川崎貴子の「自立という幸福」

「大切にされなかった」女性の運命

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「大切にされなかった」女性の運命

「自分を大切にして」
と、友人に言われたことはありますか?

それは、どんなシチュエーションだったでしょうか? 彼に振られて自暴自棄になっていた時? 毎晩正体を失うぐらい飲んだり、寂しくてワンナイトラブに溺れたりしていた時?

周囲を心配させるようなことをしでかすのは、誰でも人生に一度や二度あって、でもそれはまだわかりやすいから、友人知人のアドバイスや新しい出会いで立ち直る可能性は結構高いものです。突然ばかばかしくなって、自分自身で気づいたりもしますし。

「自分を大切にして」と友人に言ってしまう状況

ところが、はたから見たら幸せそうに思える「その友人に彼氏がいるシチュエーション」において、「お願いだから、自分を大切にして」と思わず言ってしまう時があります。明らかに彼女がその彼に「大切にされていない」とわかってしまったからです。彼女も「私は彼氏に優しくされていない」とか、「どちらかと言えば虐げられている……?」と、薄々気づいてはいるのです。そして、友人に相談したら満票一致で「別れた方がいいよ」と言われることも。

でもそれでも、「やっぱり彼のことが好きだから……」と、彼女がささやく際、あきらめと「目覚めますように」という少しの希望を添えて友人たちは言うのです。「自分を大切にしてね」と。

プライドや自己肯定感がない女性が陥る罠

恋愛は本来、どこかアンフェアというか、不安定であるがゆえに盛り上がるものだったりいたします。そこが大変やっかいなわけですが、「彼は私のことが100%好きで、私が何をしても絶対に離れない」と確信がある時より、「彼は本当に私のことが好きなの?」と不安がある方が燃えやすい。しかし、それにも程度があります。

約束を頻繁に破られたり、見下されたり、「彼女として大切に扱われていない」という状況が続けば、常に不安の中で過ごさなければなりません。プライドや自己肯定感がある女性なら、「ふざけるな!」とクレームを付けて、ポイポイっと別れられるのですが、自己肯定感があまりない女性の場合はクレームもお別れもできず、結果男性はさらに図に乗り、彼女の不安も倍増します。

また、この手の男性はうまいんですよ。彼女の心が折れそうになった瞬間を目ざとく見つけて、普段は言わない愛の言葉をささやいたりして。で、彼女はずっと負のループから逃れられないのです。

その不安感が大好物!という女性はいいのです。恋愛ジェットコースターが大好きで、メロドラマの主役ばりに、「大量の不安と少しの報奨のセット」を味わい尽くせるタイプの人は。

でも、たいていの女性たちは、本来一番大切にしてくれるはずの対象から虐げられると、簡単に闇落ちします。

B子、本当にあった怖い話

昔、私の知人A男が、その時の彼女B子に対してひどい扱いをしていました。

他人がどこからどう見ても、B子は「彼女」ではなく「秘書」であり、「運転手」であり、「お手伝いさん」でした。おまけに私たちの前で、「こいつは使えない」とか、「ほっといていいんだよ。つけあがるから」などとそれはそれはひどい言い様。当然ですが私たちはA男に猛然と抗議しました。

すると、B子が間に入り、「やめてください。私はA男さんとこの状況が好きなんです。お気持ちは嬉しいですがどうか……」と、楚々としながらもきっぱりと、抗議する私たちを止めたのです。そして私は、彼女のあまりの必死さに、いろいろなカップルがいるものだと驚いたものです。

それから一年ぐらい経ったころ、私とA男、B子はゴルフ場で再会しました。相変わらずB子は、A男の専属キャディーのようにせわしなく働いています。そして、ゴルフが終わって私が一人でお風呂に入っていた時のことです。浴場の片隅でシャワーを浴びている私に気づかずにB子が入ってきました。そして、誰もいないと思ったのか、B子は清掃しているおばあさんを突然怒鳴りつけたのです。

「いつまで洗ってんだよ! 客が入ってきたら出ていくもんだろが! このババア、使えねぇな!」

それは、まるでA男が乗り移っているかのような声色でした。

“大切にされない”ことで人間は変わってしまう

普段のB子は大会社の秘書のようなしゃべり方と所作が身に染み込んだ女性です。その佇まいは、まさに「マナーのお手本」がおっとりと微笑んでいるよう。以前、B子とそのご両親に銀座のレストランで遭遇したことがあるのですが、品のよさがにじみ出てる素敵なご家族でした。

私はその時やっと、B子がA男との関係に本当は傷ついていた、という当たり前のことを知るのでした。必死でA男と彼との関係を守ろうとしていたから、「そういうプレイなの?」ぐらいに思ってしまって本当に申し訳ないと、私はシャワーコーナーの片隅で懸命に気配を消しました。

大切な人に大切にされないどころか、人間としてフェアに扱われないと、普通の人は魂がすり減ります。そして、その吐け口として、自分よりもっと弱い者に当たりちらし洩れなく魔界の住人となります。彼女が身に着けてきた知性や優しさや、大切に育まれてきたはずの人としての尊厳、そして女性性までも簡単に破壊されてしまう。だから、「大切にされる」ってほんとに大事。

行動が伴わない愛の言葉は、そのほとんどが嘘っぱち

恋愛市場では、「自分が相手を大切にしたら、いつか相手も私を大切にしてくれるようになる」というおとぎ話が通用しないことがままあるものです。「こりゃ、無理だ」と思ったら潔く撤収を。突然の「甘い言葉」にも簡単にほだされることのないように。行動が伴わない愛の言葉は、そのほとんどが嘘っぱちです。

そして、自分を大切にすることにしっかりコミットいたしましょう。恋愛も、さらには結婚も、まずは「自分のことをちゃんと大切にできる人」が乗り込んでいける、人間修行の場なのですから。

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