイメージですが、それをいい意味で裏切ってくれたインタビューとなりました。

(編集部)