これから離婚する、または既に離婚した夫婦が2人そろって離婚の決意を誓い合う「離婚式」。新郎新婦ならぬ旧郎旧婦が結婚指輪をたたき割る姿や、参列した家族や友人の複雑な面持ちといったセンセーショナルな式の模様は、これまで数々のメディアに取り上げられてきました。

そんな離婚式を手掛ける離婚式プランナーの寺井広樹(てらい・ひろき)氏が今年の2月、夫婦ふたりではなくひとりで人生の再出発を誓う「ソロ離婚式」をスタートさせました。開始から数ヵ月で女性からの申し込みが多数あるそう。「女性の要望が反映された」と寺井さん自身が語る「ソロ離婚式」とは一体どのようなものなのでしょうか?

寺井広樹さん

寺井広樹さん

「相手の顔は見たくないけれども、けじめをつけたい」

――ソロ離婚式は女性の意見がもとになって始まったそうですね。

寺井広樹さん(以下、寺井):実は数年前から行っている離婚式は9割以上が男性からの申し込みで、女性からはほとんど申し込みがないんです。「そんな時間があるなら次に進みたい」「相応のお金をかけて参加するなんてばかばかしい」「恥ずかしい」といった理由が多く、多くの離婚式は男性の方が積極的なんです。

そんななか、女性からの問い合わせや、離婚式に参加した女性からの意見として、「相手とは会いたくないけれども友達にはしっかり報告しておきたい」「自分の結婚に意味があったことを実感したい」という声が多く聞かれてきました。そこで始めたのがソロ離婚式です。現時点で、ソロ離婚式はすべてが女性からの申し込みなんです。

離婚式は、自分と向き合う機会

――離婚式とソロ離婚式、大きな違いは何でしょうか?

寺井:離婚式はとてもハッピーな円満離婚です。離婚式によって離婚を相手だけのせいにせず、これまでの自分、これからの自分と向き合うことができる特別な機会だと思います。ですから、離婚式は人間ができていないと実現できないことだな、と個人的には考えています。

離婚式で、指輪を壊す“旧郎旧婦”

離婚式で、指輪を壊す“旧郎旧婦”

ソロ離婚式は「カジュアルな女子会」という感じです。式を挙げたい女性は、友達にきちんと離婚の報告をして気を遣われたくない、けじめをつけて前に進みたい、友達に励ましてほしいという人がほとんどです。旧郎がいませんから読み上げる離婚理由も一方的にはなりますし、自然と相手の悪口も出て盛り上がります。でも、女子だけの空間でデトックスをすることで前に進めるのであれば、これはこれでよいのかなと思います。

男性は泣き、女性は泣かない離婚式

寺井:従来の離婚式のプログラムでは、おふたり人が出会ってから別れるまでの写真をこちらで編集したスライドショーを流すんです。たいてい仲むつまじかった時期のツーショットから始まり、子どもができるとだんだんと相手が消えて親子のふたりのツーショットが増えて、最終的には夫婦ひとりずつのショットになっていくんです。それでも最後は結婚式でウェディングドレスとタキシードに身を包んだ幸せそうな写真で締めています。

こういうスライドショーを見て号泣するのは男性で、女性はまず泣きません。男性は「あの時にああしておけば」という後悔や、「もう一度幸せな夫婦に戻りたい」と感じるようなのですが、女性はすでに未来を見据えているんですよね。

後ろを振り返らない“ソロ離婚式”

――離婚式を挙げた夫婦のうち14組が離婚を踏みとどまったそうですね。

寺井:そうですね。離婚式をきっかけに自分自身のことを振り返ってやり直せたという方もいますし、実際に離婚をして恋人のような関係に戻った方もいます。

一方、ソロ離婚式をした女性で離婚を踏みとどまった方はいません。ソロ離婚式は本当に腹が決まっていて、けじめつけて未来に歩き出したい女性のための式なんです。式が終わると皆さん本当にいい笑顔をされますよ。“ソロ”と言いつつも、仲間と盛り上がって一緒にデトックスすることが、女性にとっては前に進むためにすごく大事なんだなと思います。そこも男性とは違うのかもしれませんね。

――なるほど。離婚式もソロ離婚式もポジティブなものなんですね。

寺井: 結婚も離婚も目的は同じで、どちらも幸せになるためにやることです。離婚式でもソロ離婚式でも我々は離婚を推奨するわけでも復縁を勧めるわけでもなく、あくまで、一人ひとり自分や相手と向き合うため、前に進むための後押しができる場をこれからも提供していけたらと思っています。

関連リンク:離婚式公式HP

寺井広樹(てらい・ひろき) 1980年神戸市生まれ。幼少の頃より「結婚式があってなぜ離婚式がないのか」という疑問を持ち続け、 2009年に大学時代の先輩の離婚式をプロデュースしたことを皮切りに 300組以上の式に携わる。 KBS京都『離婚さん、いらっしゃい。』ではパーソナリティを務めた。 2016年より「ソロ離婚式」をスタート。 著書に『離婚式へようこそ』、『天才子役は離婚する。』などがある。

石狩ジュンコ