アダムとイブのもつれる遺伝子」第5回

500万年後には男性がいなくなる可能性 遺伝子から見える人類の未来

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500万年後には男性がいなくなる可能性 遺伝子から見える人類の未来

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何かと世間を騒がせる紗栄子。有名音楽プロデューサーと交際したと思ったら、今度は資産2000億円にものぼるZOZOTOWN社長との熱愛が報道されました。次々と男を乗り換える、いかにも“肉食”な振る舞いに世の女性たちからは非難の声もありますが、生命情報学がご専門の国際医療福祉大学助教、筒井久美子(つつい・くみこ)先生によれば「男女にまつわる遺伝子の未来を考えると、紗栄子の姿勢はうなずける」とのこと。「アダムとイブのもつれる遺伝子」第5回では、「紗栄子は男女の未来を予言している!?」というテーマでお話を聞きました。

500万年後には男はいなくなる?

もし、この世がめくるめく女だらけの世界だったら……。男性ならはち切れんばかりの妄想で生唾を飲み込みそうな設定ですが、これが決して荒唐無稽なフィクションではないとしたら、どうでしょう。

男女の性がそれぞれXY染色体、XX染色体で決定されているのは周知の事実ですが、実は、最近の研究でY染色体の働きが弱まってきていることが指摘されているんです。Y染色体上に含まれる遺伝情報の数が徐々に減っていっていて、500万年後には完全に退化してしまうのではないかといわれています。それはつまり、「男が生まれなくなる未来」が訪れる可能性を暗示しているわけです。

はるか先の世代の女子たちは、クラスのやんちゃ坊主相手に「ちょっとそこの男子! ちゃんとやってよー」と唇を尖らせることもなければ、大人になってから「彼が全然家事をやってくれなくってさー」と女子会でクダを巻く必要もないのかもしれない(笑)。

第1回の「男の浮気は“本能”と無関係であることが判明」で述べた通り、ヒトは、ひとりぼっちでも淡々と生殖活動をする状態から、つがいでねっとりと愛し合う方向に進化してきました。そう考えると、せっかく獲得したオスを手放して、原始的な生殖方法に逆戻りしているようにも思えます。

皮膚細胞から精子がつくれる?

「男がいなくなったら子どもが産めなくなるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、現に男性の不妊治療の一環として、その人の皮膚細胞から精子を分化させる実験も行われているんです。つまり精子そのものがなくても子どもはつくれるだろうということ。

女性の細胞から分化させられるかどうかはまだ研究段階なのですが、受精すら女性が男性の存在なしにセルフで完結できるようになる可能性が高いわけです。子どもを産むには母体は絶対に必要なので、女性は存在しないと困りますが、男はいずれ用無しになってしまうかもしれませんね。

はかなく消えゆくY染色体

そもそも、Y染色体は「何のために存在しているんだ?」と首を傾げるところも少なくないんです。X染色体上には大量の情報がのっているというのに、Y染色体上には性別を決定する遺伝子以外は、日常的にはあまり役に立たない情報ばかり。

逆に、男性は性染色体上にX染色体をひとつしか持たないがために、その影響をもろに受けやすく、血友病や色覚異常などの発症確率が高いんです。いったい何のためにY染色体が存在しているのか、その理由は大きな謎ですね。

Y染色体上の遺伝情報は無意味だから淘汰されつつあるのかもしれないし、私たちがまだ気づいていない重要な意味があるのに消えつつあるのかもしれないし。本当のところはまだよくわかっていません。

「オス」は、いずれ消えていくかもしれない弱くてはかない生き物なのです。そういう生き物を相手にしているわけですから、ひとりの男に固執せずにどんどん乗り換えていく紗栄子の生き方は、ある意味“正しい選択”に思えてきます。

「美人薄命」は正しかった

紗栄子の生き方の“正しさ”は、ホルモンの観点からも説明できます。

男性ホルモンであるテストステロンが多くなると、いわゆる「男らしい」特徴があらわれます。しかし、テストステロン値が高いと悪玉コレステロールが増加し、心筋梗塞などの病気になりやすいといわれているんです。雄々しくてワイルドな男ほど、ポックリ逝ってしまう可能性があるんですよ。

一方、女性ホルモンであるエストロゲンは、バランスよく分泌されていれば悪玉コレステロールを抑える働きをしてくれるので、そのおかげで女性は男性よりも長寿であると考えられています。ところが、エストロゲンの多すぎると、今度は乳がんになりやすくなったり、甲状腺に悪影響があったりして、死亡率が高くなります。甲状腺の異常からくるバセドウ病が昔から「美人病」と言われるゆえんもこのあたりにあるのでしょう。

「美人薄命」という言葉がありますが、おしとやかで男から好まれる女性が早逝しやすいのは、科学的にも理解できるのです。

ガツガツするくらいがちょうどいい

したがって、いずれ消えゆく男に選ばれてあえなく散っていくより、女性はガツガツと積極的に行動してテストステロン値を高めつつも、エストロゲンでほどよく中和していく方が、生存方法としては妥当なんです。巷を騒がせている紗栄子の生き方は、人類のはるか未来を先取りした“生存戦略”ともいえるかもしれませんね。

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アダムとイブのもつれる遺伝子

恋愛、結婚、浮気、ケンカ、離婚……生命情報学専門の国際医療福祉大学助教、筒井久美子(つつい・くみこ)先生に、様々な男女のもつれの原因を遺伝子学の観点から答えていただきます。

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