先月9日、心理職に初めて国家資格を設ける「公認心理士法」が成立しました。

なぜ今、この法律が成立したのか、そもそも心理職ってどのくらいあるの? いろんな疑問を、現役の臨床発達心理士の荒谷純子(あらたに・じゅんこ)さんにぶつけてみました。

仕事につながる資格はごくわずか

臨床発達心理士の荒谷純子さんによれば、この法案については、長らく一般社団法人 日本臨床心理士会が中心になって働きかけてきたのだそうです。

「実は心理職に隣接する福祉職で、1997年に誕生した精神保健福祉士(PSW)という資格は、翌年の1998年に国家資格化されています。臨床心理士会も2005年に国家資格化するよう要請を出したものの頓挫、さらに2009年、2012年と要請するも決まらず、ようやく2015年に出した要請が通ったという長い歴史があるのです」

そもそも心理関係の資格はどのくらいの種類があるのでしょうか?

大きく分けて、「大学など教育機関で認定された資格」として臨床心理士や臨床発達心理士、学校心理士、産業カウンセラーなどの6種が、「学会認定の民間資格」として認定カウンセラーなど10種以上があります。よくメディアに登場する“離婚カウンセラー”や“恋愛カウンセラー”のような非公的学会で独自発行する資格も合わせると30種以上あるといわれています。

荒谷さんによると、それらすべてが仕事に活かせるわけではないそう。

「臨床心理士の他、私が持っている臨床発達心理士、学校心理士、そして産業カウンセラーまでが何とか仕事として成り立っている、という感じでしょうか。指定大学院修了者のみに受験資格を与えられる臨床心理士や、基本は大学院修士卒(必須ではない)で臨床現場年数が一定以上ないと受験できない臨床発達心理士の有資格者は、その多くが高学歴プアと呼ばれています。実際、求人の条件は非常勤職員がメインとなっていて、安定した職につながるとは言えません」

再受験の必要があるため、歓迎しない心理士も?

では、これらの資格をすでに持っている人が、「公認心理士」になるにはどうすればいいのでしょうか? 荒谷さんに聞きました。

「一般的に大学で心理学や指定科目を履修することが必須とされていますが、現役の臨床心理士や臨床発達心理士は受験資格があると見なされ、早くて平成30(2018)年に第1回目の国家試験が始まるといわれています。私個人は心理職が国家資格化されて嬉しいですが、勉強し直さないといけないし、受験費用もかかるため、なかには歓迎しない方もいるかもしれません」

厚生労働研究班の2014年の調査によれば、国内で働く心理職は3万8000人から4万人とされています。今回の法案成立で心理職に国家資格ができることで、実際に仕事を得て社会で活躍できる人が増えるといいですね。

(河合桃子)