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水商売や風俗など夜の世界を卒業することを、業界では「上がる」と呼ぶ。しかし一度業界を上がっても、再び出戻ることも珍しくない。なぜ上がり、なぜ出戻るのか? 実際にアラサー世代の女性たちから話を聞いた。

繁華街でスカウトされて、やってみたら簡単だった 「キャバクラ嬢は本当に楽しい」

高校生の頃からキャバクラのスカウトがしつこくて、「いっそ出来る年齢になったらやってみよう」と思った。実際にやってみたら、意外と簡単だった。一応ナンバー(店舗での売上・指名本数などで付くランキングの上位)にも入っていて、生活に困窮していたわけでもない。もしかしたら特殊な例かもしれない。私はお酒が好きで、それを無料で飲めて、キャバクラ嬢は本当に楽しい。

そんな楽しい仕事を上がろうと思ったきっかけは婚約。今は昼間の仕事をしている。毎日お酒は飲んでいるし「どうせ飲むなら、結婚までまたキャバクラで稼ごうかな」とも考える。今の仕事をしながら働けるような良いお店があったら、戻れたらいいな。(元キャバクラ勤務・27歳・Kさん)

精神的な問題で正社員になれずヘルス嬢に 「自分のペースで働けて気楽」

精神的な問題で出勤時間が固定の正社員やアルバイトが難しく、ヘルス嬢となった。キャバクラも考えたが、当日欠勤すると罰金を払わされるお店が多く諦めた。風俗嬢は生理や体調不良なら当日でも休めて、自分のペースで働けて気楽。夜の世界の「源氏名」も、演技をしている感覚で楽しめた。

でも本番強要(利用者が風俗嬢に性交を強要すること)と、性病は常に怖かった。そして予想通り性病になり、お店を辞め、そのまま上がった。出戻ることも考えるが、周囲の説得もあり、今は思い留まっている。最近は単発のアルバイトから、徐々に社会復帰を目指している。(元デリバリーヘルス勤務・29歳・Mさん)

昼間の仕事を始めるも生活苦で再び風俗嬢へ 「今日を生きていくことが大切」

生活苦によりソープランドで働いていたけれど、保育園の仕事に受かってお店を辞めた。学歴が中卒で保育士資格が無くパート勤務だったが、やりたかった仕事に就けて嬉しかった。順調にいくと思っていたが、パートの月10万円以下の給料ではやりくり出来ず、半年後には風俗での貯金も底を尽きた。そして仕方なく保育園を辞め、またソープランドで働いている。だって、今日を生きていくことが何よりも大切だから。(現ソープランド勤務・26歳・Aさん)

お客様との出会いが夜の世界を上がる転機に 「今の仕事にも活きていると思う」

夜の世界なら楽にお金が稼げると思って、性感マッサージとガールズバーで働いた。実際は、不規則な生活と歩合制の給料で凄く大変だった。性感マッサージは、共同の待機所で女の子と話すことが女子校みたいで楽しかった。ただ、お店の講習は最悪。本来のサービスでは必要無いはずのこともされた。

そんな中、ガールズバーでのお客様との出会いが夜の世界を上がる転機になった。常連のお客様が会社の役員で、たくさん話をしているうちに「一緒に働きたいからうちの会社へ来ないか」と声を掛けて頂き、その方の会社へ入社した。人間同士の繋がりや気遣いなど沢山のことを夜の世界で学べたし、今の仕事にも活きていると思う。(元性感マッサージ・ガールズバー勤務・25歳・Yさん)

「上がる」きっかけは、働き始める理由と同じく決まったものは存在しない。「出戻る」きっかけは、程度の差こそあれ、やはり金銭的理由だ。それぞれの事情を抱えながら、夜の世界の女性たちも懸命に働いているのだ。

(文=GrowAsPeople大野静香)

一般社団法人GrowAsPeople(グロウアズピープル)
性風俗の顕在化しにくい課題の調査、研究を行うだけでなく、夜の世界に関わる女性へのセカンドキャリア支援を行う。

画像:Original Update by Kevin Poh