栄養医のドクター・オーテガ・ソフィーさん

今、パリで「日本の食事が女性のダイエットに効果的」ということが注目されています。実際、パリにある日本食材スーパーには日本人の客だけでなく、豆腐などの食材を前に、どれにしようかと真剣に観察しながら買い物をしているフランス人の姿を見かけることが少なくないのです。日本食レストランは既にパリで市民権を得ているのですが、いよいよ自分たちで食材を手に入れて日本食を食べる、というところまで浸透しているようです。

その日本食ブーム火付け役の一人が、先日『ダイエット方法・東京パリ』という本を出版したばかりのドクター・ソフィー・オーテガさん。減量の専門医である彼女の著書では、「パリジェンヌは日本人女性たちのスリムさと、美しい年のとり方を見習いましょう」と提案されています。

    雑貨屋に「BENTO(弁当)ボックス」が並ぶ

具体的には、美しさの秘密である食にスポットをあて「こんにゃく」や「わかめ」は繊維が豊富で低カロリーの食材であることを紹介したり、フランスの食材と比べていかに、日本食材がフランス食材よりも量を食べてもカロリーが低いかということに注目しています。

他にも、抹茶と小豆のマフィン、どら焼きなどのデザートレシピも可愛いイラスト入りで紹介したり、専門家らしい栄養素などデータだけでなく楽しみながら日本食を知ることができる内容になっています。

さらに、「BENTO」という言葉がそのままフランスでは知られ始めていて、お洒落な弁当ボックスがアジア雑貨店などで売られているのを見かけます。ただ、実際にこの弁当に日本人が何を入れて食べているのか、というところまでは追いついておらず、あくまでフランス食材を弁当箱に入れるというのが現状のようです。

著者のオーテガさんは、この本の中で昼または夜の具体的な弁当例として、「きしめんボロネーゼ風」(トマトひき肉麺)や「豆腐ご飯いため」など、フランス人でも馴染みやすく簡単なメニューを提案しています。もちろんカロリーと詳細な解説付きです。

BENTO

    女性の平均体脂肪率:日本は25%、フランスは30%

どんな風にこの本を執筆するに至ったのかなど、詳しく話を伺おうとシャネル本店などのそうそうたるブランド店が並ぶパリの中心地にオフィスを持つ彼女を訪ねてみました。

栄養医のドクター・オーテガ・ソフィーさん2

栄養医のドクター・オーテガ・ソフィーさん

――日本では、パリジェンヌに憧れている女性が多いので、パリジェンヌに日本食を提案されていることに驚きました。

ドクター・オーテガ・ソフィーさん(以下ドクター):パリジェンヌのイメージも、結局はファッションショーやファッション雑誌に見られるモデルたちの姿です。実情は、ダイエットに苦しんで、ガヤガヤとした大都会パリで多くのストレスを抱えた女性が多いのですよ。

――今回、この『ダイエット方法・東京パリ』を出版されたのはなぜでしょう? また、どうして日本なのでしょうか?

ドクター:東京の街を歩く多くの女性がスレンダーで驚いたからです。日本とフランスの30代女性の体脂肪率の平均を調べたところ日本は25%、フランスは30%だったことにも驚きました。また、なによりも日本人女性はフランス人女性に比べて肌の年齢化が目立ちません。実際は40代、50代なのにそうは見えない人がとても多いのです。このことからも、日本人女性はとても美しい年の取り方をしているのだと知りました。

    日本人女性の美の秘密は食材にある

ドクター:なによりも、ある出会いが日本人女性の美しさの秘密を教えてくれました。東京の鉄板焼レストランで隣り合わせた日本人女性の方と会話が弾み、質問してみたのです。すると彼女は、「外食は特別な食事で毎度このスタイルを日本人が食べているわけではなくて、家ではまた違うものを食べているからじゃないか」と答えました。その後、彼女の実家に案内もしてくれたのです。

彼女のお母さんが作ってくれた家庭料理を見て納得がいきました。8割方が野菜を使った料理だったからです。そして、たくさん食べるのに太らないという秘密を知ったわけです。特に「こんにゃく」という素晴らしい食材を知りました。「こんにゃく」はフランス人が親しんで食べるサラダ菜など緑色の野菜よりも、ずっと食物繊維が多く健康的なダイエットには最適なのです。「こんにゃく」だけでなく、日本人の主食である「米」、ほかには「うどん」も同様です。

フランスでは多くの人が体重を落とすのに本当に苦労をしているのに、日本ではこのような自然の食材が豊富で、かつ「食べても痩せられる」というのがとても新しく感じました。日本人女性の美の秘密は食材にある、この発見をぜひ紹介したいと思ったのです。

ドクター・オーテガ・ソフィー氏

パリジェンヌが日本式の弁当を持って颯爽と歩くイラストが描かれている。本の中には「こんにゃく」や「わかめ」など、日本の食材を紹介するだけでなく、「小豆」を使ったデザートのレシピまで紹介されている

――先生も日本食を取り入れられているんでしょうか?

ドクター:正当な日本料理を作るというわけではなく、例えば白滝を他の野菜と炒めてみたりと、フランス式にアレンジしながら美味しく頂いていますよ。

――本を出版されてからの反響はいかがですか?

ドクター:出版後すぐにテレビで紹介され、書店での売れ行きも3位になるなど、注目されていることを感じています。それに現在、日本人女性の皆さんがよくご存知のファッション雑誌からいくつか取材の申し込みを受けています。

    もっと日本人女性の美に自信を持とう

実際にお会いしてみると50代には見えない、美しいマダムでした。今後は男性版の出版も考えているということで、パリで日本食がますますモードになること間違いなし。

実際に海外で生活をしていると、日本人の肌の美しさを褒められることが多々あり、年齢も随分若く見られることがほとんど。パリジェンヌに憧れるのも良いけれど、もっと日本人女性の美に自信を持ってよいということ、その美が日本食から作られることをこの本に改めて教えてもらえました。

中村綾花