モンキー・フォレストの悪夢

トラベルにはトラブルがつきもの。非日常を追い求めて旅に出るのだから、多少のトラブルは楽しんじゃえ、という心構えはあります。とはいえ、それも程度の問題で……。

ウブドの旅では、大きなトラブルが二つありました。

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一つはサルに噛まれたこと。「モンキー・フォレスト」という観光地を散歩していると、突如子ザルが肩に乗り、私の揺れるピアスを耳から引きちぎって行きました。どうやら実だと勘違いしたようです。しばらくして食べられないことがわかると、ポイッ。やれやれと拾いに行くと、今度は親ザルがこちらにめがけて猛突進してくるではありませんか。子どもの獲物を横取りしたと思ったようで、なんと私の腕をガブリ!! ぎゃああ……。

ウブドは数年前に狂犬病がはやったばかりで、サルもキャリアだと言われています。「死ぬうう……」。真っ青になり、すぐに近くの病院へ。6回にわたって注射を打ち、事なきをえました。

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そしてもう一つは、帰国後のことです。2週間ほどたったある日、コンビニで現金をおろしました。あれ? 口座の残金を見て、何か違和感。数字が……変?  っていうか、桁が違う? そもそも貧相な口座ではあるけれど、こんなに少なかったっけ? 心がザワッ……。何かがおかしい。

とにかく出入金の記録を見るため銀行へダッシュしました。でも、通帳は持っていなかったため調べることはできず、18時をまわっていたので窓口もやっていません。とっさにATMの横にあった受話器をとりあげ、「なんか変なんです!」と訴えましたが、電話では調べることはできないとのこと。しかも運が悪いことにその日は金曜日。とりあえず口座を閉鎖し、週明けに再度調べてもらうことになりました。

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とはいえ2日間、何もしないでいられるわけがありません。ネットで調べ、国民生活センターへ電話し、交番へ行き、詳しそうな人に相談しました。国民生活センターと交番で言われたのは、「お金は戻らないですよ」。ガーン。

そして月曜日。銀行から電話がかかってくると、「最近、毎日10万円ほどおろしてます?」との質問。それ私じゃありません……。 はい、犯罪確定。

調べていくと、ウブド市内のATMでスキミングをされていたことがわかりました。滞在中、何ヵ所かでお金を下ろしたのですが、言われてみれば一ヵ所カードの飲み込みが少し遅かったところがあったかも? でもATMの見た目は普通だし、遅いといってもほんの少し。まったく気づきませんでした。

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最終的には、いろいろな手続きを踏んでお金は戻ってきましたが、一時はあやうく無一文になるところでした。「終わりよければすべてよし」ですが、ウブドの思い出には、サルとATMが一生ついてまわりそうです。

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宇佐美里圭(うさみ・りか)
1979年、東京都生まれ。編集者、ライター。東京外国語大学スペイン語学科卒。在学中、ペルー・クスコにて旅行会社勤務、バルセロナ・ポンペウファブラ大学写真専攻修了。中南米音楽雑誌、女性誌、週刊誌、カメラ雑誌などで働く。朝日新聞デジタルで「島めぐり」「ワインのおはなし」「花のない花屋」などを連載中。ラテン音楽とワインが好きなエピキュリアン。