気になる「ニュースの数字」第8回

会社で働くより自由だから 30%も増えた女性の「プチ起業」

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女性の「プチ起業」30%増

今、女性の間で「プチ起業」をする人たちが増えているのを知っていますか?

今年5月に日本政策金融公庫が発表した平成27(2015)年度の創業融資実績によると、女性の創業融資は5555件で前年の10%増。そのうち300万円以下の融資に関しては前年の30%増となっています。男性はというと、創業融資の全体の件数はわずかに減少し、300万円以下の融資件数は12%増。男性による創業が伸び悩む一方で、女性の起業への関心が高まりつつあることがわかります。

2014年、中小企業基本法第13条の「創業の促進」に「特に女性や青年による中小企業の起業を促進するため」という一文が追加されました。これには政府が女性や若者を中心に創業を支援することで経済を活性化させようという狙いがあります。

実際に、現在では「女性・若者/シニア起業家支援基金」や女性の小口創業特例の「新創業融資制度」など、女性起業家向けの補助金や助成金、融資制度が充実しています。

半数の女性起業家が500万以下で開業

2013年にまとめられた「女性起業家の開業」(日本政策金融公庫)という資料によると、女性起業家が開業時にあったらよかったと思う支援として多かったのは「低金利融資制度や税制面の優遇措置」の39.3%と「金融機関による経営指導、事業計画策定支援」の18.0%。

これらの問題がクリアされたことが、影響していると思われます。また、同調査では女性の起業家の 48.2%が500万円未満の費用で開業をしていることがわかっています。

それでは女性起業家はどのような仕事を選択し、どのように働いているのか。順に見ていきたいと思います。

顧客ターゲットの8割は一般消費者

まず、注目したいのは女性が操業する際に選ぶ「職種」です。先ほどの「女性起業家の開業」によると、女性起業家の選んだ職種で最も多いのが「個人向けサービス業」で25.2%。

「個人向けサービス業」というとわかりにくいですが、具体的には美容・理容関係や旅行サービス、家事代行などが挙げられます。それ以外に多いのは「医療・福祉」の19.2%、「飲食店、宿泊業」で15%となっています。

これは顧客層にもあらわれていて、女性起業家が主な販売先としているのは「一般消費者」が76.5%。男性に比べて17.5%多くなっています。また、「顧客層の性別構成」をみると女性起業家の場合、「女性が大半」が45.5%、「女性がやや多い」が16.8%と6割以上が「女性」をターゲットにしていることがわかります。

女性従業員の割合が6割超

これらのことから、女性起業家は女性の一般消費者をターゲットにし、ニーズに応えるサービス業、飲食店などを開業する傾向にあることがわかります。

もう一つ、注目したいのは女性起業家の会社が女性顧客のニーズに応えるだけでなく、働く女性のニーズにも応えている点です。女性が起業した会社において、開業時の女性従業員の割合は64.4%と男性起業家のそれと比べて約14%高くなっています。

また、女性起業家は「働きやすさを高める取り組み」として「柔軟な労働時間の設定」「休暇を取得しやすい雰囲気づくり」など、仕事と家庭の両立、ワークライフバランスを重視しています。積極的に女性を雇用し、また「家庭と仕事の両立」を意識した会社づくりをする。女性起業家ならではの配慮がここにあります。

実はこうした開業者のうち「管理職経験あり」と答えた割合は男性が72.3%に対し、女性は48.6%。前回の記事でも書きましたが、仕事と家庭の両立が難しく「管理職になりたくない女性」「なれない女性」が多いなか、「自らが起業することでその環境を作る」という選択をした女性も起業家のなかにはいるのではないでしょうか。

起業理由は「働き方を変えたかったから」

このように女性起業家が増えているとはいえ、起業に関する意識調査によると他国に比べて日本では「進んで自営業を選択したい」と答えたのは全体の22.8%。もっとも多いアメリカが50.9%ですから、半分以下となっています。企業に勤め、被雇用者として働き続けることがもっともリスクが少ないと信じる人の多い日本では仕方のない結果かもれません。

しかし、女性は出産や育児のため、そのキャリアを断念するしかない場合もあります。このように女性は家庭環境の変化に応じ、「働き方」を考えざるをえない時期が人生で何度か訪れるのです。

実際に女性が起業を意識したきっかけとして「時間的余裕(介護や子育てなどがひと段落)」や「家庭環境の変化(結婚・離婚、出産など)」を挙げる人は多いのです。(「日本の起業環境及び潜在的起業家に関する調査」より)また、同調査において女性が起業を志した理由で多かったのは「年齢に関係なく働くことができるから」と「性別に関係なく働くことができるから」。

男性の起業より成功率が高い?

もちろん起業にはリスクがあります。しかし、こんなデータがあります。開業当初から黒字基調の割合を男女別でみた結果、初めのうちは女性が男性を下回りますが、4年後の時点で男性を追い抜き黒字基調が74.8%となります。また同じ事業での経験があった起業家の70.1%が黒字基調であり、この割合は男性のそれとほぼ変わりません。

さらに、もうひとつ。起業家が現状についてどれだけ満足しているかを調査したところ、結果は女性の方が「収入」「仕事」「能力の発揮」において男性よりも満足感を得ていることがわかっています。

どうでしょうか。仕事と家庭の両立に悩んだとき、家庭状況が変わり余力ができたとき、「起業」という選択をすることは決して非現実的ではないように思えてきませんか?

(安仲ばん)

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