『貧血大国・日本』著者・山本佳奈さんインタビュー 第5回

海苔は「貧血」を防ぐスーパーフード

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海苔は「貧血」を防ぐスーパーフード

50代以下の日本人女性の20%以上が抱えている「貧血」という現代病。貧血は私たちの健康美を阻害するだけでなく、将来生まれてくる赤ちゃんの健康にも悪影響を及ぼしかねない、れっきとした病気です。貧血の多くは、体内の鉄が不足することによって起こります。『貧血大国・日本』(光文社文庫)の著者であり医師の山本佳奈(やまもと・かな)さんは、「鉄欠乏性貧血を治すためには、一にも二にも食の改善が大事」と言い切ります。最終回は、貧血に負けない体をつくるための食生活の知恵を聞きました。

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鉄分には2種類ある

――貧血を防ぐためには鉄の摂取が不可欠ということですが、1日にどれくらい摂る必要がありますか?

山本佳奈さん(以下山本):18~69歳までの月経のある女性に必要な鉄の量は、1日10.5ミリグラム。月経がない場合でも、6.5ミリグラムを要します。貧血を防ぐためには、鉄が多く含まれている食品を知って、それらを効率的に食べる工夫が必要です。

――ポイントになるのは?

山本:まず知っていただきたいのは、食品によって含まれる鉄のタイプが違うということです。鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄を含むのは肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品です。

対して「非ヘム鉄」は、野菜・海藻・大豆といった植物性食品に含まれています。両者の違いは、体内に取り込まれる鉄の吸収率の高さ。ヘム鉄が15~25%、非ヘム鉄は2~5%となっています。

これを知ると「肉や魚をたくさん摂ったほうがいいのでは?」と考えがちですが、食事はバランスが大切です。「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」を含む食品を、両方摂取するようにしましょう。

「ごはんにふりかけ」は貧血予防に必須

――山本さんイチオシの食材を教えてください。

山本:「ヘム鉄」でいうと、鉄の含有量が桁違いに多いのはご存知の通りレバー。豚のレバーは100グラムあたり13.0ミリグラム、鶏は9.0ミリグラム、牛は4.0ミリグラム。魚介では、イワシの煮干しが18.0ミリグラム、干しエビには15.1ミリグラムの鉄が含まれています。

「非ヘム鉄」のなかであなどれないのは、藻類です。青海苔には100グラムあたり77.0ミリグラム、いわのりには48.3ミリグラム、焼き海苔には11.4ミリグラム、つくだ煮には3.6ミリグラムの鉄が含まれています。

――ごはんを食べるときは、今日からふりかけはマストですね(笑)

ほうれん草より小松菜

山本:私も毎日、ごはんには必ずのりのふりかけをかけていますよ。あとは、豆類でしょうか。きな粉で8ミリグラム、納豆で3.3ミリグラムの鉄が摂れます。

――ほうれん草はどうですか? 鉄が多いイメージがありますが。

山本:ほうれん草は2.0ミリグラムの鉄が含まれ、さらに鉄の吸収率を高めるビタミンCも豊富ですが、じつは貧血予防の食品としては理想的であるとはいえません。

シュウ酸というほうれん草のえぐみ成分が、腸内で鉄とくっつくと吸収されずにそのまま体外へ排出されてしまいます。同じ葉物野菜なら、小松菜2.8ミリグラムに軍配が上がりますね。

鉄不足を手軽に解消できる優れもの「鉄玉子」

――鉄を効果的に摂るコツはありますか?

山本:ひとつは「食べ合わせ」で、鉄の吸収率を高めるビタミンCを一緒に摂ると効果的です。ビタミンCは、緑黄色野菜をはじめ、パイナップル、柿、グレープフルーツなどの果物に多く含まれています。果物自体にも鉄は含まれますので一石二鳥ですね。また、よく噛んで食べることで胃酸の分泌が高まり、鉄の吸収率が上がります。

――食べ物以外で鉄が摂れるオススメアイテムがあれば教えてください。

山本:ぜひ手に入れていただきたいのが「鉄鍋」です。鉄鍋を使ったひじき煮に含まれる鉄の量は、58.2ミリグラム。一方ステンレス製鍋で調理したものは、6.2ミリグラムとその差は歴然。鉄瓶で沸かしたお湯を飲むことでも、鉄を補給することができます。

あと隠れた名品は、南部鉄器さんが販売している「ザ・鉄玉子」。玉子の形をした鉄器で、お湯を沸かすときに入れると簡単に鉄を補うことができる優れものです。私の母も、子宮筋腫で出血がひどかったときに貧血対策で使っていました。

――連載の最後に、読者へアドバイスをお願いします。

山本:貧血を「自分には関係ない」とは思わず、次世代にも影響を及ぼす大きな問題であることを認識して、正しい対策をとってください。貧血は女性にとって身近な病ではありますが、少し意識をするだけで簡単にそのリスクを回避することができます。

さらに貧血は不定愁訴の原因にもなり、働く女性の活力を奪います。貧血対策は、私たち女性がもっと働きやすい社会をつくるためにも有効な手段であるに違いありません。

(江川知里)

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