「産んでも働くママになる」第6回 大同生命保険株式会社

20時で会社のPCが“強制終了” 大同生命保険が進める「リミット20」とは

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20時で会社のPCが“強制終了” 大同生命保険が進める「リミット20」とは

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仕事とプライベート、仕事と育児や介護を両立するにあたって欠かせないのが、ワーク・ライフ・バランスです。残業に制限を設ける企業はよくありますが、実際は仕事に追われて帰れない……など、カタチだけになっていることも珍しくありません。

そんななか、「強制的に」仕事を切り上げることにしたのが大同生命保険株式会社です。遅くとも一般社員は19時半、管理職は20時までの帰宅を促す「リミット20」は、パソコンの自動シャットダウンやビル消灯など、徹底して労働時間の削減を実施。人事総務部の中山鉄平(なかやま・てっぺい)さんによると、「業績を向上させながら労働時間の短縮を実現し、生産性が向上」したそう。2015年には、生命保険会社初となる「イクメン企業アワード2015」グランプリも受賞しました。制度導入前後で社内風土がどう変化したか、中山さんに伺いました。

導入当初は「会社は何を考えているのか」との反発・心配も

――「リミット20」に至るまでの経緯を教えてください

中山鉄平さん(以下、中山):2003年より21時にビルを消灯し、社員の帰宅を促す取り組みを始めたのがきっかけです。その後、より強制力を持たせるため、21時にパソコンが自動的にシャットダウンする仕組みを取り入れました。導入から10年経ち、十分な定着がみられたので、2013年から現在の「リミット20」としました。

――導入当時の社員の反応はいかがでしたか?

中山:当時の私は営業現場にいましたが、毎日遅くまで会社にいる生活。“長時間労働は当たり前”という当時の風潮もあり、「労働時間が短くなれば、目標達成が難しいのでは」「会社は何を考えているのか」なんて声も聞かれました。しかしいざ導入すると、それほど成果に影響はなく、むしろ効率よく仕事ができるようになったのです。労働時間が短くなることへの抵抗は、徐々になくなっていきました。

――営業職だと、昼間は外回りをして、夕方からデスクワークが始まりますよね。退社時間が早まり大変だったのでは?

中山:そうですね。ただ、当時は同僚とムダ話をしていた時間もあったので、集中してやれば時間内には終わる、ということがわかりました。

上司に新しい価値観を受け入れてもらえるかが成功へのカギ

――「リミット20」に対する女性社員の反応はどうですか?

中山:「リミット20」は遅くとも20時までには退社する、という取り組みですので、女性に限らず全ての社員に対し、効率的に働きできるだけ早く退社するよう促しています。また、例えば子育て中の女性に向けては、「短時間勤務」や、家庭の事情により引っ越しなどをする場合、転居先の勤務地に転勤することができる「ファミリー転勤制度」、育児などを理由として退職した従業員を再雇用する「ジョブリターン制度」などさまざまな取り組みをしていますので、制度上は働きやすくなっているのは間違いありません。ただ、上司の考え方や仕事の内容によって利用しやすさに差があることも事実ですので、そこは改善すべき点として受け止めています。

――上司の方の反応は、以前と比べて変わってきましたか?

中山:一昔前は「残業してナンボ!」という考えの上司もいましたが、今は経営トップからもさまざまな場面でワーク・ライフ・バランスや働きやすさの重要性を伝え続けてきているので、例えば性別にかかわらず育児中の社員がいれば、ほぼすべての上司が配慮するようになってきています。社員の中には、「仕事を他の人に任せるのは申し訳ない」とがんばりすぎてしまう人もいますが、そういう時は仕事の割り振りを考え直すよう上司に促しています。これはもう、文化として根づいてきていますね。

――チームワークがよくなりそうですね。

中山:現在、ペーパーレスを起点とする、最新のIT機器を活用した新しい働き方を全社的に推進しており、そのなかで「今、誰がどんな仕事をしているか」という情報が共有できるようになっているので、どんどんよくなってきていますね。

中山鉄平さん

職場環境の整備が仕事へのモチベーションアップに

――業績などはどうですか?

中山:保有契約高は4年連続で前年度末から増加、当期純利益は株式会社化(2003年)後の最高益を更新するなど、堅調に推移しています。この間、会社としても「リミット 20」をはじめとする労働時間の縮減に向けた取り組みのほか、「在宅勤務」の導入や「ペーパーレス化」、今まで1時間かけていた会議を45分に短縮する「仕事スリム化運動」など、日々の仕事を効率よく進めるために工夫をしているので、ワーク・ライフ・バランスを充実させながらも生産性はかなり向上していると思います。

――そんな中、「イクメン企業アワード2015」を受賞。社内の反響は?

中山:正直、私自身が予想していませんでした(笑)。さまざまなメディアで取り上げていただくことで、私を含め社員の中に「他社と比べて先進的な取り組みをしている」という意識が生まれ、仕事への誇り、モチベーションなどが上がってきています。男性が育児を体験することで、育児の大切さを理解するきっかけになれば、との考えから男性の育児休業取得推進の取り組みを始めましたが、“女性が活躍できる職場”は、“男性にとっても、仕事と家庭を充実させながら働ける環境”なのだと日々実感しています。

月2回の早帰りデー、プライベートの充実を実感

――「リミット20」が「リミット19」になる予定は?

中山:今はそれよりも「帰りたい時に帰れる」メリハリのある働き方の実現を目指しています。「早帰りデー」を月2回実施していますが、これは月2回、好きな日に遅くとも18時半までには退社できるというものです。こちらも、指定日にはパソコンが自動シャットダウンする仕組みにしています。

――中山さん自身、早く帰るようになってどんな変化がありましたか?

中山:月2回でも早く帰れるようになると、子どもが喜んでくれたり、家族そろって食事をしたりすることができるようになりました。また、早く帰るために効率的な仕事の進め方を普段から意識し、不要な業務は見直しが図れた等、ワーク・ライフ・バランスの大切さを実感しています。

――今度はどのような取り組みをされていくのでしょうか?

中山:育児に関しては、水準以上の取り組みはできていると思いますので、安定して利用できる体制づくりが課題です。また、介護休暇等に取り組んでいく必要もあると思っています。育児は期間限定ですが、介護は終わりが見えないので、会社としてもフォローする必要があるのではと考えています。

取材を終えて

子どもが小学校に入るまで(注:大同生命は小学1年生まで)は時短勤務が利用できても、問題はそのあと。「労働時間=成果」と評価される会社では、深夜まで働けないママたちはキャリアをあきらめ残業の少ない部署に異動することが多くなります。しかし「リミット20」をはじめ、さまざまなキャリア支援を実施している大同生命なら、労働時間によってキャリアをあきらめることなく働き続けられるのではないでしょうか。

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女性が働く上で、産休や育休、復帰後の働きやすさは、避けて通れないテーマです。女性も男性も心地よく働くために、企業はどんな制度を準備して、これらの問題に向き合っているのか。ママライターがレポートします。

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