「覆面離婚相談」第2回

【覆面相談】アラサーの離婚は、1年の保留期間を設けるとスムーズにいく

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【覆面相談】アラサーの離婚は、1年の保留期間を設けるとスムーズにいく

離婚弁護士は、離婚をさせてナンボの世界。そのため、離婚相談のため弁護士事務所を訪れると、当然ながら離婚を勧められる場合がほとんどです。

ところが、「円満離婚は心の整理が9割、法律が1割」と言い切る原口未緒(はらぐち・みお)弁護士は、「相談に訪れる人の4割は“今すぐ離婚すべきではない人”。あえて保留期間を設けることで、離婚するにしても、しないにしても事がスムーズに進みます」と語ります。

今回、“あえて離婚を勧めない離婚弁護士”、原口先生に相談を依頼したのは、公務員のマユさん(28歳)。

大学3年の時に知り合った1歳歳上のゼミの先輩と付き合い、昨年、結婚。しかし、結婚後、夫(29歳)は勤め先での評判がよくなく、契約更新されずクビに。それ以来定職につかずにアルバイト生活を送っている。生活リズムが乱れ夜中にお酒を飲んでゴロゴロしている夫に愛想がつき、3ヵ月前から別居中。現在はメールのやりとりをしつつ、月に1、2回会う程度。30歳までに定職に就いてくれなければ、離婚して次の人生を送りたいと考えている。

別居中だが、本当に離婚したいかわからない

原口未緒先生(以下、原口):今回はどのようなご相談で連絡をくださったのですか?

マユさん(以下、マユ):夫が定職に就かないことに悩んでいます。一度、派遣社員をクビになってからは、家でゴロゴロしてばかり。「ちゃんと働いてよ」と言っても「わかった」と言うばかりで、就職活動をする気配もありません。私が彼に就職のアドバイスをするといやがり、最近ではお酒が増え、うつっぽくなって精神科に通い始めました。

原口:3ヵ月前から別居されているということですが、別居してから、どうですか?

マユ:夫のダメなところを見なくていいので、イライラがなくなりました。私の会社に近いところに引っ越したこともあり、すごく快適です。

原口:今、ご主人が住んでいる家の家賃はマユさんが払っているんですよね? 今後どうされる予定ですか?

マユ:彼が住んでいる家は引き払いたいんです。でも彼は「就職活動をちゃんとするから、追い出さないでほしい」と。彼が就職して、きちんとした生活を送ってくれるなら、やり直してもいいかもと思っています。でも、今のままだと、私自身の将来の選択肢が減るのが怖いんですよね。家を買うとか、子どもを生むといった将来が想像できないんです。

原口:離婚したいという気持ちはどれくらいあるのでしょう。

マユ:半々くらいかな。まだ離婚したいかどうか、自分でもはっきりわからないんです。

「世間の目」を取っ払って考えてみる

原口:迷っている部分はどんなこと?

マユ:私たち、性格は合っていると思うんですよね。お互い国文科出身で、本が好き。読書の趣味が近いわけではありませんが、自分が知らない世界のことを教えてくれるのは楽しいと感じます。

原口:相性が悪いというわけじゃないんですね。

マユ:そうですね。ふたりだけで生きていくなら、いいのかもしれません。話も面白いし、私の話を聞いてくれるところもいいな、と。でも、私たち、一般的な夫婦としては成立していないと思うんです。世間的に見ても、私が働いて彼は無職でブラブラしていて。親だって、いい顔はしませんし。

原口:世間体や親の目線を取っ払うと、どうでしょうか?

マユ:確かに、自分自身の気持ちだけ考えたら、そばにいてほしい人かもしれません。家にいるとイライラしますが、週一で会うくらいなら、お互いじじばばになるまで、一緒にいてもいいかもしれない。

自分を縛りつけている何かに気づく

原口:もし、彼と別れたら再婚したいですか? たとえば、理想の男性が目の前に現れたとして、その人にプロポーズされたら、どうしますか?

マユ:その時は、今の夫と別れるしかないですよね。結婚するかどうかわからないですが、その人と付き合うと思います。でも、実際のところ、理想の男性と出会えたとしても、そういう人が私に「好き」と言ってくれる確率は5%もないと思うんです。だから、これからの人生、ずっとひとりで生きていくか、それともダメ夫と折り合いをつけていくか……。その二択で考えてしまいます。

原口:どうして、自分は理想の相手に出会えない、出会えても愛されないと思うのでしょうか?

マユ:多分、自分がすごくだらしない人間だと自分でわかっているからだと思います。親も弟も堅実な仕事に就いているので、自分もちゃんとしなきゃと思っていたんですが、私は自分の部屋も片付けられない人間で……。本当は人と暮らすのが苦手なんです。こんなふうにちゃんとできていない自分を好きになってもらえると思えません。

原口:マユさん、親御さんや世間からの見られ方を気にされるタイプですか?

マユ:私も今、先生とお話していて、自分にそういう傾向があることにびっくりしました。

原口:「きちんとした自分でいなければ」という意識が強いようですね。公務員であることも関係しているのかもしれません。

マユ:確かに、人にどう見られるかはすごく気になっていました。職場ではだらしないところが出ないように気をつけています。

原口:ご主人とマユさんのふたりの関係性だけを聞いていたら、必ずしも相性が悪いとは思えないんですよね。

マユ:気になっているのは周囲の目なのかもしれないです。今も、病院に通っているような夫をひとり残して別居しているなんて、職場に知られたら、どう思われるだろう、働きにくくなるのではと、それが一番気がかりです。

1年の保留期間に「ベビーステップ」を踏み出そう

原口:マユさんのお話を聞いていると、今はまだ、離婚という段階ではないように思います。現状が心地よいのであれば、1年くらい別居のまま様子を見てみたらどうでしょうか。

マユ:1年ですか。

原口:そうですね、若い人なら1年くらい、30代後半から40代で結婚生活が長いのであれば、2、3年の保留期間があるといいんですよ。すると、自然と離婚すべきかどうか、わかってきます。

マユ:そうなんですね。

原口:そしてポイントは、その1年間を自分のために使って、自分を解き放つことです。ご主人のことは、いったん放っておきましょう。

マユさん、自分が「きちんとしなくてはいけない」と思い込んで、今までできなかったことはどんなことですか?

マユ:うーん……。そういえば、私、フリルやレースが大好きで、ひとり暮らしの時はインテリアをフリフリで揃えていたんです。本当は服装も可愛らしい格好にしたいのですが、公務員だからと思って、できずにいました。

原口:それです! そこから変えてみましょうか。まず、最初の一週間で何をしますか? これは「ベイビーステップ」というのですが、今すぐできることをやってみましょう。

マユ:まず白くてふわふわのパジャマを買いたいです。

原口:いいですね。そうやって、自分のことを考える時間を持つと、自然とご主人との離婚のことが気にならなくなるはずです。そういう時間を積み重ねていくと、やがて本当に離婚したいかどうかがわかると思いますよ。

マユ:私、弁護士さんに相談したら、離婚を勧められるんだと思っていました。

原口:自分がまだ納得しきっていないのに、まわりの力で離婚を前に進めると、必ずドロ沼になるんです。ですから、私は今日みたいなカウンセリングを重要視しています。

マユ:先生と話すまでは、自分の中に「ちゃんとした人間だと思われたい」という願望があるなんて思っていませんでした。

原口:まずは「きちんとしなくては」というしがらみから、自分を解き放ってあげるのがいいですね。これから1年間、自分のことを大事にしてあげてください。

マユ:夫のことを放置してもいいと言われて、正直ほっとしています。しばらく、自分のやりたいことをする時間を作って、時間が経つのを待ってみますね。今日はありがとうございました。

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