ポケット弁護士エリカちゃん第12回

OLがネイルマシーンで特許をとって一攫千金!? 意外に身近な“特許”について知ろう

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OLがネイルマシーンで特許をとって一攫千金!? 意外に身近な“特許”について知ろう

「大人の女のリーガルレッスン」
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リーバイスのデニムから、青色発光ダイオードまで、私たちの身のまわりには「特許」の発明が活かされたものがいっぱい。場合によっては海外まで巻き込んで巨額のお金が動く「特許」の世界。もしかしたら、あなたにもちょっとした発明で一攫千金のチャンスがあるかも? いよいよ最終回の今日は、実は身近なのに知らない「特許」についてのリーガルレッスンをお届けします。


〈今回のポイント〉
【1】特許と実用新案って何?
【2】同じような特許の申請が他にもあったら?
【3】特許をめぐるトラブルを教えて!

〈登場人物〉

ririko

リリコ(32歳)
小さなデザイン会社に勤める中堅デザイナー。基本的に他力本願。趣味はネイル、お酒(ワインと焼酎)、サイゼのお気に入りメニューは「ミラノ風ドリア」。例えれば、だらしない石原さとみ。

erika

エリカちゃん(永遠の30歳)
「六法全書」の妖精。本名はオピストコエリカウディア・スカルジュンスキィ。辛口で正論をバシバシ言うが、困っている人は放っておけない姉さんキャラ。例えれば、リカちゃん人形サイズの真木よう子。

リリコとエリカちゃんが2年ぶりの再会

六法全書の妖精・エリカちゃんがいなくなってしまってから、丸2年。あの後、恥ずかしながらネットワークビジネスにはまり、誰彼構わず無理な勧誘をしたせいで会社もいづらくなって辞職、数少ない友達とも絶縁状態になってしまった。あれ以降も唯一、ララコだけが愛想をつかさず付き合ってくれている。今はネットワークビジネスから足を洗い、小さな会社で美容アイテムのデザインや開発を仕事にしてる。

あの時、エリカちゃんの言うことを聞いておけばって、何度も思った。それに何より、エリカちゃんにひどい言い方をしてしまったこと、謝りたいな。またいつか会えるだろうか……。

リリコ、ネイルマシーンを発明する!?

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「で、できた!! 指を入れるだけでネイルのお手入れからネイルアートまで全自動でこなしてくれるビューティーマシーン!! TSUME美ちゃん!! これはすごい発明をしてしまったかも〜〜〜特許取れちゃうかも〜〜〜!! 一人コツコツ進めてた甲斐があったよ……。でも、特許ってどうやって取ればいいんだろう……ああ、こんな時、エリカちゃんがいてくれたらなぁ。2年前、あんなひどいこと言わなければよかった……エリカちゃん……うっうっ……」

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「何? うるさいんだけど」

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「へ?」

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「リリちゃん、相変わらずすぐ泣くわね」

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「エエエエリカちゃん!?!?!? ど、どうして!?!?!?」

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「どうしてもこうしても、社内的な方向転換があったっていうか、そのへんは神様資本の会社だから、見捨てられないっていうか……特許についてはまだレッスンしてなかったものね」

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「エリカちゃん〜〜あの時は「いらない」だなんてひどいこと言って本当にごめん」

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「まあ、私も言いすぎたわ。うちの会社は人間に「いらない」って言われると、即帰らなきゃいけない規則なのよ」

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「そうだったんだ……」

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「ともかく、特許について説明するわよ」

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「はい!」

特許と実用新案の違いって?

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「まずそもそも、特許っていうのは、ある発明があった時に「こういう発明がありますよ」と公に知らしめて勝手に使われないようにすることで、発明者による有効活用を図り、産業を発達させようとする制度なの」

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「なるほど。特許があるとその発明を独占できるんだよね?」

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「そうよ。特許庁というところに登録することによって、独占発明として使えるわ。他にも、その発明を使わせてあげる代わりに対価をもらうなんて使い方もできるわ」

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「な、なるほど……! それ、夢があるね!(ドキドキ)」

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「ただ、特許として認められるには条件があるわよ」

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「へっ!? 今まで誰も発明しなかったってだけじゃダメなの?」

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「それも大事だけど、まずは仕組みが高度であるということ。ちゃんと研究に研究を重ねたような技術的に高度なものでないとダメ。それに新規性、進歩性があること。つまり新しくって、既存の技術より進んだものだってこと。他に開発した人がいないというのはこれのことね」

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「ふむふむ」

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「技術的な高度さはないけれど、人の役に立つようなアイディア、例えば便利なキッチン道具なんかは実用新案と呼ばれて、特許とはまた別になるの」

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「そうなんだ!」

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「例えば足つぼサンダルとか、シャンプーとリンスのキャップについてる凸凹なんかは実用新案ね。特許として登録されている青色発行ダイオードや、傘の軽量化はニュースにもなったわね」

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「なるほど〜」

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「特許は認められるための審査のハードルがとても高いの。だけど実用新案はきちんと書類の作成さえすれば、特許よりずっと認定のハードルは低いし、認定までの時間も短いわ。けれどその分、特許権、つまりその発明を占有できる権利ね。これが20年間有効なのに対し、実用新案権は10年と短いのよ」

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「10年は結構違うよね」

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「そうね。特許として認められる発明は産業として利用できるっていう条件もあるくらいだからね。ちなみに特許権の有効期間は、薬品や農薬などに限って延長もできるわ」

同じような特許の申請があったら?

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「でもさ、私、このビューティマシーンTSUME美ちゃんで特許の申請をしようと思っているんだけれど、もし万が一同じような発明が同じようなタイミングで申請されたらどうなるの?」

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早いもの勝ちよ」

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「ええっ!?」

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先願主義って言うんだけれど、まったく同じ発明だった場合、先に申請に来た方に認められるわ」

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「ちょ、ちょっと違った場合は?」

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「その場合、先願順に加えて、パワーアップした部分が特許になるわ」

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「??」

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「つまり先にスズキさんが申請したA+Bという発明と、その後サトウさんが申請したA+B’という、すごく似た2つの発明があったとするでしょ。Aの部分はスズキさんに特許が認められるけど、Bの部分に関してはB’の方が進んでいるから、サトウさんにB’の特許が認められるってわけ」

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「わかったような気がする……」

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「いずれにせよ、今まである技術を超える発明をした場合は、基本特許は取れると考えていいわ。発明していたとしても登録をしていなければ、それは先に特許を出した方のものになるってとこは押さえておいてほしいわね!」

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「はーい!」

特許をめぐるトラブル

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「しかし、まさかリリちゃんがこんな発明してるなんて思いもよらなかったわ」

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「私も自分でびっくり! ネットワークビジネスにはまっていた時からは考えられないよ」

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「このマシーン、本当に特許申請するの?」

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「そのつもりだけど……む、難しいかな……」

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「それは私にはわからないわ。でも特許は取った取られた、使った使われたのトラブルが多いから、ちゃんとリサーチして、書類も弁護士などの専門家にきちんと相談した方がいいわね」

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「そうなの!? トラブル多いんだ〜」

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特許侵害訴訟なんて言われるけど、もし特許を侵害されて、当事者間の話し合いでラチがあかない場合、特許関係の専門部署がある東京地裁や大阪地裁に訴え出ることになるわ」

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「めんどくさ……」

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損害賠償がいくらになるかは、その特許を侵害して得た利益の金額や販売個数なんかが基準になってくるでしょうね」

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「なるほど……なんだか大変そう……」

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「あとは申請の際に、やっぱり早いもの勝ちな部分があるから、発明している段階でその途中の情報を盗まれたりってことは容易に想像できるわね。なんかそんなドラマもやってたでしょ」

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「あ〜そういえば、ネジだったかバルブだったか、そんなドラマあったよね」

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「特許はものによってノーベル賞だって絡んでくるし、海外にも影響力があるわ。動くお金だって1億、2億の話じゃないわけよ。ものによってはね」

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「おお……一攫千金……」

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「だーかーら! ものによっては、よ! ともかく情報の取り扱いは慎重にならなきゃいけないし、一生懸命研究しても、すでに誰かに特許の登録をされてるものかもしれないから、特許庁のホームページで念入りに確認する必要があるわ!」

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「はい!」

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「ちなみに会社で発明した場合、特許は会社のものになることが多いわ」

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「え゛っ!?」

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「ただ、リリちゃんも青色発光ダイオードって名前は聞いたことあるでしょ? ノーベル賞も取った発明よ」

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「知ってる!」

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「これは特許によって莫大な利益を得た会社を、開発した社員が手当の不十分で訴えたんだけど、社員へ会社が200億円を支払うよう判決が出たわ。まあ、その後、高裁で8億程度で和解したみたいだけど、どれだけ会社が儲けたかは推して知るべしね」

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「に、にひゃくおく……どうしよう……TSUME美ちゃんがそんなモンスターな発明だったら……」

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「まあ、そんな心配はないと思うけれど。さてと、リリちゃん! ほらもうすぐ終電じゃない?」

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「わっ本当だ!」

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「私すっかりクタクタよ! 帰りましょ」

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「……エリカちゃん。戻ってきてくれてありがとね」

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「何よ! 気持ち悪いわね! ほらモタモタしてると置いてくわよ!」

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「もう〜! エリカちゃんってば!」

エリカちゃんは相変わらず憎まれ口ばっかり。でもこうやって言い合いするのも、なんだか楽しい。リーガルレッスンは現状を今すぐ変えられるものではないけれど、法律の知識はピンチに陥った時に必ず支えになってくれる。それが、私がエリカちゃんとの暮らしで学んだことだ。これからも少しずつ、勉強していけたらいいな。

〈今回のまとめ〉
【1】特許と実用新案って何?

特許は、研究に研究を重ねたような技術的に高度なものでないとダメ! それプラス新規性・進歩性があることがカギになってくるわ。対して実用新案は例えば便利なキッチン道具のアイディアは実用新案に当たるってわけ。
【2】同じような特許の申請が他にもあったら?
基本的に先願順よ! 同じような発明だった場合、先に出願した方に特許権が認められるわ!

【3】特許をめぐるトラブルを教えて!

取った取られた、使った使われたのトラブルが多いから、ちゃんとリサーチして、書類も弁護士などの専門家にきちんと相談するのがおすすめよ!

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