気になる「ニュースの数字」第18回

女性が参加できるオリンピック競技はテニスとゴルフだけだった! 知られざる五輪の歴史

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リオオリンピックも残すところあと、3日。日本選手のメダルラッシュが止まりません。8月19日朝の時点でのメダル獲得数は36で、うち12が金メダル。出場国の中で6番目に多くメダルを獲得しています。今回のオリンピックでは特に体操の男子団体の12年ぶり金メダル獲得、卓球の水谷隼選手がシングルス初のメダルを獲得するなどめざましい活躍を見せました。

しかし、女性陣も負けてはいません。

レスリングの吉田沙保里選手は4連覇は逃したものの銀メダル、バドミントン・ダブルスでは「タカマツペア」が悲願の金メダル。卓球女子団体では福原、石川、伊藤選手らが銅メダルを獲得。柔道では田知本遥選手が金メダル、水泳では金藤理絵選手が金メダルに輝きました。リオでメダリストとなった女性はすでに20人(19日朝現在)。

ロンドンの金メダルは女子4、男子3

実は前大会のロンドンオリンピックで日本が獲得したメダルは38。7つの金メダルのうち4つは女性選手が勝ち取ったものでした。男性よりも女性の方が金メダル獲得数は多かったのです。

さかのぼってみると、女性の金メダル獲得数が男性を上回ったのは2004年。男子が7つ、女子が9つを獲得し、男女の獲得数が逆転します。さらにロンドンオリンピックでは、メダル数上位のアメリカ、中国、ロシアにおいて参加選手、メダル獲得数のどちらも、女子が男子を上回りました。

1896年の第1回は女人禁制だった

女性選手の活躍は世界的にも広がっているのです。しかし、女性選手が活躍できる今のような環境は、最初からあったわけではありません。

そもそも1896年の第1回アテネオリンピックでは女性選手の出場は認められていませんでした。女性の権利と社会進出が認められていく中で、徐々に進められてきた女性のスポーツ参加。今回はオリンピックの歴史とそこに現れる数字から女性の社会進出とスポーツの関係に迫ります。

先ほども書いたように、第1回は「女人禁制」だったオリンピックですが、1900年の第2回パリ大会では、女子の競技種目としてテニスとゴルフが初めて加わります。その大会でイギリスのシャーロッテ・クーパー選手がテニス・シングルスで優勝。女性初の金メダリストとなりました。

日本人女性の初参加は1928年

それでもこの大会における女性選手はわずか12人。出場選手のたった1〜2%だったのです。女性選手の割合が10%に届くかというところまで伸びたのが、日本人の女性選手が初めて出場した1928年のアムステルダム大会。この年から始まった女子陸上に人見絹枝選手が唯一の日本人女性として出場。見事、銀メダルを勝ち取りました。

その後も、オリンピックにおける女性選手の割合は右肩上がりに増え続け、それと同時に女性が参加できる競技も増加していきます。最初は2種目だった女子の競技種目が、1964年東京オリンピックでは7種目にまで広がりますが、こうした「女子参加種目」は大会を運営する男性から見て「女性らしい競技」と見なされたもののみ。まだ、女性への差別や偏見は根強く残っていました。

しかし1970年代に入ると女性の権利を主張する運動が高まりを見せ、それに伴いオリンピックの女性参加も急増していきます。アメリカではウーマンリブ運動が始まり、1979年には国連総会で「女子差別撤廃条約」が採択。政治、経済、社会、文化などさまざまな分野で女性が男性と同じ権利を持てるよう、差別やステレオタイプをなくす措置が定められました。

1992年から女子柔道がオリンピック種目に

1970年代のこのような動きを経て、女子柔道が競技に加わるなど、女性が参加できる種目が19まで増えた1992年のバルセロナ大会では、女性選手の割合が28.8%まで上昇します。

きわめつきは1994年に世界スポーツ会議で採択された「ブライトン宣言」。スポーツのあらゆる分野において男女の機会平等を求めたこの宣言は、スポーツ界における女性活躍の礎となりました。

前回、2012年のロンドン大会では女性選手の割合は44.2%。男性選手と女性選手がちょうど半分になる日も間近、いや女性選手が男性選手を上回る日も来るかもしれません。

ロンドンオリンピックではそれまでオリンピックに女性選手を送り込まなかったサウジアラビア、カタール、ブルネイの3ヵ国が女性選手を派遣。全参加国から女性選手が出場しました。さらに、今回のリオでは、アメリカの女性フェンシング選手がイスラム衣装のヘジャーブを着用したまま出場しました。スポーツにおける男女平等は今まさに、さまざまな国と文化に浸透しようとしているのです。 

2020年の東京オリンピックはどうなる?

最後に、日本における女性とスポーツの歴史について触れたいと思います。実は日本で女子学生がテニスや水泳をするようになったのは1920年。そして国際大会に女性選手を送り込むための「日本女子スポーツ連盟」が設立されたのが、1926年。

しかし、学校教育で男女が体育で同じ授業を受けるようになったのは1989年とつい最近のことなのです。総務省の統計調査によると、15歳以上の男女のスポーツ行動者の数がピークに達したのは1991年。男性は78%、女性は72.1%に達しました。

しかしながら、それ以降から現在までの20年間でスポーツ行動者は10〜20%ほど低下しています。しかし一方で、20〜24歳の女子のサッカー人口は1991年には0.9%だったのが、2011年には4.6%まで上昇しました。オリンピックでも女子の競技種目は大会ごとに新たに加わっていくなか、それまで女性が少なかった競技でも今後、競技人口が増えることもあるでしょう。

2020年の東京オリンピックではどんな女性選手が、どんな競技で活躍するのか。今から4年後が楽しみになってきませんか?

(安仲ばん)

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