ドラマヒロインを追え! Vol.04

「女性が輝く社会」なんて、しょせんお題目? 産休明けのヒロインが会社の理不尽と戦うドラマ

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「女性が輝く社会」なんて、しょせんお題目? 産休明けのヒロインが会社の理不尽と戦うドラマ

育休明けの女性は会社のアピール材料

7/21に放送スタートした「営業部長 吉良奈津子」(フジテレビ)が、アラフォー女性の間で話題になっています。松嶋菜々子さん演じるヒロイン・奈津子は、広告代理店のCMクリエイターで、業界の賞を取ったほどの売れっ子でしたが、40歳直前に結婚し出産。3年の産休・育児休暇を経て、職場復帰します。ところが配属されたのは、出産前にいたクリエイト部門ではなく、営業開発部という新規部署でした。しかも異例の部長待遇。それでも営業ではなく制作に戻りたいという奈津子に、斎藤という取締役(石丸幹二)はこう言い放ちます。

取締役「会社は子どもを産んだ女性を積極的に受け入れているが、腹の底じゃ不満を抱いている者も少なくない。何年も休んだ人間と、毎日汗をかいてきた自分たちを一緒にしないでほしい」

「育児休暇明けの君を管理職に据えれば、“女性の活躍”に熱心な企業として、いいアピールになるわけだよ」

これぞ企業の本音。「部長なら文句ないだろう」と言って奈津子を部長にしたのは、産休・育休明けの社員を降格したり、遠方の勤務地に異動させたりすると、「育児・介護休業法」に抵触するので、その対策だったわけです。しかも、会社にとっては、政府の「女性が輝ける社会へ」という提唱に従っている体で、イメージアップができるから一挙両得
。さらに、奈津子が部長になった営業開発部は、社長の鶴の一声で作ったものの、新規クライアントを開拓できないお荷物部署。「どうせ3ヵ月後には潰す部署だ」と取締役は裏で言いますが、新規事業失敗という責任を奈津子に背負わせる気満々。

ひどい話ですが、現実でも充分ありえるリアルな設定です。特に、広告業界は生き馬の目を抜くような、社外でも社内でも競争の激しいところ。いくら花形クリエイターだったと言っても、3年のブランクは長いですし、「育休を取った=戦線離脱した」と見なされてしまうのかもしれません。

子持ちの女が企業で働く苦難

奈津子「私の売りは、40歳の子持ち女……」

頭の回転が速い奈津子は、すぐに自分が置かれた状況を察します。そして、気持ちを切り替え、新部署でクライアントを獲得しようと奮闘しますが、そう簡単にはいきません。「鼻持ちならない女」と自他共に認めるプライドの高さもあって、制作にいたときに指名を受けた回転寿司チェーンの社長にも「あなたには誠意がない」と言われ、かつての部下である広告ディレクターにも冷たくあしらわれる。家庭では、息子の保育園のお迎えをたびたび夫に頼むことになり、文句を言われる。ベビーシッターを雇ったことが姑にばれてしまい、「母親の自覚がないんじゃないの?」などと言われる。まさに四面楚歌。味方がどこにもいない状況で、奈津子は悪戦苦闘していきます。

ネットの反響と、厳しい現実

ネット上の感想を見ると、「面白い」「リアル」という反応がある一方、「ヒロインが3年も育休を取れるなんて、その時点で恵まれすぎていて、共感できない」という声も。

確かに、データを見ると、出産の半年後には60%の女性が無職になっており(*1)、出産を機に仕事を辞めた女性の30%が「仕事を続けるのは難しかった」、9%が「解雇された、退職勧奨された」(*2)というのが現実なので、奈津子の立場はまるで現代の貴族のようです。その格差に感じる不満は、中村アンさん演じる派遣社員・朋美が代弁してくれます。

朋美「私、ああゆう人が嫌いなの。仕事も結婚も子どももすべてを手に入れようとするなんて。私なら、好きな人の子どもを大切に育てるけどな」

派遣には、出産後の職場復帰の保証はありませんから、当然の感情でしょう。そんな格差にも目を配るこのドラマ、よく考えられていると思います。何より、主演の松嶋さん自身、女優が産後に活躍するのは難しい中、2回の出産を経ながらドラマに出続けてきましたし、「救命病棟24時」シリーズ、「家政婦のミタ」というヒットも飛ばしています。奈津子が会社の理不尽なやり方に屈せず、お飾りではなく「輝いて」いく展開を期待!

(*1)厚生労働省「第1回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)」
(*2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究」(2008年)
関連リンク:参考URL

フジテレビ「営業部長 吉良奈津子」

(小田慶子)

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