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2016/08/08

なぜ、人は不倫をするのか?

これまで不倫に関する著書を多数世に送り出してきたライターの亀山早苗(かめやま・さなえ)さん。この5回連載では、古今東西の人々を悩ませ 続けてきたこの難題について、亀山さんと考えていきます。第3回は、33歳のトモカさんのケース。父親と折り合いが悪かったことから、20歳以上年上の男性にばかり惹かれていく彼女。「家庭の匂いをまとった人でないと恋愛できない」と語る彼女の恋愛遍歴とは。

年上の男性ばかりを好きになる理由

年上の男性にばかり目が行き、結果として既婚男性と付き合うことになってしまったという女性がいる。広告関係の会社に勤めるナミエさん(33歳)は、なぜ年上とばかり付き合ってきたのだろうか。

「最初に付き合ったのは19歳の時。大学1年生でした。バイトに行った会社の社長で、当時50代後半だったと思います。父親より年上だった」

彼女の父親は厳格な人で、子どもの頃からテレビも見せてもらえなかった。

「母は父の言いなりだったから、父がいない時も父の教えに従って、私と弟にはテレビを見せない。両親が同じ教育方針だったということではなく、母は父に逆らえなかったんですね。大きくなるにつれて、そういうことがわかっていった。父にとって母はお手伝いさんみたいなもの。弟は跡取りだから大事にされていたけど、父は私にはろくに声もかけてくれなかった」

中学生の頃は、少しだけ荒れた。よその学校の生徒とケンカをしたり、いじめの集団に加わったりしたこともある。学校から呼び出された母は泣いていたが、父は冷たい目で彼女を見て、「何をすべきかわかってないようなヤツは放っておけ」と母に命じただけだった。

「直接、父に怒られた経験もないんですよね。おそらく父は私には無関心だった。それがじわじわと私の心の傷になっているんだと思う。高校生くらいになると、母が私に愚痴をこぼすようになった。『あなたは自由に生きなさい。私みたいにならないで』と。考えてみれば母もかわいそう。家が貧乏だったために父と結婚すれば自分の親もラクになる。そんな事情があったそうです」

バイト先の社長と交際した大学時代

大学生になってから、定期的に行っていたバイト先の社長は優しい人だった。

「小さな会社だったので、社員が3人とバイトは私ひとり。ある時、みんなでごはんを食べに行ったら、社長みずから料理を取り分けてくれたんです。私、こういう人がいるのかと感動して泣いてしまって。その時初めて、私は父に愛されたかったんだ、父とこうやって親しく話したり接したりしてもらいたかったんだと気づきました」

それをきっかけに社長は、ナミエさんにさらに気を遣ってくれるようになった。ある時社長の出張についていくことになり、出張先で結ばれた。

「社長には奥さんがいたし、もちろん私も顔を知っている。だから複雑な気持ちではあったけど、社長のことは本当に好きでした。1年くらい関係が続いたけど、奥さんにバレてクビになりました」

その時、社長の奥さんからナミエさんは思い切りビンタされたのだという。

次は、家庭教師先の父親と

それなのに、次に付き合ったのも妻子ある人だった。

「21歳くらいの時、家庭教師先のご主人と。40代半ばでしたね。その家は本当にあったかい家庭で、私もいつも一緒に食事をさせてもらったり遊園地に連れていってもらったりしました。子どもは女の子でまだ小学生、しかも私立中学を受験する予定もなかったんです。勉強よりも一人っ子だからお姉さんがほしいという理由もあって家庭教師を雇ったそうです。だからよく一緒に行動させてもらいました」

ある日、家庭教師先に行くと、お母さんと娘がいない。お父さんひとりが所在なげにリビングに座っていた。

「どうしたのかと思ったら、娘さんが急病だと。結局、たいしたことではなかったんですが、奥さんは付き添うことになり、ご主人は翌日朝から出張だったので戻ってきたそうです。『連絡できなくてごめんね』と言われ、勧められるままに上がり込んでコーヒーを淹れてもらって。話しているうちに少し疲れた様子のご主人が、『僕はずっとあなたを素敵だと思っていた』と言い出して。その時はすぐ帰ったんですが、それから彼のことが気になって……」

1ヵ月も経たないうちに深い関係になった。だが、この関係はバレたら奥さんのみならず、子どもまで傷つけることになる。だからふたりは用意周到に振る舞い、関係は彼女が大学を卒業するまで続いたという。就職と同時に家庭教師のバイトができなくなり、彼との関係も自然消滅に。

「家庭の匂いをまとった人でないと恋愛できない」

だが、就職先でもまた、ナミエさんが選んだのは30歳近く年上の家庭ある男性だった。その人と別れたあと、さらにふたりと付き合ったがどちらも既婚だった。

「ここ2年ほど付き合っている人は20歳年上。どうして既婚男性、しかも子どものいる人ばかりに目が行ってしまうのか。本当は認めたくないけど、男性に父親を見ているんでしょうね。父親のような人にわがままを言って受け入れてもらえるのが嬉しい。いつかは独身男性と付き合って結婚も考えなければいけないんだろうなと思っていたけど、ずっと先送りしてきて今になってしまった。そんな感じです」

父親に甘えた記憶がないから、父親のような人に甘えてしまう。年齢だけでなく、「いかにもお父さんという感じの優しい人」に惹かれるのだと彼女は言う。5年前、彼女は家を出てひとり暮らしを始めた。それ以来、ますます父親とは疎遠になっている。

「家庭の匂いをまとった人でないと恋愛できない。ここから脱するにはどうしたらいいのかな。最近、ようやくそう思い始めました」

脱したいという気持ちがあれば、きっと脱することはできる。父のような愛情を要求するだけではなく、そろそろ彼女自身がみずから誰かを愛する時期に来ているのではないだろうか。

亀山早苗

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