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2016/07/26

OLと会社の後輩

気がつけば、夏。そろそろ、新入社員がノビノビしだす頃です。OLとしてはお局感を出さず、かつ歩み寄りすぎてウザがられないようにコミュニケーションをとるのが大変……。それって、新規加入を繰り返すアイドルも同じ。年齢を重ねた私たちでもなかなか慣れない状況を、10代から受け止めているのは、すごいことです。

“どん底”だったスマイレージ

さて、今回もハロー!プロジェクトからホットな9人組、アンジュルムをご紹介します。ここ数年は毎年新メンバーを追加していて、今月も笠原桃奈さん(12歳)が加入したばかり。昨年単独加入した上國料萌衣さんも、初めての後輩ができて喜んでいます。「おいしかった末っ子キャラが、あっという間に取られた」なんてふて腐れることもありません。仕事仲間というより、家族が増えたような雰囲気。

と、今でこそ新人ウェルカムモードですが、アンジュルムがここまで辿り着くまでにはたくさんの苦労がありました。2009年に4人体制でスマイレージとしてデビュー。久々のハロプロ新グループ、しかもハロプロエッグ(ジャニーズでいうJr.)時代から大人気で圧倒的な華やかさを持った4人で結成されたということで、事務所の強力なバックアップがありました。

楽曲にも恵まれて、デビュー翌年には日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞するなど、順風満帆。かと思いきや、歌の中核を担っていたメンバーが突然の卒業。しかし、すでにサブメンバーとして加入が決定していた2期で補填・パワーアップ!のタイミングで、新メンバー1人が病気のため離脱。その後は追い討ちをかけるように、一番人気だった初期メンバーが卒業。たった数ヵ月の間の出来事でしたが、一気に暗雲が立ち込めてきます。

ハロプロの他ユニットが単独ホールツアーを年2回実施しているのに、スマイレージだけはなかなか動員が伸びず、過酷な日程で小規模なライブハウスを回ることになります。リーダー・和田彩花さんも長く続いた6人の時期を「どん底だった」と語っています。

新メンバー加入には賛否両論……いや、「ピ!」

最終的には日本武道館単独公演までたどり着いたものの、低空飛行が続いてしまったスマイレージ。流れを変えるために、2014年に3期メンバー3人を迎えてアンジュルムへと改名しました。ここから、快進撃が始まります。新メンバーをセンターに迎えてリリースした「大器晩成」がスマッシュヒット。

新メンバーが堂々と踊ることができた背景には、2期メンバー・竹内朱莉さんの粋な計らいもありました。率先してブログで「前の方がいいって言われたら、3期の居場所がなくなってしまう。そういう思いはしてほしくない。いろんな気持ちがあると思うけれど、受け入れ態勢を整えてほしい(大意)」とファンに呼びかけていたのです。

そう、初期の4人体制が完璧過ぎたがゆえに、最初の増員時には若い新メンバーに容赦ない中傷を向ける人も少なからずいました。前述の2期・竹内さんは当時を振り返り「(2期メンバー加入には)賛否両論あって。……いや、賛なかった。ピ! 」と笑って話しています。そう。辛かったことを「ピ!」でまとめる陽気なキャラクターこそが、2期メンバーの魅力なのです。

マツコも大注目 マイペースの権化・勝田里奈

同じく2期メンバーで目が離せないのが、勝田里奈さん。アイドルユニットに普通の女子高生がいる感じのゆるーいテンション。超体育会系のハロプロにおいて、異質な存在です。MVでダンスを確認しようにも1人だけ動きが穏やかでなかなか映らず、インタビューで新曲エピソードを聞かれても「ないでーす」と答えてしまう(感じは悪くないからすごい)マイペースっぷり。

同期の田村芽実さん(5月に卒業)から「イベントで、AかB選んでステージの左右に分かれるクイズコーナーがあったのに、りなぷ〜(勝田さん)は最初Bを選んでそのまま動かなかった」 と突っ込まれると、あっさり「(ライブハウスが暑かったので)クーラーのあたる所にいたんです」 と悪気なく返していました。

少人数の時に、全員がベンチャー精神でシャカリキモーレツやってきた組織でも、外からフツーの人が入ってきた時には働きすぎのブラック企業に移るかもしれない。全員が常に全力過ぎたら、倒れてしまいます。その時にバウンサーとなる、勝田さんのような「ゆるい」先輩の存在は不可欠なのです。マツコ・デラックスさんも「勝田問題だけで5時間は語れる」「勝田がいて良かった」と、彼女に注目しています。

そう思うと、彼女のヘナヘナしている省エネダンスも優雅に見えてきます。もしかして、あれはアイドルとして常に撮られることを意識しているのでは? ピントがブレないようにしているのでは? 数々のコメントも、怒られるかギリギリのラインでツッコミ待ちという高度なコミュニケーション技術なのでは? 勝田さん、天才です! と思えてしまうほど。興味ないところで無理に取り繕って消耗することもない彼女の生き方は、何かと頑張りすぎな現代人に対して警報を鳴らしているのかもしれません。

率先してふざけるから、下が伸び伸び育つ

2期はサブメンバーとして加入したり、不遇時代がありました。そもそもスマイレージは“日本一スカートの短いアイドルグループ”のキャッチコピーで活動していたのに、ミニが履けたのは正規メンバーのみ。後ろでロングスカートを翻しながら、笑顔で頑張ってきました。

その一方で、後輩である3期、4期、5期があっさり加入していきなりセンターに入ってきます。OLだったら、自分は契約社員スタートなのに後から正社員であっさり入ってきた! みたいな闇はあるはずなんです。でも、彼女たちは自分の苦労を他人に押し売りしない。攻撃的になることも絶対にありません。一般オーディションから合格して、現在サブリーダーにまで大出世した中西香菜さんも、なかなか先輩に追いつけなかった当時の苦い経験を活かしながら、優しく新人をケア。

2期メンバーはまだ、立ち位置も端っこであることが多いです。けれど、下が伸び伸びできるように率先して自由に振る舞い、時にはファンに呼びかける。組織の変化を柔軟に受け入れられる彼女たちの強さこそ、会社員として見習うべきなのかもしれません。

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小沢あや

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