バラガンのピンク、フリーダの青

色には喜びや幸せ、哀しみ……いろいろな感情があるんだなあ。
そう思ったのはメキシコの旅でした。

20160715-photo1

かの有名なメキシコ人建築家、ルイス・バラガンの“バラガン邸”へ行った時のこと。あのピンクやオレンジの壁、黄色のガラス扉を前にして、全身が色に包まれる高揚感を味わいました。

ふだんあまりピンクは好きじゃないのに、バラガン・ピンクに浸ると、不思議とうっとりとした気分になります。

20160715-photo2

黄色いガラスから光が差し込む、“黄金の廊下”を歩いている時は、まるで“天国”への階段を昇っているかのような神聖な気分に。

日本でも、こんな光に包まれて暮らせたらどんなに素敵だろう。しばし空想に浸りましたが、はっと我に返りました。

20160715-photo3

この色は日本とはあまりに違いすぎる。
空気や光、そこに生きる植物、土、すべてが違いすぎて、きっと合わない……。

「彼が使った色は、白、ピンク、赤錆色、赤、青、黄色、薄紫、黄土色だけであり、他の色は決して壁に塗らなかった。それがメキシコの自然や風土の表象の置き換えであり、ピンクはブーゲンビリアの花、赤錆色や黄土色はメキシコの大地、薄紫はジャカランダの花の色である」(『カーサ・バラガン』齋藤 裕)

20160715-photo4

ほら、やっぱり……。
ルイス・バランガンの色はあの土地だからこそ映える色なのだ。

色でいえば、メキシコ人画家、フリーダ・カーロの“青い家”も忘れられません。コバルトブルーのような真っ青な色は、庭の植物の緑をよりみずみずしく見せていました。

20160715-photo5

ちなみにちょうど今、資生堂ギャラリー(銀座)では、フリーダ・カーロの遺品を撮った石内都さんの写真展「Frida is」が、世田谷美術館ではメキシコ人写真家、マヌエル・アルバレス・ブラボの写真展「アルバレス・ブラボ写真展―メキシコ、静かなる光と時」が開催中です。両方とも必見。そして両方とも、やはり壁は“メキシコ色”に塗られていました。

「¡Viva! Photodays」シリーズはこちら

【石内都 写真展「Frida is」】
開催期間:2016年6月28日(火)〜8月21日(日)
場所:資生堂ギャラリー
詳しくはこちら【アルバレス・ブラボ 写真展「メキシコ、静かなる光と時」】
開催期間:2016年7月2日(土)~8月28日(日)
場所:世田谷美術館
詳しくはこちら

「¡Viva! Photodays」シリーズはこちら

宇佐美里圭(うさみ・りか)
1979年、東京都生まれ。編集者、ライター。東京外国語大学スペイン語学科卒。在学中、ペルー・クスコにて旅行会社勤務、バルセロナ・ポンペウファブラ大学写真専攻修了。中南米音楽雑誌、女性誌、週刊誌、カメラ雑誌などで働く。朝日新聞デジタルで「島めぐり」「ワインのおはなし」「花のない花屋」などを連載中。ラテン音楽とワインが好きなエピキュリアン。