「**ちゃんってどういう系?」「被写体やってる系だよ」「あ〜〜〜なるほど」

この会話の意味がわかりますか?

若者文化をレポートしていくこの連載、第3回は「被写体モデル」について紹介します。

「被写体」というステータス

大学生で、少し可愛い子のSNSのプロフィールには、かなりの確率で「被写体やっています」という言葉が書いてあります。

「被写体」とは、ぐっとシンプルに言い換えると、「素人モデル」です。アマチュアカメラマンの練習のために写真に写る役目で、基本的に金銭のやり取りはありません。それを若者たちは、「この言い方ちょっとお洒落かも……」と思いながら「被写体モデル」と呼んでいるのです。

「被写体モデル」はいいね!が集まる

なぜ若い女の子は「被写体モデル」をやるのでしょうか。

第1の理由は、若者の行動を説明する理由としてはもはや鉄板となりつつある、“承認欲求を満たすため”です。きれいに撮ってもらった写真をSNSにアップすることで、それを見た人からの「いいね!」がほしいのです。また、【今日は撮影でした♪】なんて言葉も、優越感を得ることができる魔法のフレーズになります。

「被写体」アイコンはSNSで便利

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そして第2の理由は、SNSのプロフィールアイコンにするためです。若者たちは「1人で自撮りした写真をアイコンにするのは、ちょっとナルシストっぽい」という認識を持っています。はやりのアプリでガンガンに加工した、すごく写りがいい写真をプロフィールにしている子は、正直ちょっとキモいと思われてしまいます。

そんな時、「被写体」をした時の写真はとっても便利。どんなにキメッキメのポーズをしていても、「作品に協力しただけなので」と撮影者に責任転嫁ができます。アマチュアとはいえ、一眼レフで撮られた写真は見栄えがいい。若者にとって、実際の顔より大切なプロフィールアイコン。こうやって、若者はSNSでの地位を上げていくのです。

街中で話しかけてくる人にはついていかない

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それでは被写体モデルたちはどのようにしてカメラマンに見いだされるのでしょうか。

最も原始的なものは、街中で声をかけられることです。若い女子は、十人並みより少し上くらいのルックスで原宿や表参道を歩いていれば、すぐに何人かに「被写体やりませんか?」と声をかけられます。

ただし、街中で話しかけてくる自称カメラマンには絶対若者はついていきません。軽率なようでいて、そこまでバカじゃない。様々な炎上案件を身近で見てきたインターネットネイティブの若者たちは、個人情報の重要性を身にしみて感じています。

カメラマンとは、TwitterやInstagramで慎重に繋がる

そこで被写体モデルとカメラマンがつながるツールとして最もポピュラーになっているものが、TwitterやInstagramなどの大手SNSです。「#被写体さんとつながりたい」、「#カメラマンさんとつながりたい」というハッシュタグを検索してみてください。たくさんの若者やカメラマンたちがやりとりしている様子を見ることができます。

SNSのいいところは、プロフィールや普段のツイートからどんな人柄なのかを知ることができ、そのうえで実際に会って撮影に至れるかどうかをじっくり考えられるところ。

トラブルがあったりなんかすればたちまちネット上に名前が広まります。そのためカメラマンは、SNSでつながっている若者たちへの安全性のアピールを欠かしません。

被写体モデルたちのその後

つながりの場所がSNSということもあり、被写体モデルの活動をしていると、だんだんと共通の知人同士が増え、人間関係が広がっていきます。カメラ、写真といった共通の話題があることで学校や職場以外のコミュニティができます。楽しい「被写体」仲間たちとの活動は、イケている若者の象徴です。みんな見た目が華やかで社交的なので、「被写体仲間たちとバーベキューしてるよ♪」なんて投稿をフェイスブックにしたら……そうですね、250いいね!は余裕で稼げるでしょう。

若者にとって、ネットでの出会いは、ひと昔前の“出会い系”のイメージとは全く違います。ちょっとスリリングだけど、なんかかっこいい。そんな感情が、若者たちを「被写体モデル」に向かわせているのかもしれません。

(たなかもみこ)