「女子力」が誤解されているかも? そう首を傾げたくなるニュースが今月12日に流れました。

福岡県宗像市が市内の団地再生や居住環境を整える「都市再生プロジェクト」の一環で、市内の女子大生を対象に「女子力」を向上させるための定期講座を開講するとした提言。これがネットで取り上げられ、批判が集中したのです。

同提言は、2014年8月に立ち上がった「都市再生プロジェクト専門家会議」で出された意見やアイデアを元に取りまとめられ、2015年3月に市長へ提出されたもの。

提言では、「むなかた女子力大学」と題して、「大学では学習機会が少ない文化的素養や教養をテーマにした定期講座の開催で、宗像市内の大学に通う大学生の女子力の向上」を図るとともに「UR日の里団地の空き店舗や空き室、集会所などを利用した女子力向上に関する定期講座やまちづくりワークショップの開催」をするとしています。

イメージ図では、「料理」「映画」「史跡めぐり」「インテリア」「お花屋さん」「写真」「お花」「お茶」の話題で盛り上がる女子大生の姿が描かれています。

一言で言うと「女子力を地域活性に役立てる取り組み」。こちらの提言に対して、ネットでは「一昔前の『花嫁修業』的発想」「文化的素養や教養って女子だけに必要なのか?」と批判が噴出しています。

宗像市の担当者にコメントを求めたところ「市としては提言を受けただけなので、コメントをする立場にない。(提言を)実施するかどうかもわからない」との回答でした。

「女子力」ではありませんが、9月には鹿児島県志布志市がふるさと納税返礼品のうなぎをアピールするためにPR動画「UNAKO」を公開。スクール水着姿の少女をうなぎに見立てた内容にツイッター上では批判が殺到し、批判を受けて志布志市は動画を削除しました。

行政が、地域活性や地域の特産品アピールのために女性差別にあたる取り組みを「平然と」行ってしまう背景には何があるのでしょうか? ジェンダー学が専門の千田有紀教授(武蔵大学)に話を聞きました。

目立ったもん勝ち? 明らかな問題構造


千田有紀教授(以下、千田):
地方の自治体が女性差別の問題を発生させてしまっているのには、明らかな問題構造があります。それはまず、目立たない自治体やイベントの「目を引きたい」という目的があることです。

地方の自治体は、「萌え」や「女子力」など、わかりやすい(過去の)流行語を使ってアイキャッチできればと考えています。請け負って製作する側も、「注目を浴びますよ」とプレゼンするでしょうし、職員も、「目立てばいいな」と考えているはずです。

「ギャップ狙い」はおかど違い

千田:ただ企業と違って、自治体は税金で運営されていますし、住民も「萌え」が好きな人ばかりではない。女性や子ども、お年寄り、外国人、障がい者、本当に幅広い人たちが住んでいるのです。その人たちに対する配慮が欠けていると、「税金で何をやっている」「役所たるものが」と批判を受けやすくなってしまいます。

「かたいお役所が」「こんな柔らかいことを」というギャップを狙っているのでしょうが、それがそのまま批判につながっているのがわかっていない。自治体には企業よりも社会的責任があります。それなのに、単なる男性目線で作ってしまってはいけないのです。

税金使ってジェンダー・ステレオタイプを押し付け?

千田:宗像市の「女子力」にしても、「女子力」というキーワードを押し付けて、おじさん目線で内容が決まってしまう。これがどこかの企業がやっている「女子力アップ講座」ならいいんですよ。受講しなければいいだけですから。

しかし、自治体が税金を使ってジェンダー・ステレオタイプを押し付けてどうするの?と。自治体の方たちには、もう少し社会的責任を考えていただきたいですね。少しでも「問題があるのでは?」という声が出た場合には、耳を傾けるべきではないかと思います。たとえ、その数が少なかったとしても、市民の中には同じように感じる人が必ずいるはずですから。

(編集部)