太陽歯科衛生士専門学校インタビュー

アラサーからの手に職 ウェブデザイナーから歯科衛生士を目指してみた

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アラサーからの手に職 ウェブデザイナーから歯科衛生士を目指してみた

「もっと自由に働きたい」

20代で経験を積んでアラサーで社会人として一人前になった時、“次のステップ”としてそう考える人は多いはず。そんな時、単に転職するのではなく、「手に職をつける」というのも一つの方法です。

なかでも注目されている職業が、「歯科衛生士」。歯科医の指導のもとに口腔のケアを担当する国家資格で、ここ10年ほどで就業数が最も伸びている技能職です。果たして、アラサーの仕事の選択肢として、歯科衛生士は「アリ」なのでしょうか?

今回は、2年連続で国家試験合格率100%の実績を誇る太陽歯科衛生士専門学校を訪れ、IT企業を退職して37歳で本校に入学した2年生の河合ちひろ(かわい・ちひろ)さんと、入学相談室主任の櫻井龍太(さくらい・りゅうた)さんにお話を伺いました。

〈河合ちひろさんプロフィール〉
38歳独身。Webデザイナーの仕事を辞め、太陽歯科衛生士専門学校に入学。愛犬1匹、愛猫2匹とともに都内で暮らしている。

激務のwebデザイナーから歯科衛生士へ

櫻井龍太さん(以下、櫻井):本校には「昼間部」と「夜間部」のカリキュラムがあり、500名弱の生徒が在籍しています。なかでも夜間部では、子育て中のお母さんや、転職のために歯科衛生士の資格を取ろうというキャリア女性など、いろんな方々が学んでいます。河合さんもその一人です。

河合ちひろさん(以下、河合):私はもともと、多摩美術大学を卒業後、webデザイナーとしてホームページ制作の仕事をしていました。映画のプロモーションサイトを作るという仕事です。

──webデザイナーから歯科衛生士とは、まったくの異業種ですよね。なぜ?

河合:ある時、目標とする先輩が一気に辞めてしまったんです。その後しばらくは「のし上がるチャンスだ!」と同期と一緒に頑張っていたんですが、仕事は過酷で、毎日残業が当たり前でしたし、徹夜する日も結構ありました。土日や祝日に映画のイベントがあると、それに合わせてサイトを立ち上げたり更新したりしないといけないので、休日出勤もあって……。ひどい時には、床で転がって仮眠をとっている人もいましたね(笑)。

30代前半まではそれでも耐えられたんですが、だんだんきつくなってきたんです。元々人手不足なのにスケジュールがタイトな案件ばかりになっていき、デザインを考える時間すら削られ納品に追われる日々。自分の時間がとれず、「何のために働いているのかわからない」と思うようになりました。人もどんどん辞めていって、最終的に、女性は私ひとりになっていました。

先輩の「これからは手に職」という言葉が後押しに

河合:そこで私も転職先を探そうを考えたのですが、web業界では「転職をするなら30代前半まで」が相場です。しかも映画業界というのはかなり特殊ですから、他の制作会社に勤めようとしても、結局のところ一からノウハウを積み上げなくてはなりません。

だから、どうせならまったく別の業界に飛び込みもうと考えました。webデザイナーとしてのキャリアを捨てることに不安はありましたが、定時に上がれて、全国どこでも働ける、今までの仕事とは異なるメリットがある他の仕事をしようかな、と。退職するベテランの女性から「これからは手に職だよね」と言われたのも、歯科衛生士を志すひとつの決め手になりましたね。

──数ある職業の中から、歯科衛生士を選んだ理由は?

河合:歯科医院は予約制のところが多いので、時間がきっちりしていますし、全国どこでも仕事ができます。おまけに、web業界のような年齢制限がありません。何歳になっても働けるんです。国家資格というのも魅力的でした。友人から「歯科衛生士は足りていないので、仕事に困らない」と聞いていたことも理由のひとつです。

櫻井:「歯医者はコンビニより多い」とよく言われますが、その分、歯科衛生士の数が追いついていないんです。歯科医1人につき2人の歯科衛生士が必要とされているんですが、2014年のデータだと、東京都で0.9人。ですので、就職しやすい状況にあるといえます。

熊本地震で見えた新しいニーズ

櫻井:また、社会の高齢化に伴い、口腔ケアの重要性が認識されるようになってきました。熊本地震の際にも、被災地で高齢者の誤嚥(ごえん)性肺炎、つまり口の中のケアが不十分なために引き起こされる肺炎で死者が出たというニュースが、世間を騒がせました。

その他、口腔ケアの指導から予防、診療補助まで多岐にわたる歯科衛生士の仕事の中に「訪問歯科」があります。歯科医院へ通院することのできない高齢者の患者さんのご自宅に伺い、ケアをするんです。いわば「歯科衛生士の出張」ですね。

こうした訪問歯科の仕事をフリーランスで請け負う歯科衛生士も出てきています。社会的な需要が高まっているうえ、意外と自由度の高い職業でもあるんです。

河合:実際、授業の中でも、歯の構造や術式の基礎だけでなく、患者さんとのコミュニケーションや高齢者歯科学も学びます。

河合ちひろさん

合格率は96%、最大144万円の支援も

櫻井:歯科衛生士は、国家試験取得までのハードルも働きながら充分に越えられます。薬剤師や歯科医師だと、国家試験の合格率は60%から70%前後なのですが、歯科衛生士は全国平均で約96%。まじめに授業や実習に出ていれば、基本的には合格できると言えます。

3年間、歯科衛生士の専門学校に通うための学費はトータルで夜間部だと300万円ほど。しかし、歯科衛生士や看護師といった専門職の場合、「教育訓練給付金制度」という制度を利用すれば、政府から最大で144万円の支援を受けられます。

専門学校の中には、入学時点で150万円もの大金を支払わなくてはならないところもありますが、本校では学費や教材費の分割にも対応し、自身の貯金と相談しながら通えるようにしています。また、3年生になると実際に歯科医院で学ぶ「実習」が始まるのですが、すでに歯科助手として働いている場合は、勤務先を実習先として認めています。独身でひとり暮らしの方でも、金銭的な不安を抱かずにこの業界に飛び込んでいただけるよう、学校としても配慮しています。

──入学するためには、学費の他に何が必要なのでしょう?

櫻井:社会人の方の場合、面接と、漢字の読み書きと分数の割り算レベルの適性試験を実施します。面接では印象や、身だしなみをチェックしますね。社会人として働いていた方であれば、問題ないと思います。

──実際に入学してみて、何か心境の変化はありましたか?

河合:退職前よりもはるかに自分の時間を持てているので心に余裕がありますし、「絶対、歯科衛生士になる!」という目標があるので、多少凹んでも気持ちが常に前向きになっています。

また、「学校は若い女性ばかりなのでは?」とちょっぴり不安だったのですが、実際には同世代や私より年配の女性もいます。若い子でも、歯科助手としてすでに経験を積んでいる人が多いので、気さくに教えてくれるんです。今まで触れたことのない知識を学ぶのも楽しいですし、今、とても充実しています。

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