NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。8月は、昭和25(1950)年頃、ヒロイン・常子(高畑充希)が出す雑誌「あなたの暮し」が、家電などの商品テストを始める様子が描かれました。雑誌に広告を入れたことで断絶した常子と編集長の花山(唐沢寿明)も仲直り。雑誌の方向性が固まって、どんどん売上を伸ばし、世間への影響力も大きくなっていく。いよいよサクセス・ストーリーの本番という展開で、見ていて痛快でした。

今月は妹の鞠子がほとんどヒロイン!

第19週で描かれたのは、常子の下の妹、小橋三姉妹の真ん中である鞠子(相楽樹)の結婚です。会社で経理を担当する水田(伊藤淳史)にプロポーズされた鞠子は、常子に大学まで出してもらい、編集部でもまだちゃんとした仕事ができていないのに……と激しく葛藤します。そこで、当時、すでに伝説的な女性運動家になっていた平塚らいてう(真野響子)に原稿を依頼するという大仕事に挑みます。“らいてう(らいちょう)”の「原始、女性は太陽だった」という言葉に感銘を受けてきた鞠子は、あこがれの人に対面し原稿を書いてもらったことで達成感を得て、水田の妻として専業主婦になる決意をします。

水田「鞠子さんはやっぱり仕事を続けたいのではないかと……」
鞠子「それは違います。私はやっと“太陽”になれる場所を見つけました。それは水田さんの妻です」

キャリア志向から専業主婦へ

現代の感覚からすると、自分のお姉さんが経営している会社で働いているのだし、結婚相手も同僚だし、仕事内容は主婦のための雑誌だし、退職する必要ある?とツッコミたくなってしまうのですが、それは今から60年も前の時代。「女は結婚したら家庭に入るべし」という良妻賢母の価値観は、女性自身の中にも強くあったことでしょう。

モチーフとなった大橋三姉妹も、真ん中の次女が結婚退職し、子どもをもうけています。学生時代は勉強ができてキャリア志向だった人の方がむしろ早く結婚するというのは、現代でもありがちなパターンですが、それは学業に対して真面目だったように、妻や母としての役割にも真面目になってしまうからかもしれません。

常子にも恋の予感!?

公式ドラマ・ガイドによると、鞠子が優等生のわりに恋愛体質なところを、常子役の高畑充希さんがうらやましがっていたとか。常子は妹たちの幸せを優先し、仕事に邁進する女性で、恋愛に関しては傍観者のよう。むしろ「仕事か結婚か」で思い悩む鞠子の方がよっぽど朝ドラヒロインっぽく見えた。そんな8月放送分でした。

しかし、ここで急展開。常子も若い頃にプロポーズしてくれた星野(坂口健太郎)と再会し、惹かれあうようになります。星野の妻は亡くなっているし、幼いふたりの子どもは常子に懐いているし、もしかして最終週を迎える9月では、結婚してハッピーエンド!? または、そうではなくモチーフの大橋鎭子さんと同じように常子が独身を貫くならば、今後、常子がひとりで生きていく決意が語られる予感がします。独身女性の代表のように思われている「あさイチ」の有働アナウンサーの反応も含め、注目ですね。

【今月の名言】は、商品テストでメーカーに恨まれてしまった常子の反論!

常子「商品試験は生産者の方々に向けたものでもあるんです。私たちは今回の結果を踏まえて、安全でよいトースターを作っていただきたいだけなんです」

第21週、「あなたの暮し」にトースターの商品テストを掲載した常子は、評価の悪かった、ちとせ製作所の社長から恨まれてしまいます。ちとせ製作所は雑誌記事の影響で、取引先を次々に失い、倒産の危機に。社長は常子に「さぞかしいい気分だろうな」と嫌味を言われますが、こう反論します。常子の言葉を聞いて、社長は「次は完璧なトースターを作ってやる」と心を改めます。

まだ家電メーカーもクレーム対応をしておらず、下手に扱うとヤケドしてしまうような粗悪品も多かった時代。「あなたの暮し」のモデルとなった「暮しの手帖」は商品テストをすることで、消費者がよい商品を選べるようにすると同時に、モノづくりのレベルを上げてきたのでしょう。現在、「暮しの手帖」は商品テストをやめてしまいましたが、代わりにインターネットサイトの価格.comやAmazonレビューなどがその役割を果たしているのかも!?

とと姉ちゃんあらすじ08

(小田慶子)

関連リンク:NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」公式サイト